「群青物語 〜青き追憶の呪い〜」「群青物語 〜青き追憶の呪い〜」

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13.エピローグ

ある晴れた日、伊野尾は群青神社の境内に居た。
二度と同じことが繰り返されないよう、呪いを封印するために。
伊野尾は全員が世界から戻ってきたあと、事の顛末をメンバーに丁寧に説明した。自分があの世界で読んだ群青村の忌まわしい過去、呪いの始まりのこと。
皆複雑な表情を見せていた。
だから知念は、伊野尾がここへ赴く前に、母狐の面を用意した。
「成仏しても、お母ちゃんと会えないのは寂しいと思ってさ」
伊野尾はそれを受け取った。
子狐と母狐、二つの面を並べ、神前に祀る。
伊野尾はゆっくりと手を合わせ、安らかに眠るようにと、静かに祈った。
暖かな風が包む。
何処かで、二匹の狐の鳴き声が聞こえたような気がした。

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14.解説