前回のあらすじ
ヘンリーの悪行を突き止めるべく、亀無町を訪れたエレナたち八番隊。そこにいたのは、彼によって捕らえられた賞金稼ぎの双子の獣力師、ダブルクォーツ。彼女たちは、うどん屋で働く女の子を助けるために磔にされていた。3週間経てば自由の身にすると嘘をついたヘンリーのバカ息子、マツジに怒りを覚えたエレナは彼を殴りつけ、言いつけられてしまう。処刑されてしまうダブルクォーツを助けるべく、エレナたちは作戦通りに進めていくが、ヘンリーによってルド、メリアが戦闘不能に。メリアにとどめを刺そうとした隊員たちの前に、ついにエレナがやってくるのだった。
エレナ「動くな、ぶった斬られたいの?」
「ひ、ひぃ!」
エレナは剣を押さえながら、隊員たちに威嚇する。すると、ヘンリーが何かを思い出して言った。
ヘンリー「テメェのその面、金狼か!」
「えっ!?あの金狼!?」
「金狼のエレナ!?」
エレナ「気づくの遅すぎだろ。」
エレナの異名は金狼。その名の通り、金色の体毛のオオカミ族だからである。
メリア「た、隊長……」
エレナ「メリア、よく頑張った。あとは任せな!」
第8話
両斧のヘンリーVS金狼のエレナ
ヘンリー「金狼のエレナ…八番隊に所属する女兵士だと聞いたが、こんな小娘だったとは…!!」
エレナ「名前覚えててくれてどうも。お前のことは全て見てたよ。部下殺しに実の息子への暴力、税金で銅像を作らせ…私たちよりも税金ドロボーじゃん。」
ヘンリー「ええい黙れぇ!!者ども!起きてる奴らを始末しろ!」
ヘンリーそう叫ぶと、刀で押さえられていた隊員たちは一斉にエレナに向かって斬りかかる。
エレナ「はっ!」
ズパァァァァ!!!
『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
容赦なく隊員たちを斬り倒す。
ニーナ「き、金狼…」
レーナ「強い…!」
エレナ「おっ、縄が解けてるみたいね!」
エレナがダブルクォーツに気付いて笑ってみせた。するとレーナが。
レーナ「アスタスMarkII!」
ドォン!ドォン!
「ぎゃあ!」
「ぐわぁぁ!」
そう言うと、長いライフルを召喚し、隊員たちに向け撃ち抜く。弾の中身はペイント弾なので、死ぬことはない。そして、ニーナも仕込み杖型の剣、「ドルビータ」を召喚し、走って来た隊員を突く。
エレナ「噂通り強いねぇ。」
ニーナ「そう言うあんたもな!」
見事な攻撃と連携で、余裕な3匹。次々と隊員たちは倒されていく。
「つ、強すぎる!金狼にダブルクォーツが相手なんて!」
「武が悪すぎる!」
「た、隊長!我々の手には負えません!もう降参しましょう!」
降参をしようと宣言した隊員に対して、ヘンリーは再び手を斧に変えて。
ズパァァァァ!!!
斬りつけた。そして、隊員たちに向かってこう叫ぶ。
ヘンリー「俺の前で弱音を吐いた奴らもコイツらの仲間とみなして死刑にしてやる!!分かったか!分かったらここにいる3匹を皆殺しにしてこい!!!」
エレナ「殺されなんてしねーよ!!!」
キィィィィン!!!
エレナがすぐにヘンリーの元へ走り斬りかかるも、再び押さえられる。
ヘンリー「く、くぅ!」
エレナ「おりゃ!」
ズガァ!!
エレナは蹴りを入れ、ヘンリーのバランスが崩れ、よろめく。そして再び立ち直した。
パサァ!!
