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感染症対策と経済復興の二項対立を克服しコロナ後の新しい道を拓きたい

神津里季生・山口二郎の往復書簡(5)「あいまいさの海」にいては嵐を回避できない

神津里季生 連合会長

 私は法政大学の山口二郎教授との間でここ数年、「一強政治の弊害に歯止めをかけるためには、旧民主党勢力が一体となって力を持たなければならない」という思いを共有しつつ、幾度となくやりとりをしてきました。善後策も模索してきました。しかし思うに任せない状況が続くなかで、今回のコロナ禍を迎えてしまいました。日本の政治はいったい何をしようとしているのか? いったいどこへ行こうとしているのか? 社会におけるあらゆる事柄がこれまでの延長線上では対処不能なことは明らかです。長期戦の先のトンネルの出口を渇望し、山口教授と(できれば2週間おきくらいに)書簡の往復をお願いした次第です。今日はその第3回目です。

連載・往復書簡 コロナ危機と政治 神津里季生・山口二郎

拡大Black_Kira/shutterstock.com

山口二郎先生

 前回の書簡(「その場しのぎの緊急事態宣言解除~社会を掴む握力を失った政治」)において、嘆きに嘆いた「甲子園」の問題でしたが、その後変化がありました。選抜出場が決定していた高校同士による一試合限定という形で、球児の活躍の場が実現することとなりました。もやもやした感じのニュースが多いなかで、しばし胸をなでおろす思いでした。

 山口先生が初回の書簡(「日本の宿痾『あいまいな構造』を拡大、強化した政治・行政改革」)の冒頭でおっしゃられたように「嘆くだけでは愚か」です。高野連は「次の改善」に向けて、相当の努力を重ねたものと推察します。高校球児の、大人たちへの信頼感はこれでかろうじてつながったかもしれません。

 しかしまだ問題が残っています。それは観客を入れるか、入れないかです。私は是非観客を入れてもらいたいと思います。徹底的なPCR検査を施すことによって、観客を入れてほしい。そして、選手たちの夢が実現する舞台に、あたたかい声援と拍手が届くようにしてほしい。

 これは決して実現不可能ではないはずです。文字通りの「次なる改善」です。

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筆者

神津里季生

神津里季生(こうづ・りきお) 連合会長

1956年東京都生まれ。東京大学教養学部卒。在学時は野球部マネジャー。79年、新日本製鐵に入社。84年に本社労働組合執行委員となり、専従役員の活動を始める。外務省と民間の人事交流で90年より3年間、在タイ日本大使館に勤務。その後、新日鐡労連会長、基幹労連中央執行委員長などを経て、2013年に連合会事務局長に就任、15年より同会長。近著に「神津式労働問題のレッスン」。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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