銅の抽出効率を大幅に上げる
レアレス氏の研究では、今回のバクテリアが化学的にも微生物学的にも、人間や環境に害を与えないことが証明されたといいます。
そのため、この微生物は鉱物汚染による環境改善に役立てる大きな可能性を持っています。
そして研究は、この微生物の利点が、金属廃棄物の処理だけにとどまらないことも明らかにしたのです。
このバクテリアが金属を崩壊させた後に残るのは赤みを帯びた液体です。
これはリクシビアント( lixiviant)と呼ばれる溶液で、金属を鉱石から取り出す方法の1つである湿式製錬(しっしきせいれん)に利用することができるのだといいます。
湿式製錬とは、溶媒を使って鉱石から目的の金属を浸出させて金属イオン水溶液にし、そこから化学的(または電気化学的)な方法によって金属イオンを還元して金属を取り出すという方法です。
今回のバクテリアが金属を食べることで作り出した残留液は、この湿式製錬の銅回収率を向上させるものであることがわかったのです。
通常の湿式製錬で使う化学薬品は、汚染の原因となりますが、今回のバクテリアが生成した液体は無害な可能性が高いため、汚染のない持続可能な方法で岩石から銅を抽出できる可能性があるのです。
これはグリーンマイニングが実現可能であることを意味するとレアレス氏は語ります。
鉱山会社は今回の発見にかなり関心を寄せているようで、レアレス氏は現在、この技術の国際特許も申請しています。
この研究はビジネスとしても大きな発見につながるかもしれません。
しかしそれより重要なことは、この技術が自国の景観を汚す金属汚染の削減に役立つことだと、レアレス氏は考えているそうです。