「Dappi」だけじゃない。ネトサポやカルト信者を使った自民党「野党攻撃」、総選挙前にも加速か? 中国の五毛党と変わらぬ日本の惨状

2021.10.12
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by gyouza(まぐまぐ編集部)
 

野党攻撃ネトウヨ系アカ「Dappi」とは? 過去にもあった「法人」疑惑

「Dappi」が問題視されたのは今回だけではない。すでにDappiは「法人」か「組織的」運営が疑われてきたアカウントである。

たとえばDappiは、すでに凍結されたアカウント(現存せず)で2018年5月22日の午前9時50分、以下のようなツイートを投稿した。

マスコミと野党が2015年2月25日に安倍総理が加計理事長が面談したというメモが出たと騒いでますが、当時の新聞を引っ張り出してみたところ朝日・毎日・産経・読売・日経・東京に掲載された首相動静にはそのような面会があったことはどの新聞社も報じてません。(Dappi(@take_off_dress)より。現在同アカウントは凍結中)

この「2015年2月25日に安倍総理が加計理事長が面談したというメモが出た」という話題が初めて報道されたのは、前日の5月21日午後5時頃のNHKニュースデジタル版だ。しかしDappiは、翌朝9時台に、朝日・毎日・産経・読売・日経・東京の新聞の実際の紙面の「首相動静」欄の写真を掲載してツイートしたのである。

3年前の新聞紙面をデジタル版ではなく新聞本紙で用意し、その画像をアップできるなど、個人レベルでできることではない。これについて、ネット上では「組織的に運営されているアカウントでは?」との疑惑が浮上。投稿時間の傾向などから「シフト制の可能性」も示唆されていただけに、それを裏付ける形となってしまった。

この疑問に対して、政治ジャーナリストの安積明子氏は同22日、ツイッターで「国会図書館分館(院内)を使えばたやすい」と投稿した。

国会議事堂内にある「国会図書館分館」とは、国会議員、議員秘書、政党職員、国会職員、国会担当の行政省庁職員などが利用できる施設だ。つまり、この施設に出入りできる者からの協力なくして、このスピードで新聞紙面アップは不可能に近い。安積氏の推測が正しいとすれば、ここに出入りできる人物からの協力によってツイートに使用した安倍首相擁護のための画像を収集できたと言えるのだ。

つまり、このアカウントのツイートには、「自民党関係者による協力があった」と考えるのが妥当なところだろう。

自民党のネット工作は「Dappi」だけにあらず

今回問題となっているDappiアカウントによる執拗な「野党攻撃」や自民党の不正に関する「擁護デマ」については、何も今に始まった話ではない。

すでに自民党は「自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC、通称:ネトサポ)」という主にネットを介して活動する支援組織や安価な値段で雇えるクラウドワーカーたちを使って、巨大掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」やTwitterなどで、自民党を擁護する発言や野党を攻撃するためのデマ投稿などを多数おこなっていることが確認されている。これらは全て時給や「1書き込みにつき●●円」といった報酬を支払って雇われた短・長期のアルバイトだ。

また、同じような投稿は「別の組織」の関与も取り沙汰されている。それが、カルト宗教団体の信者と思われる人々だ。特に「統一教会」の名前で知られている「天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合」と「幸福の科学」2団体が自民党を強く支持しており、信者と思われる人物による「野党攻撃」や「モリカケ擁護」のネット工作は有名な話だ。

安倍晋三氏と「統一教会」の深い関係

以前も「安倍晋三、統一教会との蜜月を笑顔でカミングアウト。イベント登壇&韓鶴子総裁を称賛で本性あらわ、「票とカネ」目的の歪な関係」の記事で紹介した通り、安倍氏は統一教会系のNGOが主催するイベントにリモートで出演して会場を沸かせたことはネット上で大きな話題となった。安倍氏の祖父である岸信介元首相が、統一教会に協力して反共産主義政治団体「国際勝共連合」を日本に設立させたのは有名な話である。

安倍氏自身も官房長官時代の2006年、統一教会系の「天宙平和連合」の合同結婚を兼ねた集会に祝電を送るなど、統一教会への関与がしばしば取りざたされてきた。

そうした団体の信者たちが、自民党や安倍氏をネット上で支援するのは不思議な話ではない。Dappiアカウントのようにお金を支払って協力を依頼した法人やネトサポ、クラウドワーカー、そして結びつきの強いカルト宗教信者の支援を受けていた自民党だが、今回の「Dappi」問題で疑われるのが、その資金の出どころだ。

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中国の五毛党と変わらぬネット工作が「官房機密費」で行われている?

中国では、ネット上に中国共産党が雇った工作員たちが多数存在しており、その工作員たちは「五毛党」と呼ばれている。一つの書き込みにつき「5毛(0.5元、約8.5円)」がもらえるためその名が付いたと言われているが、日本のネトサポなどもこれに当たるだろう。こうした無数の人員を雇うにはある程度の資金が必要となる。いくら日本最大の政治政党とはいえ、政治資金にも限界があるに違いない。そこで疑われるのは、何に使ったのかを公開せずとも使える「官房機密費」の存在だ。

日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は2021年10月10日のデジタル版で、

菅義偉前内閣が約1年間の任期中に支出した内閣官房機密費(報償費)は約13億3000万円に上ることがわかりました。このうち加藤勝信官房長官(当時)が自由に使える領収書不要の「政策推進費」が約11億6000万円と87%を占めました。

と、多額の資金を使用していたことを報じている。こうした「領収書不要」で使える11億円を超える資金から、こうしたネット工作への資金が使われていた可能性は否定できない。現に、「野党批判」と「自民擁護」を繰り返していたDappiアカウントは10月1日に、菅義偉前首相の緊急事態宣言の解除を告げるツイートのリツイートを最後に投稿はおこなわれていない。菅政権との「契約」がここで終了したからだろうか?

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