ヘンリー「たとえ金狼が相手でも、この俺の権力の前では無力でしかない!!俺を誰だと思っている!公安軍十五番隊隊長!亀無町駐屯地所属!!階級大佐!!!両斧のヘンリーなんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
上着を脱いで、今度こそぶっ殺そうと本気の目になるヘンリー。ヘンリーを真似し、エレナもこう名乗る。
エレナ「私は公安軍八番隊隊長!家無区駐屯地所属!!階級少佐!金狼のエレナ・ルビジュアルだぁぁぁぁぁ!!!!」
叫び声まで真似せんでいい。
ヘンリー「死ねぇぇぇぇ!!!」
ヘンリーは両手を斧に変えて、エレナを斬ろうとする。
ピョイッ、ズガッ!!
エレナは素早くそれを飛んで避け、思いっきり蹴飛ばす。
エレナ「捕まる前に一つ言っておくわ。権力や偉さこそが自分の強さだと勘違いしているようだけど、それは間違いよ。」
ズパァ!ズパァ!!
ヘンリー「あがっ!!ぐはっ!!」
エレナ「権力が全てじゃない、大事なのは!」
ズパァァァァ!!!
エレナ「実力だ!」
ヘンリー「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドサッ
エレナはヘンリーを斬りつけた。ヘンリーはその場に倒れこむ。
エレナ「ふん、こっちはいつも暴れてばかりのライオンを始め、動物の惑星のゴロツキどもに比べりゃ、大したことないわね。部下への暴行、殺害、そして税金の横領の罪で…」
エレナが手にアークを使えなくする特殊な結束バンドでヘンリーの腕を巻こうとしたその時。
ガチャッ!
マツジ「待て!」
マツジがやってきて、肩を撃たれてしまったルドのこめかみに銃を向けた。
マツジ「ほら立てでくのぼう!」
ルド「うっ、うぅ…」
マツジ「お前ら動くなよ!動いたりしたら、コイツの頭が吹き飛ぶぞ!!」
すると、エレナはスタスタと歩いていく。動くなと言われたのに、なぜ歩いてこっちに来たのか。
マツジ「おい金髪オオカミ女!動くなっつったろ!お前も撃つぞ!!おい!!」
エレナ「諦めろ。もうお前のオヤジもお前も人生おしまいだ。国綱。」
そう言うと、国綱を召喚してマツジを斬ろうと構え出す。しかし、その後ろから大きな影が。
ヘンリー「おのれぇぇぇ!!貴様俺を誰だと思ってやがるんだぁ!!俺は大佐だぞぉぉぉ!!俺の権力の前では貴様は無力ははずなんだぁぁぁぁぁ!!!死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
エレナは気づいたが、遅かった。ヘンリーが両手を斧に変えてエレナを斬ろうと振りかざす。しかしエレナはすぐさまマツジの方に向かった。
エレナ「鬼丸六刀牙‼︎‼︎‼︎」
ズギャアァァァァァ!!!
マツジ「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドサッ。
マツジは斬られてその場にアホ面で倒れる。そして彼女の後ろでは、ダブルクォーツが回り込んで来た。
ニーナ「ウチらを!」
レーナ「忘れんなクソ大佐!!!」
ヘンリー「なっ!?しまっ…」
ズドォォォ!!!
ドォォォォン!!!
ニーナはヘンリーの腹を突き、レーナは頭に固い石の弾を撃ち込んだ。しばらく静寂が流れ、そして。
ヘンリー「く、ぐぬぬぬぬ…ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ドシーーーーン!!!
