よろしくお願いします。

ふむ…。

わかりました。それでは「めんどくさい」をすぐに消す方法を教えます。

目をつぶって、片足立ちになって、30秒声に出して数えてみてください。　

これは、効果抜群なんですよ。

斎藤さん、足元がプルプルしていますよ～（笑）

OKです。斎藤さん、頭の中がスッキリしていませんか？

これは「めんどくさい」という感情を忘れるテクニックなんです。

「めんどくさい」って思えるのは、自分の脳に余裕があるとき。その余裕で本来考えなくてはいけないこととは別に「めんどくさい」ということを考えてしまっているんです。自動車で言えばアクセルとブレーキを同時に全力でかけているような状態ですよ。これは疲れますよね。

そこで、さっきのやり方です。目をつぶって片足立ちになる。声に出して数を数える。すると、脳の中のバランスをとる部分と、数を数える部分、発声する部分を全力で使うことになります。これでもう「めんどくさい」なんて考えている余裕はなくなるんです。

この方法は、脳のいろいろな場所を同時に使っているので、脳が一気に活性化されます。使えるテクニックなんですよ。

そうですね…。斎藤さん、仕事もめんどくさいって言っていましたよね。静かなところで仕事をしていませんか？

一人の自室や、図書館のような、静かすぎる環境は集中するのにあまりよくないんですよ。

環境が静かすぎると、内省的になってしまうんですよ。脳が「自分は今めんどくさいのではないか？」って自分に喋りかけてしまう。

勉強するときはカフェをおすすめしますね。人が適度にしゃべっていて、雑然としていた方が良いんですよ。私は学生のころに10時間くらいカフェで勉強していたことがあります。

最終的に友達から「カフェ勉博士」というあだ名をつけられました（笑）。もちろんその間は適度に注文をしていますよ。

そうですね…。さっきの歯磨きの話でいうと、「めんどくさい」と感じる時間帯は「朝」ですよね。

朝はまだ脳が覚醒していない状態です。また、朝は脳への酸素の供給がうまくいっていません。脳はすごく酸素を使う器官ですからね。

また、歯磨きのように手先で力の微調整をすることを巧緻（こうち）動作といいます。これは脳にとって負担がかかるんです。まだ起きていない時間帯に手先を使う動作は、めんどくさいと感じやすくなる。

人間の脳が一番覚醒するのは昼の2～3時ごろ。その時間にやるとめんどくさく感じにくいと思います。

でしたら、歯磨きの前に軽く外を歩いてみたらいいですよね。室内だったらラジオ体操をするのもいいでしょう。このように身体を大きく動かすことを粗大（そだい）運動といいます。これは歯磨きなどの巧緻動作とくらべると、脳への負担が少ないんです。まずはこうしたところから脳を慣らしていけば、だんだんと覚醒していきますよ。

そうそう。それからね、脳が一番めんどくさいと感じるのは「寝不足」のときですよ。睡眠が足りないと脳は起きているだけでいっぱいいっぱいになってしまいます。

そうそう、しっかりと寝ている人は「めんどくさい」を遠ざけることができますよね。

それからね、自分が「不得意」なことをやらされると、脳はめんどくさいって感じてしまう。

奥さんがなぜ歯磨きをめんどくさからずに丁寧にやっているのか。それは歯科衛生士で得意だからですよ。

不得意じゃなくても、自分の枠を超えようとすると、めんどくさくなるんです。歯科衛生士の奥さんに言われて、今までよりも丁寧にやろうとしているんじゃないかなあ。ちゃんと時間をかけなさいとか、言われているんでしょう？

自分の枠を超えようとすると、今まで使っていない脳の神経細胞に酸素を送って、活動させなくちゃいけない。これはとても負荷がかかることなんです。

でも「めんどくさい」と感じることは脳が未熟であるサインと考えてみてください。それに気付けば、自分の能力を高めるチャンスにもなります。

近年の研究で、脳は死ぬ瞬間まで育ち続ける器官であることがわかってきました。あえて「めんどくさい」ことをするのもいいんですよ。

完全に消すことはできないでしょうね。ただ、「めんどくさい」を一時的に、忘れたり、遠ざけたりすることはできます。

なるほどね。確かに「めんどくさい」を全く感じない人間になったら、勉強はできるようになるでしょう。ただそうなると、「めんどくさい」と感じている人の心が理解しにくくなってしまいます。そうすると、仕事はやりにくくなるかもね。

他人の「めんどくさい」がわかるのは、とても高度な能力なんですよ。

そうそう。ちなみに、朝の忙しい時間帯に、奥さんの様子をうかがうのも高度な能力ですよね（笑）。がんばってください。