第一次大戦後のドイツは戦後、巨額の賠償を課せられ、ハイパーインフレで失業者は溢れた。
反ユダヤ主義を掲げるナチス党が政権を取ると、大規模な公共事業で失業者は激減した。
屈辱的ベルサイユ条約を破棄、再軍備を宣言し、国民の圧倒的支持を得た。
・・・・・・・一般の人が認識しているのは大体この程度だと思います。
しかし、ただ、公共事業で職にあり付いただけで、圧倒的に支持されるのでしょうか。
わが国では何度も公共投資をして、余計な借金を増やし、ゼネコンを超え太らせてきただけでした。
庶民は儲かりませんでした。
ここで、ナチスの善政を、偏見抜きで検証しましょう。
一応、参考文献として書名だけ一部ですが記しておくます。
「ヒトラー一代記」「ナチスの発明」「ドイツ水上艦艇①~④」「マーダーケースブック」など。
他に、様々なドキュメンタリー番組等。
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大戦中から、日本と同じように資源を輸入に頼っていたドイツは、連合国による封鎖で物資が不足し、都市部の国民も栄養の無い不味い代用食を食べて飢えを忍んでおりました。
戦後は少しましになったものの、当時のイギリス首相の、「レモンの種が泣くまでドイツを絞れ!」という言葉に象徴されるように、同じ白人国家ながら、あからさまな報復が加えられました。
恐るべきインフレは、例えば喫茶店に入って、コーヒーや軽食を注文したら、店を出る時には払いきれない金額に値上がりしていた、というものがあります。
マルク紙幣はただの紙切れになり、どう考えても返済不能な巨額な賠償金を抱え、1ドル=1300億マルクにまでなりました。ドイツの金持ちの大半も、あっという間に困窮する事態になりました。
それ以降も、更にマルクの下落は続きます。
放っておいても貯金が目減りするので、皆が銀行から預金を下ろす為、銀行は次々倒産、金を借りられない中小企業の連鎖倒産もありました。
それ以前から、あらゆる地域で、極左共産主義者の革命、暴動が起こりました。これは、銃火器類を所持したもので、暴力的な闘争でした。
ドイツはこの時「ワイマール共和国」と名称を変えていましたが、共和国政府には力は無く、かつての軍の「将校団」に協力を求める事になります。
これが、後の日本の様に、軍が国で力を持つ遠因となったと思います。
左翼の理想家はそんなものです。しかし、武装闘争は市民も巻き込み、激しい物になりました。
軍は治安維持の為、積極的に政府に協力、革命を鎮圧していきます。(これは第一次大戦終結後の1918年~1919年はじめまで続きます。
この時に、後にヒトラーの盟友としてナチス創成期に頭角を現す、エルンスト・レームも参加していました。
しかし、連合国の要求、不況から軍も大幅に縮小され、大勢の失業者が溢れました。
この戦後の経済不況の中、30万の将兵が放り出され、失業者となりました。
巨額の賠償金は、1929年に、少し減額され、アメリカが一時肩代わりしたのですが、これは混乱して民族主義が台頭してきた危機感からでしょう。
しかし、その利息も含めて、59年間で支払えという取り決めが有りました。
結局ドイツがその利息を支払い完遂したのは、なんと21世紀に入ってからなのです。この気の遠くなる様な返済を、実際に行っていたのです。
この当時の世情、ナチスが台頭する理由は、色々な要素、理由が有り、ただユダヤ人が嫌いだから、ただ、職が無くて生活出来ないから、という単純に理由を求める事ではありません。
私は歴史の専門家では無いので、この当たりで止めておきますが、本当にドイツは大混乱とエゴのぶつかり合い、憎しみ、恐怖、飢え、苦しみに満ちていました。
ヒトラーもナチスも、いわばドイツ人の集合意識が生み出した「不満、怒り、恐怖、復讐心」の代弁者なのです。