叫び声をあげ、白目をむきながら独裁者は地に落ちた。これを見ていた隊員たちは皆驚愕を隠せなかった。
「た、倒した…」
「隊長とマツジ様が倒れたぞ!!」
カチャッ。
エレナは国綱を鞘に戻し消すと、隊員たちに目をやる。
エレナ「まだやりたいかしら?」
すると、隊員たちは一斉に。
『バンザーイ!バンザーイ!!』
「やったーーー!!!」
「倒れたぞーー!!」
隊員たちは皆喜び、飛んだり跳ねたりの大騒ぎ。その隙にエレナは、独裁者とバカ息子の腕に結束バンドを巻いた。
その数時間後、マツジは刑務所に、ヘンリーは松永島と呼ばれる獣力師専門の監獄のある島に連行された。ちなみにこの世界では、裁判はほとんど行われず、捕まえたその瞬間から、懲役を言い渡されるのが一般である。だが、獣力師は無期懲役になるケースが高い。
河川敷
カァー、カァー…
カラス族がカァーカァーと鳴いている。もう夕方だった。エレナたちは河川敷で夕日を見ていた。
エレナ「にしても、ヘンリーめっちゃ罪多かったね〜。」
メリア「あんな銅像建てて誰の得になるんでしょう…」
ポイッ、ポチャ、ポチャ、ポチャ…
メリアは水切りをした。 合計4回ほど水を切れた。
エレナ「……ところでなんでここに来てるわけ?ダブルクォーツ。」
ニーナ「……」
レーナ「……」
エレナ「まだ賞金稼ぎ続けるつもり?」
すると、レーナは口を開いた。
レーナ「そりゃあ、続けるしかねーだろ。」
ニーナ「ウチら、スラム街の奴らに金渡さないといけねーし。」
エレナ「スラム街?ということは、ホームレスのことか。」
この世界でもホームレスは存在しており、特に逃げ出してきた元奴隷や捨て子などが、路地裏などに生活していたりする。そのため、金欲しさに違法根城に入ったり、ダブルクォーツのような賞金稼ぎ、泥棒、暗殺稼業などに手を出すものもたくさんいる。しかし、そんなことがあってはいけないとダブルクォーツは悪い動物から金を巻き上げ、ホームレスたちに配っている、いわゆる義賊をしていたのだ。
エレナ「世間では悪い奴らだって言われてたみたいだけど、そんなことがねぇ…でも、どのみち犯罪になるよ?このまま続ける気?」
レーナ「は?」
エレナ「このままじゃダメだと思うんだ。またあんな奴に捕まったら、今度こそ死んでるかも……」
ニーナ「じゃあ……じゃあどうしろってんだ!!賞金稼ぎやるのは、生きるためには仕方ねーんだよ!だから、あんま勝手なこと、言わねーでほしい…」
エレナ「ふーん。じゃあさ、罪を抹消させる代わりに、ウチに入る?」
ニーナ「な、なんだと!?」
ルド「え?え?」
なんとエレナは、2匹を公安軍に勧誘する。これにはそばにいたルドも驚愕する。
エレナ「その代わり、報酬金などはスラム街に送ると同時に、こっちの活動資金と相殺で。それでいいなら、賞金稼ぎはやめてこっちに来なさい。」
メリア「なっ!?ホントにコイツら入れるつもりですか!?私は反対ですよ!汚れ仕事やってるやつを入れたら、いつ裏切ることか……」
エレナ「メリアは黙ってなさい。これは隊長命令よ。」
メリア「は、はぁ……」
エレナ「さぁどうする?」
ニーナ「ホントに、金はスラム街に送るのか?」
エレナ「本当よ。嘘は言わないわ。」
レーナ「なら、ウチは入る!」
ニーナ「ウチも!」
エレナ「決まりだな。じゃ、家無に帰りますか。」
そう言うと、エレナは立ち上がって、駐屯地へと帰路を進めた。
メリア「ホントに良かったんですか?」
エレナ「私が決めたから、いい。」
メリアは不安ながらも、エレナを信じることにした。
数日後。
家無駐屯地
隊長室
シャー、トンッ。
メリア「隊長!昇格通知が!」
エレナ「なんだと!?」
メリアが駆け足でエレナの元へとやってくる。すぐに封筒を破いて中を見ると。
辞令
エレナ・ルビジュアル殿を大佐に昇格させることをここに記す。
今後ともより一層職務に励み、家無区のために貢献することを期待する。
人間歴2015年 公安軍上層部
エレナ「わ、私が、大佐!?」
メリア「すごいじゃないですか!大佐ですよ!」
エレナは喜びを噛み締めながらも、より一層、身を引き締めようと前を向いた。すると。
ズドォォォォォォォン!!!
