「どん底から見る世界」 ベイルート大爆発で失った片目
■「最も安全な場所」
建設作業員のマコール・ハマド(Makhoul Al-Hamad)さん(43)は、シリア北部の要衝都市マンビジ(Manbij)の出身。1995年から、ベイルートのマーミカエル(Mar Mikhael)地区で暮らしている。爆発までは、同地区が「レバノンで最も安全な場所」だと信じていた。
そう信じていたハマドさんは2016年、妻と4人の子どもを呼び寄せ、共に暮らし始めた。娘のサマちゃんは、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の支配下にあったマンビジで生まれ、大爆発の数週間前に、6歳の誕生日を祝ったばかりだった。
爆発のあった日、サマちゃんは窓の近くに座っていた。左目に、飛び散ったガラスの破片がいくつも刺さった。
医師はサマちゃんの網膜が剥がれているため、海外での再建手術を勧めた。しかし、ハマドさんには経済的余裕がない。ハマドさんはサマちゃんを抱きながら、「サマがこんな目に遭わないのであれば、人々に起こった災いが全部自分に起こっても構わなかった」と語った。(c)AFP/Hashem Osseiran