今日北朝鮮が近いうちに核実験に踏み切るというニュースがありましたが、一連の報道の中で長距離ロケットをミサイルと読んでみたり、数日前の朝日新聞の記事には北朝鮮が米国を狙うものと公言しそれが弾道ミサイルであることを自ら認めたとか、まったく証明にもなっていない内容の文を平気であげて自分たちの「偵察衛星打ち上げロケット」に関しては悪びれる様子もなく載せるというなかなか不良紛いなことをするなぁと正直に思ってしまいました。



そして今回のテーマとしては、「アメリカによる平和がいつまで続くのか」という内容でいきたいと思います。



この記事をご参照ください。http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/12/12/2012121201694.html


朝鮮日報では2030年代にアジアパワーの時代が訪れるとしています。


総国力でアジア地域が欧米のそれを上回るという結果となり、グローバル化も更に進んで所謂システム型国家への変遷をたどるというものです。


しかし私が納得いかないのが、主に韓国や日本がアメリカの影響力から脱して自主独立型の国家になるという推測です。 


まず言ってこれは絶対にありえません。


というのも、今までは超大国アメリカの強大な力によって同盟国を防衛し経済を優先させるという他律型国家の運営に日韓共々努めてきましたが、それがおぼつかなくなると中国との覇権争いでアメリカ自身も普遍主義や民主主義という建前を利用してどんどん自国の組織に組み込もうとするからです。


よく考えて見てください。


どこの「主権国家」に外国の軍隊が駐屯し、年次要望書の提出や度重なる駐留軍の不祥事そしてそれをさらっと放送して終わるメディアなどなど、これほど異常な事態はありません。


私の父もフランス先での仕事でよく現地の人々と話をするのですが、「日本は経済はすごいが政治が極めて未熟」とか、逆から言わせれば「なぜあんなに政治が未熟なのに経済が成功したのかわからない」などなど的を得た質問が飛び交ってきます。


その答えも簡単で、先の朝鮮やベトナムでの特需を利用した戦後政治はもっぱら経済優先型でアメリカ一辺倒の従属政治を余儀なくされて精神的も文化面を通してその服従化が行われなした。


話がだいぶ逸れてしまいましたが、今回の話もそれに類似したものです。


私は最初に北朝鮮がなぜ核実験や宇宙開発の技術を磨くのかの説明として、「近代における反省」が何より重要視されます。 これは日本の主要メディア各社がまったく見落としている点で、若い金第一書記がその経験の浅さから故に暴発するだの、または暗殺されて軍部の暴走が始まるだのと相変わらず的外れな分析ばかりしますが問題はそんなに表面的ではありません。


また韓国のとある軍事関係者は、3年前の香港の戦争特集のTV番組で「北朝鮮が中国の属国になるのは時間の問題だ」と豪語されておりましたが、私からすればあなたの国は完全にアメリカの属国であることは明々白々でありますし、もし中国が前漢武帝以来の野心で北朝鮮、ゆくゆくは韓国を含めた朝鮮半島全体を勢力下におこうならば、まず北朝鮮が許しませんし私の知人の在日に方の見聞からして、北朝鮮が最も警戒するのは長い間朝鮮を抑圧しようとした中国そのものですから、仮に中国が北朝鮮を取り込もうならば、核を搭載したミサイルの雨を降らし北京は壊滅、北朝鮮自身も崩壊するが同時に中国も崩壊するでしょう。


そうなれば、究極のアノミー的状況になり日本はおろか米国でさえタダではすみません。

そんなことは誰も望んではおりませんし、長い間北朝鮮と付き合ってきた中国自身もそれをよく知っていますし、当のアメリカでさえも、民主主義の大義のもとに、その気になればいつでも北朝鮮に攻め込めるという体制があるのにも関わらず、冷静な静観を保っております。その背景は今お話したとおりのことが推測されます。


つまり北朝鮮自身は超大国やその他大国群に立ち向かう尋常にならない「覚悟」があるということです。

私は純粋にすごいと思いますよ、自分みたいな精神の弱い人間ならすぐにへし折れてしまうようなプレッシャーの中、民族自立を掲げて長い間の血のにじむような労苦に耐え、今日まで存続していますからね。

かたや相手は陸・海・空・宇宙・ネット空間において厖大な影響力を有した、それこそ象のような国力を持った超大国アメリカ(現在は相対的ですが)です。


本題に入り、北朝鮮の国家哲学を解剖していきますと、これは歴史的にも精神的にもとても深いことで、各人が自主的にたくさんの書物を渉猟して勉強するしか解決の道はありません。


ここでその簡単な経緯をお話し致します。


今からちょうど102年前、朝鮮半島は名実ともに日本の植民地に転落しました。


その中で朝鮮人民は大いに苦しみ奴隷的生活を強制され、独立も自由もないまさに地獄のような日々でした。


ここで重要なのが、なぜ当時の朝鮮がそのような屈辱的な結果になってしまったのかというと従来の華夷秩序体制に満足し、国防をおろそかにしていたことに尽きます。 

日本は己の弱小さにいち早く気づけたのは、地理的にも朝鮮を挟んで大国清との影響力が少なかったのと薩英戦争など早い段階で列強に負けてしまったので、体裁など関係なく近代主義を受け入れました。


逆に清帝国としてはその版図は元帝国に次ぐ二番目の広大さを誇り、物博地大の名のもとに東アジアはおろか中央アジアや内外モンゴル・故地である満州・沿海州地方などアジアの盟主として君臨しておりました。


同時に異民族である満州族は膨大な漢民族を統治するのに中華主義に乗り込む必要がありましたし、その鎧を纏った体は見た目は大層立派ではあるが、それが逆に桎梏となって極度の文明主義に陥り、自己改革が難しい体質となってしまいました。


そして朝鮮は仏米と度重なる列強の侵略をはねのけて鎖国を続けていましたが、雲揚号事件をきっかけに開国を行い列強に対する不安から周辺の大国に依存する結果となり近代化が思うように進みませんでした。


そのような結果から、二度とこのような過ちを犯してはならないとして北朝鮮自身は国是としての先軍政治や一連における宇宙技術の開拓や核実験を行うなどして、あえて福沢諭吉の言葉を借りるなら独立自尊の名のもとに大国からの支配を受けない自律型の政治を目指しました。


しかしアメリカとしては、何としても韓国や日本のようにパクスアメリカーナ陣営に引き込みたいですから国連憲章を引っ張り出して子分たちを総動員し北朝鮮に圧力をかけようと必死です。



最後になりますが、歴史とは残酷なものです。

一度の失敗は永遠の被支配という結果が常に伴いますしそれは現在もそうであります。


日本は第二次世界大戦でアメリカに敗北し、結果二度と政治的自主独立はないでしょう。


有名なエンゲルスの言葉をで締めくくりたいと思います。

「歴史はあらゆる女神の中でも最も残忍な女神であろう。戦争と限らず『平和』な経済的発展においても、この女神は死骸の山を越えて勝利の戦車を引いて行く。残念なことに、男女を問わず、われわれは非常に愚かなので、言語に絶した苦しみに堪えかねるまでは事実の進歩のために勇気を振い起こそうとはしない」(一八九三年二月二十四日附けの、ダニエルソン宛ての手紙<Karl Marx and Friedrich Engels:Correspondence 1846-1895(1934),p.510.>)


<参考史料>

・朝鮮日報電子版




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