吟醸
『吟醸 ─リトのテーマ─』
嗚呼、いつもの様に
過ぎる日々にあくびが出る
さんざめく夜、越え、今日も
福井の街に朝が降る
どこか虚しいような
そんな気持ち
つまらないな
でもそれでいい
そんなもんさ
これでいい
知らず知らず隠してた
本当の声を響かせてよ、ほら
見ないフリしていても
確かにそこにある
嗚呼、燗したままに呑もう
自分で選んだそのしろで
眠い空気纏う朝に
訪れた蒼い世界
好きな酒を好きだと言う
怖くて仕方ないけど
本当の自分
出会った気がしたんだ
手を伸ばせば伸ばすほどに
遠くへゆく
思うようにいかない、今日も
また慌ただしくもがいてる
悔しい気持ちも
ただ情けなくて
涙が出る
呑み干すほど
苦しくなる
痛くもなる
燗したままに呑もう
自分で選んだこの酒を
重いまぶた擦る夜に
しがみついた蒼い痴態
好きな酒を続けること
それは「楽しい」だけじゃない
本当にできる?
不安になるけど
何杯でも
ほら何杯でも
自信がないから呑んできたんだよ
何杯でも
ほら何杯でも
積み上げてきた猪口が武器になる
周りを見たって
誰と比べたって
リトにしかできないことはなんだ
今でも自信なんかない
それでも
感じたことない気持ち
知らずにいた想い
あの日呑み出して
初めて感じたこの痛みも全部
好きな酒と向き合うことで
触れたまだ小さな光
大丈夫、逝こう、あとは楽しむだけだ
全てを賭けて呑んで
自分にしか呑めない酒を
朝も夜も呑み続けて
見つけ出した蒼い光
好きなものと向き合うこと
今だって怖いことだけど
もう今はあの日の透明なリトじゃない
ありのままの
かけがえの無いリトだ
知らず知らず隠してた
本当の声を響かせてよ、ほら
見ないフリしていても
確かにそこに今もそこにあるよ
知らず知らず隠してた
本当の声を響かせてよ、さあ
見ないフリしていても
確かにそこに君の中に
参考文献
- 最終更新:2021-10-16 19:34:05