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「裁判所に知ってほしいことがある」法廷で5分間の弁解 ジャパンライフ・山口隆祥会長の騙し方

 磁気治療器のオーナー商法を展開したジャパンライフの巨額詐欺事件。詐欺罪に問われた元会長の山口隆祥被告(79)は、9月22日に開かれた初公判で全面的に起訴内容を認めた。

 社会部記者の解説。

「濃紺のスーツ姿で臨んだ山口被告は、耳にイヤホン型の補聴器を装着していました。8月に次女で元社長のひろみ被告(49)の公判に証人として出廷した際『右耳は全然聞こえない』と明かしており、この日も裁判長からの質問を何度も聞き返していた。罪状認否では『裁判所に知ってほしいことがある』と切り出し、用意したメモを手に『創立当初から詐欺商法を目的として始めたものではない。売り上げが回復するだろうと思いながら事業を続けてしまった』と約5分間、弁解を続けました」

桜を見る会にも“総理枠”で招待されていた ©共同通信社

 1975年にジャパンライフを創業した山口被告。ひろみ被告の公判では「私は渡米して30代でビジネスモデルを勉強し、日本で広めた第一人者。事業は全部私が考えて実行していた」と得々と説明していた。

「冒頭陳述では、山口被告の自転車操業ぶりが浮かび上がりました。オーナー商法は2003年頃に導入しましたが、08年には資金ショートの可能性が表面化。取引銀行から是正を求められたものの、新たに短期契約制度を導入し、逆に事業を拡大。16年には赤字に転じ、消費者庁の業務停止命令を受けて新規融資もストップした。それでも個人資産から1億9000万円を運転資金に回し、顧客の返金申請を撤回させた社員に奨励金を支給するなど、泥沼にハマっていったのです」(前出・社会部記者)