タリバン新政権へ準備進む=民主派排除、実力者の動向に注目―アフガン
【8月28日 時事通信社】アフガニスタンの実権を掌握したイスラム主義組織タリバンが、新政権樹立に向けた体制づくりを進めている。これまでに治安や財務を担当する閣僚人事の動きが伝えられたほか、タリバン最高指導者の副官を務める3人の実力者の動向に注目が集まる。
ロイター通信によると、当面の間の国防相代行に、初代最高指導者の故オマル師側近で、キューバ・グアンタナモ米軍基地のテロ容疑者収容施設に収監された経験を持つアブドゥル・カイユム・ザキル氏が任命された。警察などを担当する内相代行には、有力司令官サドル・イブラヒム氏の名前が挙がっている。
新政権をめぐっては、タリバン幹部はロイターに「民主制は全く存在しなくなるだろう」と指摘している。新政権の中枢から民主派は排除され、最高指導者アクンザダ師を頂点にタリバン幹部で構成する評議会が国家運営に当たる可能性があるとされる。
アクンザダ師は、前任者が米軍の空爆で死亡したのを受け、2016年に最高指導者に就任した。イスラム法学者出身で人望は厚いが、戦闘経験には乏しいとされる。現在はパキスタンで保護・監視下にあるとみられている。
実際にタリバンの組織を動かしてきたのは3人の副官。うち1人が大統領に当たる職に就く可能性がある。
副官の一人で政治部門トップのバラダル師は、パキスタンに拘束されたものの、タリバンとの和平合意を目指した米国の計らいで18年に釈放され、タリバン側責任者として米側との和平交渉に当たった。このほか、国際テロ組織アルカイダとの関係が指摘されるタリバン最強硬派「ハッカニ・ネットワーク」を率いるハッカニ氏と、軍事部門の総責任者でオマル師の息子ヤクーブ師が副官を務めている。(c)時事通信社