芸能人も集結した筒井康隆「断筆宣言」
筒井康隆は出版社などの「差別的表現」の規制や、教科書に掲載されることが決まった筒井の小説が無断で削除されたことへの抗議のため、93年9月に月刊誌で「断筆宣言」を表明した。
イベントは筒井の友人の山下洋輔、評論家の平岡正明らが「『天才』筒井をこのままにしてはいけない。どんちゃん騒ぎで『天の岩戸』から引き出そう」という趣旨で始まったものだった。
もっとも、筒井康隆は断筆宣言後も引きこもっていたわけではない。若いころ、関西で新劇系の劇団で活躍していたこともあって、俳優やCMタレントとして活動して話題となった。
筒井と出版各社の話し合いがつき、「断筆」が終結したのは96年暮れ。「差別表現」や「言葉狩り」の是非を巡って社会的な論議を巻き起こした意義は大きかった。
◇1994年4月 8日、細川護熙首相が退陣表明。23日、井の頭公園でバラバラ殺人死体が発見される。25日、新生党、公明党、社会党など連立与党が羽田孜を首班指名。26日に社会党が連立離脱して、羽田内閣が発足する。