メリア「ぎゃはーーー!!!?」
襖が爆発し、メリアが吹っ飛ばされる。
エレナ「ぬぉぉぉぉぉぉぉ!!?な、なんだ!?」
レーナ「爆裂弾効くなぁ〜。」
エレナ「襖の前で銃を乱射するなーー!!」
ニーナ「そうそう、これ。」
ニーナが胸元から、ある紙を渡した。それは。
エレナ「なっ!?弱気静太郎、否、黒渦モガを逮捕せよ、えぇ!?もうまた何やらかしたのよアニプラぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
エレナがアニプラの悪事にまた頭を抱えて叫んだ。にしても、弱気が逮捕?一体、どういうことなのか?
その日の朝、アニプラでは。
家無町 アニプラ前
「急げ急げ!」
「赤龍と眼帯が決闘だってよ!」
け、決闘!?なんでまた!?それは、エレナたちが亀無町にいた時のこと…
回想
ライアン「だぁぁぁぁ!!俺は強くなりてぇ!じーちゃんみたいに!」
サンゴ「ふぉっふぉっ、お主じゃまだまだワシには敵わんぞ。」
サンゴはお茶を飲みながら笑った。どうやらライアンは、6話でプロメテウスを瞬殺したサンゴが羨ましかったようだ。
ライアン「よーし、弱気!」
弱気「なんだ?」
ライアン「明後日俺と勝負しろ!!」
なんでそうなった?しかし弱気は。
弱気「あぁ、構わんぞ。だが、やるから全力で行かせてもらう。」
零「弱気、アタシ応援するのだ!」
弱気「応援か、ありがとう零、お前が応援すれば、アイツには負けないはず。」
ライアン「なんだよ!お前だけ応援に回るとか!ボルト!って、仕事に行ったんだった……」
現在
零「弱気がんばれ〜!!がんばれ〜!!」
ボルト「弱気なんてたたんじまえー!!」
かなりの賑わいを見せていたライアン、弱気の決闘。そして、サンゴが前にやって来て。
サンゴ「それじゃあ準備はいいかのう?」
ライアン「もちのろん!」
弱気「いつでも。」
サンゴ「はじめじゃ!!」
ライアン「おらぁぁぁぁぁぁ!!!」
チュドォォォォォン!!!
ライアンの爆炎が、弱気を殴りつけようとする。だが、弱気はそれを飛んで避ける。
弱気「金重!」
金重を召喚し、斬撃を飛ばす。対するライアンは爪でその斬撃を弾き、口に炎を溜める。真紅放射を撃つ気だ。
ライアン「真紅放射(リディエーションスカーレット)‼︎‼︎」
ライアンは直線に放つ。弱気はそれを避けるが。
ライアン「曲がれ!!!」
真紅放射を吐きながら、炎のブレスを曲げて見せる。
「うわぁぁぁぁ!!」
「炎がぁ!」
「あちちち!!」
野次馬たちも避けるのに必死だ。そして、ライアンは炎の翼を作って空を飛ぶ。これは空中戦になるか。
ライアン「はぁぁぁぁぁぁ!!!」
弱気「はぁぁぁぁっ!!」
ライアンは拳に炎を纏い、弱気は金重を振りかざした。その時だった。
ドォォォン!!!
2匹『!?』
野次馬たち『!?』
ボルト「?」
零「な、何なのだ?」
突然銃声が聞こえた。獣ゴミから声が聞こえる。ライアンと弱気は下に降りる。
ニーナ「道を開けろ。」
零「こ、公安軍?」
言われるがままに、野次馬たちは道を開ける。ダブルクォーツだ。
ボルト「見たことねぇ公安軍だな。」
それもそのはず、まだ新兵であるから。すると、弱気のほうに足を止め。
レーナ「お前が眼帯の弱気だな?」
ニーナ「1週間前の灼熱の千手菊(バーニングマリーゴールド)の事件において、器物損壊罪ほか、その他もろもろの罪で。」
ダブルクォーツ『黒渦モガ、お前を逮捕する。』
弱気「!?」
レオ「な、何だって!?」
そして、弱気は連行されてしまった。アニプラは重い空気が立ち込めていた。
零「うぇぇぇぇぇぇん!!何で弱気が捕まらないといけないのだ〜!!不当だ!不当逮捕だ〜!!!」
零が弱気の逮捕に納得いかず泣きじゃくっていた。
レオ「公安軍が黒って言えば、白のやつも白になっちまう……俺たちにはどうすることもできねぇよ。」
零「そ、そんな……」
ボルト「みんな納得いかねーよな。」
エナ「認めたくないね…弱気の逮捕…」
ライアン「…………」
流石のライアンも、これには認められないのか、身体が震えていた。そして立ち上がり。
ライアン「おのれ弱気ぃ!!戦いを放棄する気かぁぁぁ!!」
えっ?そっち?すると、零も立ち上がり。
ガタッ!
