株式会社矢野経済研究所は、アフィリエイトサービス事業者を対象に国内のアフィリエイト市場を調査し、その結果を2月7日に発表した。調査時期は2019年9月から12月にかけて。
アフィリエイトとは、Webサイトやブログ、SNSなどに企業サイトへの広告を貼り、閲覧者がその広告を経由して会員登録や商品の購入をすると、サイトオーナーに一定額の報酬が支払われるなどする広告手法のこと。調査におけるアフィリエイト市場は、アフィリエイト広告の成果報酬額、手数料、諸費用(初期費用、月額費用、オプション費用等)などを合算して算出した。
2018年度の国内アフィリエイト市場規模は、前年度比10.2%増の2,881億8,000万円まで拡大し、2019年度は同8.7%増の3,133億2,000万円と見込まれている。2016年度の市場規模は2,316億円だった。広告主によるアフィリエイト出稿数の増加とともに、アフィリエイトサイト数も増加が続いている。さらに、主要アフィリエイトサービス事業者の多くが売り上げを伸ばしており、伸長率は鈍化しつつあるものの拡大傾向にある。
業種別の市場動向は、金融分野の中でも、仮想通貨やロボアドバイザーなどの投資や資産運用に関する商材で市場が拡大。また、2019年のゴールデンウィークが通常より長期間であったことによる旅行分野や、10月の消費税増税前の駆け込み需要により家電分野が拡大した。販売手法では、単品商材を中心とした定期購入(サブスクリプションモデル)が増加するなど単価の高い案件が増えており、アフィリエイト市場の拡大に寄与している。
矢野経済研究所は、2020年度の同市場は3,434億8,000万円に拡大し、2023年度には4,654億1,400万円に達すると予測。
外部環境に関しては、ITP(Intelligent Tracking Prevention:サイトトラッキングの抑止機能)によるクッキーの制限や、Googleアルゴリズムのアップデートによる検索順位変動のほか、ヤフーのレギュレーションの強化によるアフィリエイトサイトの広告出稿の厳格化など、アフィリエイトサイトにとってネガティブと考えられるレギュレーションの変更が行われた。
また、広告出稿の厳格化に関しては、Facebookなどのソーシャルメディアにおいても、広告出稿専用アカウントの閉鎖といったレギュレーションの厳格化が図られるなど、アフィリエイトメディアに対してもネガティブなインパクトを与えている。しかし、影響を受けているのは、景品表示法や薬機法などの法規制を遵守しない一部のアフィリエイトパートナーや広告代理店。違法サイトが追放されるという意味では業界にとってはプラスになるため、長い目で見ると決してネガティブ要因ではないとしている。
一方、NPO法人アフィリエイトマーケティング協会は、2005年からアフィリエイト・プログラムに関する意識調査を実施した。
昨年6月に発表された13回目の調査結果(有効回答者数2,097件、調査時期2019年3月18日から25日)によると、アフィリエイトでの1カ月の収入は「収入なし」が29.7%で最も多く、「1,000円未満」が15.6%、「1,000円以上5,000円未満」が9.3%で続いた。
その一方で、「100万円以上」が6.7%、「50万円以上100万円未満」が4.0%など、高額な報酬を手にしている人もいた。前年との収入を比較してもらうと34.5%が「増えた」と回答し、「変わらない」が49.6%、「減った」が15.9%だった。
アフィリエイト市場が拡大する中、報酬を手にできないアフィリエイターが多いものの、高額な報酬を手にするアフィリエイターは一定数存在しているようだ。
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