はじめに
現在までに当クリニックのホ-ム・ペ-ジのメニ-バ-(前項目)でも報告させて頂きました。そして年齢別・性別・職種別(日勤・夜勤交替制や職業としてのドライバ-など)による制限を有しても、安全で効果的な治療を選択し得るという治療法を追求してまいりました。
身体医学での癌の外科手術(内視鏡手術・定型的手術)および内科(抗がん剤治療:点滴・カテ-テル治療)・放射線科治療(X線・重粒子線照射)あるいは各治療の前後に併用するとの選択肢も考慮されます。
患者さまの生存率(癌と診断されて以降、5年後、10年後にも治療により再発が認められず、日常社会生活をそれまでと同じように送られている)を治療目標としています。統計的有意差により証明された年齢別・性別により最優先と現在までに安全性を基本とした、より効果的で副作用(合併症)の少ない治療の選択方法から多くを学びました。
そして、尚、職種別(日勤・夜勤交替制や職業としてのドライバ-など)による制限を有しても、安全で効果的な治療を選択し得るために、精神科や心療内科に於いても、医師として科学的で論理的な判断に基づいて診療を行えるように患者さまの安全性を最優先として、副作用を最小限にして、現在までは適応外とされていた状況や職種に応じて、より速効的効果が得られる治療方法を日々、探求し続けて参ります。
現在、当院の選択的治療で、より効果的と思われる治療について、ご報告させて頂きます。
これら患者さまの高齢化や様々な就労形態を伴う職業と共に、まずは取り敢えず、プロのドライバ-の方々などのように厚生労働省から運転禁止受けている精神科薬剤などで効果を求められる方々にも、厚生労働省の禁止命令が決定される以前より、日々、院内処方の薬剤の効果と副作用について何度も何度も復習し、薬剤を手に、新しく、より効果的な処方方法を繰り返し診療の改善に努めて参りました。
薬剤の処方選択・削除などや、薬剤の一回内服料を1/4量から1/8量に充分に減薬しても、とっさの判断力・反射神経が保たれ、“安全第一で運転に広角な視野で集中出来、しかも不安やイライラも解消し、気分の爽快感も回復してきました”など、川崎市バスの運転さまや長距離トラックの運転手さまから貴重な感想が多く寄せられています。
その後に厚生労働省から、運転禁止の通達が出されるに到った次第です。
さて、今回このレポートを掲載に当たり、小生の経験として癌・心臓血管外科・救急救命医療に外科的・内科的に深く関与し、新しい治療法を創造し実践し、多くの尊い命を救命し、社会生活に復帰して頂いて参りました。
18年前に精神科医に転身し、その2年後から、現在多くの患者さまのうつ病・うつ状態、パニック障害・社会不安障害(社交不安障害)などに処方されていますセロトニン系抗うつ薬SSRI・SNRIの市販後・市販前臨床試験のご依頼が数多くあり、数年にわたり様々な外資系薬剤の臨床試験に携わり、治療責任医師として総ての患者さまのメンタルテストを毎週行い、副作用や治験患者さまの意欲の改善やその表情・瞳孔の清明さなどを詳細に観察しました。
その次に再診患者さまや新規患者さまの診療も丁寧に行い、臨床コ-ディネ-ネ-タ-が一般患者さまと異なるドアから入れ替わり立ち替わり、入室し、総論や先程の治験患者さまについての簡潔な問題点や今後の臨床試験の安全な方向性の再確認し、次回に備えると言った多忙な診療の日々でした。
これらの結果として、現在のSSRIやSNRI の処方の世界が大きく開かれていくことになったと思われましたが、この時点で、小生自身の中には、大きな疑問も確信となって行くことが分かりました。
それは、SSRI・SNRIは蓄積して効果発現致しますので何週単位で効果に繋がっていくこと
・治験患者さまの表情にスッキリ感が表れて来ないこと・瞳孔の清明さが蘇らないことなどです。
これらからも今後の精神科医療に対して薬物療法には限界があるのではと言う疑問は払拭されずに残存して、臨床試験を終えました。
ただ、最後の臨床治験したドパミン製剤(ブプロピオン:日本未承認)だけに一縷の光明を見出していたような印象が残っていました。
臨床試験の記録
以下に16年前に臨床試験していた頃の記録を示します。一人の医師としては、日本では最高の治験患者数記録とのご評価を頂きましたけれど、小生としては不完全燃焼の結果だけの思いが残りました。
今までとは異なる画期的な治療法では無く、患者さまには最新癌治療法のような福音が訪れるわけでも無いと思われましたので。