零「もうダメだ!アタシは頭にきたのだ!こうなったら!直接乗り込んでやるのだ!!!」
ダッ。
零は走って駐屯地へと向かう。
ライアン「待て零!」
ブゥゥゥゥゥン!!!!
ライアンもバイクにまたがり、彼女を追いかけた。
その頃、弱気は。
エレナ「はぁ、多分上層部が罪を着せたいがためにあんたに罪を被せたみたいね。今日は一日、牢に過ごしてもらう。でも、形だけの裁判は行っておかないと。ルド。」
ルド「は、はい!」
ルドは紙を広げて読み上げようとした。しかし、弱気が怖いのかまともに読むことができない。
弱気「はやくしろ。」
ルド「ひ、ひぃ!被告獣、黒渦モガ!証言台に立て!」
そう言われると、証言台に立つ弱気。腕には結束バンドが巻かれており、抵抗はできない。
エレナ「えーっと、黒渦モガ。お前は灼熱の千手菊による君主虐殺未遂事件において、駅を一部損壊させ、ジパング橋の破壊、駅員への暴行、その他諸々で罪に問われている。目撃証言によると、髑髏のマークのついた眼帯をつけた…」
チュドォォォォォォォォォォォォン!!!!
公安軍『!?』
突然扉の向こうから爆発が起きた。弱気はえっ?という顔をする。砂煙から出てきたのは。
零「おのれ公安軍ーーーー!!!!!!!」
メリア「な、なんだアイツは!」
ルド「ひぃぃぃぃ!裁判ってこんな感じ、なの〜!!」
零が飛び込んできて、駐屯地を荒らし始めた。天秤や柵をぶっ壊し、公安軍への怒りをぶつける。
エレナ「ええいものども!あの女を捕まえろ〜!!」
零「うるせぇ!」
ズガァッ!
エレナ「うぎゃっ!」
零「弱気!帰るのだ!」
零が弱気を見つけると、手を伸ばす。しかし。
メリア「確保ー!!」
零「なっ!」
すぐに結束バンドで手を縛られてしまった。エレナは零に蹴られた衝撃で横に倒れながらもこうメリアに指示を出した。
エレナ「この女たちを、牢に入れろ〜!やっぱり動物の惑星は相手にするべきじゃねーー!!」
零を追いかけていたライアンが着いた先には、結束バンドで腕を結ばれていた2匹が連れていかれる様子だった。しかも、かなり暴れたせいか駐屯地はほぼ半壊状態になっていた。
ライアン「うわぁ…派手にやったなぁこりゃ。」
いつも暴れてるお前が言うな。
その日の夜
家無駐屯地
地下牢獄
夜。零、弱気は駐屯地破壊の罪で、1日牢獄に入れられてしまう羽目になった。
零「……」
弱気「零、お前なぁ!」
ブニュッ!
零のほっぺたをつまんで弱気が説教をする。
弱気「あれは形だけの裁判であって、儀式だったんだよ!」
零「ぎ、ぎしき?」
弱気「そうだ!公安軍の上層部は、取り締まる姿勢を見せたかっただけで、私は不当逮捕されたわけじゃない!」
零「え、えっ?どういうこと?でも現に牢獄に入れられてるのだ。」
ブニュッ!
