芸能人も集結した筒井康隆「断筆宣言」
<1994年4月>
4月1日夕方、東京・中野サンプラザ前には長蛇の列ができた。5時半にはスタッフから開場が告げられ、観客が会場へ吸い込まれた。この日のイベントは「筒井康隆断筆祭」。チケットは一律5000円で座席指定はなし。誰もがいい席を確保しようと駆け込んだのだった。
6時になると、ほぼ満席の会場がだんだんと暗くなり、筒井原作の映画のテーマ曲で彼自身が作曲した「ジャズ大名」が流れた。それが開演の合図だった。
真っ暗になった頃、軽やかなピアノ音が鳴り響く。曲はジャズ「パリジャン・サラフェア」。ステージにスポットライトが当たり、そこにいたのはジャズピアニストの山下洋輔だ。
彼が率いるパンジャ・スイング・オーケストラが音を重ねていき、曲はアップテンポの「イン・ザ・ムード」に。そこにサックス奏者の坂田明が乱入。さらにギタリストの渡辺香津美ら、有名ジャズマンも多数参加しての異色のライブステージが続いた。