治験責任医師として担当した医師 : 川崎メンタルクリニック 高橋憲太郎
市販後臨床試験実施数
- ● パキシル錠のうつ病またはうつ状態の患者における市販後臨床試験
- ●塩酸ミルナシプラン(トレドミン:SNRI)市販後臨床試験
―うつ病、うつ状態に対する塩酸イミプラミン(トフラニ-ル:三環系抗うつ薬)を対照とした二重盲検比較試験―
被験者数:28件 終了 (パキシル:SSRI)
被験者数:30件 終了
市販前臨床治験実施数
- ● 塩酸デュロキセチン(LY248686)(サインバルタ:SNRI)
第Ⅱ相臨床試験
-うつ病・うつ状態に対するオープンラベル試験― - ●塩酸デュロキセチン(LY248686)(サインバルタ:SNRI)第Ⅲ相臨床試験
-うつ病・うつ状態に対する二重盲検群間比較試験―
5mgに対する40mg、60mgの優越性試験 - ●ESCITALOPRAM(MLD-55)(レクサプロ:SSRI)うつ病用量反応試験
―大うつ病性障害患者に対するMLD-55のプラセボ投与群を含む
多施設共同二重盲検ランダム化並行群間固定用量比較試験(第Ⅱ相)― - ●TAK-375(ロゼレム:メラトニン受容体作動睡眠薬)の慢性不眠症における第Ⅲ相二重盲検比較試験
- ●ブプロピオン(323U66SR)(NDRI:ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬)第Ⅱ相、長期(一年間)
臨床試験
-大うつ病性障害患者に対するオープンラベル試験―
被験者数:5件/5件中 終了
被験者数:30件/30件中 終了
被験者数:24件/24件中 終了
被験者数:18件/18件中 終了
被験者数: 16件/16件中終了:日本未承認
精神科・心療内科の診療の向上を目指して、現在の診療治療方針に到った原点となったのが川崎メンタルクリニックの院長として要請に応じて、実施した市販後および市販前臨床治験の経験と思います。
うつ病評価スケ-ルにはハミルトン・テスト(HAM―D)、モンゴメリー・アズバーグ・テスト(MADRS)などを登録基準とその後の効果判定評価に採用されました。
市販後および市販前臨床治験は現在から16年以上以前から数年にわたり実施し、幸いにも自殺企図などの危険な症状は認められませんでした。
ただし市販後臨床試験としてパキシル処方により、20代前半の若い女性が精神的に不穏な状態(精神行動症候群)が続き、終始、携帯電話による対話は欠かせず、臨床試験の危険性と登録患者さまに24時間、慎重で細心に対応にあたる必要性を痛感させられました。
また、もう一人の患者さまは毎週定期受診心理状態評価テストに受診されず、携帯電話でも全く連絡が取れず、私が診療時間中でありましたので、臨床治験コ-ディネ-タ-と製薬会社のMRとで横浜市の鶴見区まで在宅確認に訪れ、生存を確認し事、無きを得たことが強い印象として残っております。臨床試験中は治験コ-ディネ-タ-と登録患者さまについて24時間連絡を取り合わなければならない状態で、まるで以前の胸部心臓血管外科医の頃に集中治療室(ICU/CCU)との緊密な連絡関係に戻ったような日々でした。
それ以上に印象に残ったのはブプロピオン(NDRI:ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬)の、16名の治験患者さまの1年間の内服投与に脱落される方が一人も無く、毎週受診され、何の副作用に対する併用薬も一切必要無かったことです。
その後、以前のSNRIやSSRI に処方変更致しましたが、この治験を受けた全員の患者さまが治験薬に戻して欲しいと希望されたことです(依存性かどうかは不明です)。このことから、ドパミンの優れた効果に強い印象を受けました。
しかし、ドパミン系製薬リタリンは極めて依存性が強く処方は禁忌として、その数年後に発売承認されたサインバルタ、レクサプロに、その他ドパミン効果主体の抗うつ薬アモキサンを補助薬として、診療に於いて処方しておりました。
その後の当院の現在の治療方針の主体につきましては、前メニュ-・バ-(前論文)を是非ご覧になって下さい。 宜しく、お願い申し上げます。
本題に入らさせて頂きます
年齢・性・職種別による安全な治療
高齢者の患者さまのうつ病・うつ状態の治療
症状
高齢者の患者さまは“とにかく眠れれば良い!”“生きてても仕方が無い!”“早く死にたい!”など、おっしゃる方が多いです。本当は今まで満ち足りていた仕事や家族や将来の夢などの喪失感から、老いにより自然に不安や孤独感に苛まれていらっしゃいます。ご家族の方々から本人の“死にたい!”発言で動揺されて、受診される患者さまが多いです。