零「むぎゃっ!」
弱気は零のほっぺたをまたつまむ。
弱気「つまり!有罪になるけど罰は受けなかったの!お前が暴れたりしなければなぁ!」
ブチッ!
ゴムパッチンのように、弱気は零のほっぺたをいきなり離した。
零「いったー!いきなり離すなのだ!」
弱気「だが、助けに来てくれたことは嬉しかったぞ。ありがとな。」
零「……!」
次の日
零「世話になったのだ!」
弱気「じゃあ、これにて私たちは帰るぞ。」
エレナ「もう来るなよ〜。」
そう言われて、2匹は帰っていった。
エレナ「見てるだけで良かったの?」
ライアン「アイツらがやったんだ、俺にゃ関係ねぇ。んじゃ、任務に励めよエレナ!」
ブゥゥゥゥゥン!!!!
ライアンも根城へと帰っていった。
家無町 アニプラ
零「ただいま帰りましたのだ〜!」
弱気「皆、心配かけてすまなかったな。」
一同『うぉぉぉぉぉぉぉ!!!』
ボルト「よく帰ってきたな!」
レオ「ったく!心配させやがってよぉ!」
エナ「松永に連れてかれるんじゃないかと思ったよ!」
根城の獣力師たちは皆、2匹を心配していたようで、帰ってくるや否や歓声が根城中に聞こえた。
弱気「ところで、ライアンはどこへ?」
ボルト「さぁ、まぁそれよりも!」
レオ「2匹の帰還を祝し…」
カラン、コロコロコロ…
レオ「?」
根城の中に、小さな玉のようなものが転がった。そして。
バンッ!シューーーーー!!!!
その玉は煙を出しながら小さく爆発した。
レオ「うわっ!まさか!」
エナ「これ眠くなるや…つ…」
ドサッ!
レオ、エナが倒れると、次々に獣力師たちは倒れていった。どうやらあの玉は、眠くなる煙が入った煙玉のようだ。
ボルト「アンダーライトか…」
ドサッ!ドサドサッ、ドサッ!
零「えっ……アンダー……ライト……?」
弱気「くそ……」
ドサッ!
ついに弱気も眠ってしまった。零は虚な目になりながら、その場に倒れ込む。すると。
スタ、スタ、スタ、スタ……
全身黒ずくめでフードを被り、顔には歌舞伎の隈取のような仮面を被った戦士が歩いてきた。これが、さっきボルトが言っていたアンダーライトという獣力師だ。
零「……」
その姿を見た零の目は、ついに閉じてしまった。
サンゴ「こりゃ!またこんな煙を出しよって!起こすんじゃ!○○○!」
サンゴはアンダーライトの本名を言って怒った。しかし、聞いていないようなそぶりを見せ、依頼書をちぎり、サンゴにそれを見せた。そして。
アンダーライト「じゃ、行ってくる。」
サンゴ「まったく、お主はたった1匹に姿を見せられたくないがために、みんなを巻き込みよって…」
アンダーライト「この姿は、誰にも見せたくない。それに、この顔もアイツが見たら…」
そう言って、アンダーライトは去って行った。
数時間後。
レオ「はっ!」
エナ「あぁ、寝てた…」
ボルト「アンダーライトだな…」
煙玉の匂いを嗅いだ、アニプラの獣力師たちが皆起き始めた。
零「ねぇ、アンダーライトってなんなのだ?」
零は弱気に聞く。
弱気「私と同じ特級の獣力師でな、なんでか分からないけど姿を見せられたくないがために煙玉を投げて眠らせるんだ。」
レオ「一説によると、公安のエレナなんじゃねぇかって噂。」
零「えっ!今朝会ったあのオオカミの!?」
マジで?
