立憲民主党「zero コロナ」戦略(改訂版)
2021年2月25日
2021年6月10日改訂
立憲民主党政務調査会
立憲民主党新型コロナウイルス対策本部
立憲民主党は本年2月に zero コロナ戦略を策定しました。これは、感染防止対策と医療支援、そして生活者・事業者支援を集中的に展開し、感染拡大の波を十分に収束させ、その状態を継続させることで感染を封じ込め、通常に近い生活・経済活動を早期に取り戻す戦略です。
zero コロナ戦略決定後、政府も with コロナから zero コロナに近い施策を採用しはじめています。ただし、現在政府が行っている、医療現場への支援、感染封じ込めのための検査の拡大や全ゲノム検査の実施や入国管理の徹底、暮らしと事業を守るための支援はどれも不十分です。結局、政府は2回目の緊急事態宣言下でも十分な感染の抑え込みを行わないまま宣言を解除し、さらなる感染拡大を招き3回目の緊急事態宣言に至りました。そのため、経済的損失は拡大し、医療従事者も事業者も疲弊し、国民の生活はより苦しくなっています。これ以上の緊急事態宣言の繰り返しは絶対に避けなければなりません。
3回目の緊急事態宣言が発出され、感染者が減少傾向にある今こそ、zero コロナ戦略を実現させる絶好のチャンスです。今回こそ、zero コロナ戦略に基づき感染を封じ込め、通常に近い生活・経済活動を早期に取り戻し、国民生活と経済を再生させなければなりません。
立憲民主党は国民のいのちと暮らしを守るため、引き続き、「zero コロナ」戦略の完全実施を政府に強く求めます。
【zero コロナ戦略の三本柱】
- 医療現場を支援
- 感染を封じ込める
- 暮らしと事業を守る
【1.医療現場を支援】
- 病床・療養施設の確保のため、国・都道府県がより積極的に関与
- 感染者受入医療機関に対する減収分と負担増分を全額事前包括払い
- 収入の減った全ての医療機関への経済的支援
- 医療従事者等への再度の慰労金支給(6/11 法案提出)、医療従事者等の復帰支援
- 対象は、医療従事者、救急救命士、救急隊員、薬局薬剤師、介護・障害福祉サービス事業者の職員、子ども・子育て支援施設職員等
- 中等症・重症患者対応の医師・看護師等に対しては別途支援金を支給
【2.感染を封じ込める】
- 検査の拡大
- (1) 医療・介護関係者などのエッセンシャルワーカーへの無料定期検査を実施
- エッセンシャルワーカーへの検査が円滑かつ確実に実施されるよう、国が制度を構築する(検査に要する費用は国が負担)(6/11済 法案提出)
- (2) 感染者の周辺の関係者は広く無料検査
- 濃厚接触者の濃厚接触者、市区町村長が指定する者を検査対象とする(6/11済 法案提出)法案提出予定
- (3) 自費検査の促進のため、国が費用の支援等を行う(6/11 法案提出済)
- (4) 職員の増員等により保健所の機能を強化
- (5) 安価で迅速大量に検査できる機器の普及
- PCR検査機器・抗原(定量)検査機器購入支援(全額補助)
- 手軽・安価に感染確認ができる機器の開発支援
- (6) PCR検査により、既存の変異株(特にインド株)については100%検出する
- (1) 医療・介護関係者などのエッセンシャルワーカーへの無料定期検査を実施
- 宿泊療養・自宅療養における医療・食事等の環境を改善
- 特に、食事内容の改善を早急に行う
- 当面の間、出入国管理を徹底 ※改めて国に徹底を求める
- (1) 全ての入国者をホテルで10日間隔離し1日目、6日目、9日目にPCR検査を実施(当面1日最大2000人程度の受入体制を確保)
- (2) 出入国の緩和は、国内外の流行状況を踏まえて判断
- 科学的知見とエビデンスに基づく対策を講ずるため、全ゲノム解析を行う
- (1) 変異株の出現の早期検知
- (2) 感染経路把握と政策の実効性の検証にも活用
- (3) 全ゲノム解析数を増やす(少なくとも全陽性者の50%以上)
- ワクチン接種の迅速な実施
- (1) ワクチン接種を行う場合の問診手続を見直す(かかりつけ医の活用等)(6/11 法案提出済)
- (2) ワクチンの打ち手を増やす
- (3) ワクチン接種手法を改善する
- (4) 「ワクチン休暇」導入の推進
- 適時適切で平易な情報公開、情報提供を実施
- 都道府県知事からまん延防止等重点措置、緊急事態宣言の要請があった場合の速やかな政府の決定
- 変異株の感染拡大リスクに対応したステージ基準(特にステージ3,4)の見直し
- 新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)の不具合の速やかな修正と導入の推進
【3.暮らしと事業を守る】
(暮らしを守る)
- 生活困窮者(住民税非課税世帯など)への再給付(3/1 法案提出済)
- 子どものいる低所得者世帯への給付(3/1 法案提出済)
- 学生支援(学費半額など)(3/1 法案提出済)
- ひとり親など職業訓練についての給付金の増額
- 休業支援金・給付金の9月末までの延長と大企業労働者の昨年4月まで遡っての対象化
- 失業手当の拡充(2/8 法案提出済)
- 緊急小口資金・総合支援資金の特例貸付上限の拡大と返済免除措置の対象拡大
(事業を守る)
- 持続化給付金・家賃支援給付金の再給付、減収要件等の緩和(3/19 法案提出済)
- 観光業への支援(4/12 法案提出済)、茶業への支援を行う(4/23 法案提出済)
- 休業協力金、一時支援金の要件緩和、事業規模に応じた支援の実施
- 無利子無担保融資枠の拡大、借入金のリスケ、無利子期間の延長など
- 雇用調整助成金特例の9月までの延長
- 税・社会保険料の支払い猶予特例の継続、減免措置の創設
- 公共交通機関への支援(その他影響の大きい産業への支援)
- 迅速な事業支援のための日本型PPPの創設
PPP=一定の要件を満たせば、融資の全額または一部の返済が免除される制度
【東京オリンピック・パラリンピックについて】
東京オリンピック・パラリンピックについては、開催全期間についてzero コロナ状態が実現できない限り開催するべきではない。したがって、速やかに開催地域をzero コロナ状態(東京では週平均で1日あたり50人未満)とした上で、その状態を維持するための検査や入国管理の徹底、人流の抑制等が必要である。
また、zero コロナ状態(東京では週平均で1日あたり50人未満)が実現・維持できたとしても、
- 来日する各国要人、国際オリンピック委員会役員・職員等を最小限に絞り込むとともに国内での行動を厳格に管理すること
- 入国の際には、例外なく10日間の宿泊施設待機とその間3回のPCR検査を徹底すること
- アスリート等の軽症・無症状の場合の宿泊療養先については事前にどこでどのように療養させるかを公表すること
- 「大会指定病院」については、事前に場所や確保病床数などを公開すること
- 大会関係者・ボランティアへのワクチン接種を完了すること
- 感染者の入院については五輪参加選手や大会関係者であることに関わりなく、症状に応じて適切な対応を行うことを徹底すること
以上