今回は、「タケプロン」と「タケキャブ」の効果と副作用の違いについて説明します。

タケキャブとタケプロンの成分の違い

まずは、タケキャブとタケプロンの成分の違いについて比較してみましょう。

タケプロンの成分

タケプロンの成分は「ランソプラゾール」で、「プロトンポンプ阻害薬」と呼ばれるタイプの胃酸の分泌を抑えるお薬になります。

胃の分泌腺にある壁細胞には、胃酸の分泌を行うプロトンポンプとよばれる箇所があります。プロトンポンプ阻害薬は、プロトンポンプに作用し、はたらきを妨げることによって、胃酸の分泌をおさえるお薬になります。
プロトンポンプ阻害薬は、胃酸の分泌をおさえるお薬として現状ある胃薬の中でも、強い効果が期待できます。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、ピロリ菌の除菌など幅広い症状に対して使用されます。

タケキャブの成分

タケキャブの成分は「ボノプラザン」になります。タケプロンと同じように、胃酸の分泌をおさえるお薬になります。

タケプロンは、幅広く処方されとても有効なお薬だったのですが、タケキャブは、タケプロンの欠点を補うために開発され、タケプロンの後継とよばれるようなお薬になります。

従来のプロトンポンプ阻害薬とは作用のしかたが異なり、「カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)」とよばれる新しいタイプの胃酸分泌をおさえるお薬になります。難しい名前なので、「??」と思われた方は、『プロトンポンプ阻害薬の新しいもの』という認識をお持ちください。

具体的には、プロトンポンプが胃酸を分泌するために必要なシグナルである「カリウムイオン」が結合するのを阻害することによって胃酸の分泌をおさえます。

タケプロンとタケキャブの違いについては次に記述します。



タケキャブとタケプロンの作用の違い

タケキャブがタケプロンから改良された点は大きく3つあります。
①タケキャブはタケプロンより即効性があり、作用が持続する
②タケキャブはタケプロンよりピロリ菌の除菌率が高い

タケキャブはタケプロンより即効性があり、作用が持続する

タケプロンは、プロトンポンプ阻害薬として効果を発揮するためには、胃酸による活性化を受けなければ効果を発揮しませんでした。一方で、タケキャブは、酸による活性化を受ける必要がないため、効果を発揮するまでの時間が短くなっており、タケプロンに比べて即効性があります。

また、タケプロンは胃の中の酸性の環境下では不安定であるため、長く留まることができませんでした。一方、タケキャブは、酸性の環境下でも安定であるため、長く留まることができ、作用が持続するとされています。

タケキャブはタケプロンよりピロリ菌の除菌率が高い

タケキャブ、タケプロンともに、胃潰瘍の原因と考えられるピロリ菌の除菌の際に処方されることがあります。

ピロリ菌の一次除菌(はじめての除菌)の際に、タケプロンを服用したときよりも、タケキャブを服用したほうが、より除菌率が高いという臨床実績があります。
理由としては、タケキャブは、タケプロンに比べて代謝酵素の影響を受けづらく、人による個人差が少ないため、安定して効果が発揮されるからと考えられています。

タケキャブとタケプロンの価格の違い

タケプロンの価格

・タケプロンOD錠15 / カプセル15 80.6円
・タケプロンOD錠30 / カプセル30 140.3円
※タケプロンにはジェネリック医薬品(GE)が販売されております。
・タケプロンOD錠15 / カプセル15のGE 31.5円〜42.1円
・タケプロンOD錠30 / カプセル30のGE 55.6円〜73.60円

タケキャブの価格

・タケキャブ錠10mg 160.1円
・タケキャブ錠20mg 240.2円
新しいお薬ですので、ジェネリック医薬品(GE)は販売されていません。
新薬なのでタケプロンと比較すると価格が高くなっています。

タケキャブとタケプロンの副作用の違い

そこまで副作用に大きな差はありません。

詳細は公的文書をご確認下さい。
タケキャブ、タケプロンともに、主な副作用としては、軟便、下痢、味覚症状、腹部膨満感、悪心、発疹、かゆみなどの症状が報告されています。
ピロリ菌の除菌治療で、下痢の症状がひどく続く場合には、すぐに主治医に相談するようにしましょう。

ここで挙げているものは一例ですので、いつもと違うような気になる症状が出た場合は、医師や薬剤師に早めに相談するようにしましょう。



おわりに

今回は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、ピロリ菌の除菌など幅広い症状に対して処方される「タケプロン」と「タケキャブ」の効果と副作用の違いについてまとめました。参考になりましたでしょうか?

タケキャブは、タケプロンの欠点を補うように開発されており、効果が優れていますが、新しいお薬なのでジェネリック医薬品がなく、価格が少し高いという難点もあります。現状、タケプロンからタケキャブへ切り替えが進んでおり、今後は、タケキャブを服用する機会は増えていくかと思います。

今回の記事を参考に、タケプロンとタケキャブの違いについて少しでも理解が深まれば幸いです。