レオ「噂だけだ、あんまり詮索するなよ。」
零「はーい。」
なんだ、ただの噂か。
街の中
スタ、スタ、スタ、スタ…
ひと気のない街の中を、アンダーライトが歩いていた。これから依頼に行くようだ。すると、バイクを押していたライアンに偶然すれ違う。そして、彼はすれ違いざまにアンダーライトの耳元でこう言った。
ライアン「いつまでもそんなお面かぶってないで、眠りガスなんて浴びせてないで、そろそろ○○○に素顔見せてやったらどうだ?恥ずかしがり屋の○○○。」
アンダーライト「!?」
ライアン「大丈夫、俺お前の正体のことは誰にも言わねぇよ。んじゃ、頑張ってこいよ。」
アンダーライト「!」
アンダーライトの仮面の下から怒ったような目が映ったように見えた。しかし、獣ゴミの中へとライアンは消えていった。
アンダーライト「……」
アンダーライトは戸惑いながらも歩いて依頼の場所へと向かった。
しかし、この時まだ気づいていなかった。後にこのアンダーライトと偶然依頼でばったり会うことを。
夜
家無町 アニプラ
夜になった。根城の中は電気を消して暗くなり、誰もいなかった。しかし、そこへ。
零「…………!!」
忍者のような格好をして、足音を立てずに零が入ってきた。そして、爪で窓をきれいに丸にくり抜くと、窓のロックを閉めて急いで中へと入る。これじゃまるで忍者じゃなく泥棒のようだ。そして、2階に早く上がり、手探りで依頼書をちぎった。そして、急いで彼女は根城へと出て行った。
夜の街の中
零「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!やったぞ!これでアタシは家賃払える!」
依頼の紙を持って走る零。
ドスッ!
零「うぎゃっ!」
ドサッ。
誰かにぶつかり転ぶ。それもかなり派手に。
ライアン「おい、大丈夫か?」
零「あ、すまんの…だぁ!?」
ライアンにぶつかったようだ。すると彼は零が握っていた依頼の紙を見た。
ライアン「ほほぉ、お主も悪よのう?それ2階にあった依頼書だろ?」
零「なっ!しまった!」
ちなみに2階には、かなり報酬金が高額な依頼がある。誰から聞いたのかはわからないが、零はなんとしてでも家賃を払うための金を手に入れたかったため、こんなことまでして依頼書を手に入れたかったのだ。
ライアン「これは…お前よくこんな依頼行こうとしたなぁ。」
零「えっ?」
ライアンが改めてその依頼書を見せると、そこに書かれていたのは。
零「……青島の呪いを解いてください…出ないとワシらは…呪い!?」
零は呪いという文字を見て身の毛がよだった。
ライアン「おーおー、呪いが怖いか?お前じゃ無理そうだから、一緒に行ってやろうか?」
零「なな、何言ってるのだ!家賃払うために金が必要なのだ!アタシ1匹で充分…」
ライアンが遮るようにして、依頼書の中の報酬を口にする。
ライアン「報酬は70万アルミ(日本円で700万円)、追加報酬に円卓シリーズの武器を差し上げます、だって。」
零「え、円卓!?ほしい!やる!」
円卓という言葉に食いつき、零は行くことを決めた。
ライアン「よーし!そうと決まれば行くぞー!」
零「おーっ!」
2匹はバイクに乗って、港町へと走って行った。
次の日
サンゴ「なっ!?依頼書が一つ足りんぞ!?誰じゃー!盗んだやつはー!!」
サンゴが朝から怒っていた。それもそのはず、零が盗んだ依頼書、「島の呪いを解け」という依頼がなくなっていたのだ。その後、監視カメラをつけていたことからその映像を見ると、零がちぎっている様子が映っていた。
サンゴ「ぐぬぬ、零が盗んだじゃと!?だれか!あの島に零を行かせるな!捕まえろー!!」
レオ「バカかアイツ!」
エナ「青島って危険なところだったよね!?」
「おいおい、ほんとに行きやがったのか!?」
「ライアンもいないぞ!?もしかして一緒に行ったんじゃ…」
アニプラ中がどよめく中、ボルトが立ち上がり。
ボルト「俺が行ってくる。」
サンゴ「ボルト?」
ボルト「相棒のストッパーは、俺だけで十分だ。」