治療
当院のメニュ-で“セロトニン抗うつ剤以外の治療”“安定剤・抗うつ薬に頼らない治療”に記載した最も安全で効果的な精神病薬を処方して、多くの高齢のうつ状態の患者さまに、とても良好な効果を得ており、患者さまも毎週、受診され楽しくお話をして下さいます。
若い女性や未成年の男性の患者さまの
対人緊張・対人恐怖の症状及び治療/
うつ病・うつ状態の症状及び治療
症状及び治療
対人緊張・対人恐怖
対人緊張や対人恐怖には一般的には過眠や眠気は伴わないので、前述しました不安・緊張・恐怖を和らげて、周りの人々が全然気にならなく無る精神病薬に自律神経調整薬の少量・循環器薬・消化器薬などを併用して、最も緊張する状況や場面の2時間から2時間30分前に内服する場合と同じか少し和らげた処方を勤務や学校の始まる2時間前から、当院で無料提供します。
ピル・ケ-ス(お薬ケ-ス)に入れ一日2~3回程度の内服4時間毎で行動の回数や種類を増やして行動制限を解除出来るようになりますので数ヵ月で自ら自信を付けて卒業出来ます。
うつ病・うつ状態
うつ病・うつ状態では無気力や意欲の低下・思考力低下(考えたくない)などが基本的な精神状態に有りますので、過眠・眠気を伴う場合が殆どで、この症状を改善させると共に意欲を向上させる必要が有ります。
このためには前メニュ-(前項目)に述べたドパミン系精神病薬は眠気も覚醒させ意欲の低下も向上させるのに最も適している治療法と思われます。
多くの若い女性や未成年の男性の患者さまがセロトニン系抗うつ薬SSRI・SNRIの精神行動症候群(アクティベ-ション)などの副作用に苦しまずに意欲を心に抱いて、当院を卒業されて行かれるのは、医師として至上の喜びです。
職業的に治療継続し就労
(日勤・深夜勤の交替制あるいは3交替制)
うつ病・うつ状態の症状および治療
医師ならびに看護師の症状および治療
医師や看護師などの患者さまは、自身が担当する患者さまの生命に関わる「ヒヤリとした」[ハッとした] をヒヤリハット・ミスと表現された担当 患者さまの生命の危機を左右する職業であり、眠気や集中力や判断力の低下により担当患者さまに危険が及ぶ可能性があり、SSRIやSNRI他の抗うつ薬も適応禁忌とされてきましたし、当院でも同意見で診療して参りました。
しかし、ドパミン効果主体の精神病薬に関しては期間限定で処方し毎週、外来面接を行うことを了承頂いて、看護師の患者さまには、就労して頂いています。
医師の患者さまに付きましては、ご本人により所属する診療科が自分に適しているかを、ご判断頂き基本的には抗うつ薬は処方しない方針です。
小生の私見と致しましては、抗うつ薬を飲まざるを得ない精神状態に有るならば、取り敢えず、休職するか?医師を辞めるか?自身のためでは無く、患者さまのためを最優先として決断するべきと思われます。
交代勤務の患者さまの症状および治療
対人緊張や対人恐怖さらには抑うつ気分・意欲の低下・眠気の治療
客室乗務員(キャビン・アテンダント)、介護士、警備員などの患者さま
対人関係コミュニケーションが重要な職業で有り、不安や緊張も有りますけれど、眠気や意欲の低下を防ぐことが治療効果を良好に保てると思われます。
このため、個々の患者さまに対して、緊張に対する精神病薬とドパミン効果主体の精神病薬の比率を1:0、1:1、1:2、0:2など長時間勤務に合わせて4時間毎に処方を考慮しています。
厚生労働省から禁止されている運転禁止の職業運転手の患者さまの治療
川崎市バスの運転手、長距離トラックの運転手などの患者さまの
不安・イライラの治療
プロのドライバ-の方々などのように厚生労働省から運転禁止受けている精神科薬剤などで効果を求められる方々にも、厚生労働省の禁止命令が決定される以前より、日々、院内処方の薬剤の効果と副作用について何度も何度も復習し、薬剤を手に、新しく、より効果的な処方方法を繰り返し診療の改善に努めて参りました。
薬剤の処方選択・削除などや、自律神経調整薬剤の一回内服料を1錠の1/4量から1/8量に充分に減薬しても、とっさの判断力・反射神経が保たれ、“安全第一で運転に広角な視野で集中出来、しかも不安やイライラも解消し、気分の爽快感も回復してきました”など、川崎市バスの運転さまや長距離トラックの運転手さまから貴重な感想が多く寄せられています。
その後に厚生労働省から、運転禁止の通達が出されるに到った次第です。