布団丸洗いで市場開拓 宇都宮の「フトン巻きのジロー」
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布団専門のコインランドリーを展開する、フトン巻きのジロー(宇都宮市)が攻勢に出ている。布団丸洗いという事業の新規性が認められ、10月に日本政策金融公庫から「挑戦支援資本強化特例制度」による資本性ローン1億5000万円を調達した。12月に本格導入予定の新アプリで顧客との接点を増やすほか、フランチャイズ(FC)を含む店舗拡大に力を入れている。
フトン巻きのジローはその名の通り、布団を独自の方法で巻いて固定することで敷布団も丸洗いできることが強みで、19都道県に直営とFC店合わせて70店舗超を展開している。布団は加工方法によって中綿が固定されておらず、洗濯すると中綿がよれて使えなくなることがある。この課題を解決し、大型洗濯機での洗濯・乾燥を可能にした。店舗では自分で布団を巻いて洗えるほか、スタッフが代行して固定、洗濯するサービスなども手掛ける。
新たに導入するアプリでは、年間の利用金額に応じて還元率が変わるポイント制度や、クレジットカード情報を登録すればスマホを通じて支払いができるサービスなどを搭載する。
アプリ導入の大きな利点は利用客と直接つながれることだ。通常コインランドリーでは店と客が接点を持ちにくく、顧客情報を集めることが難しい。アプリはキャンペーン情報を届けたり、誕生日ポイントを付与したりして顧客との接点を増やし、リピーターを確保する一つの手段になる。福田直樹社長は「利用履歴を基に『そろそろ布団を洗いませんか』とメッセージを送るなどさまざまな使い方が考えられる」と話す。
アプリ自体にそれほどの新規性があるわけではない。同社が狙うのは布団の即日洗濯という新しい市場の掘り起こしだ。クリーニング店でも布団の洗濯は可能だが、依頼してから洗い上がりを受け取るまで数日かかる。フトン巻きのジローでは1時間半から2時間程度で乾燥までできるため、消費者は手軽に洗濯ができ、布団を清潔に保てる。
日本では1人あたり平均2.3枚の布団を持つとされ、同社は国内に3億枚、約6000億円の洗濯市場があると試算している。福田社長は「1割にあたる600億円を獲得する」と意気軒高だ。売り上げ増に直結するのは店舗網の拡大。年内には95店舗に増やし、22年にはさらに50店舗上乗せする計画だ。アプリの導入でユーザーを安定確保できることが示せれば、FC加盟の魅力を高められる。「今後10年で全国47都道府県に1000店舗を構える」(福田社長)と話す。
同社は2017年に現会長の森下洋次郎氏が沖縄で設立したランドリージローが前身。本州などへの店舗展開を強化するなか、20年、沖縄以外のFC事業を担っていた宇都宮に本社を移転した。20年12月期の売上高は8億円で、今期は12億円となる見通しだ。日本公庫などから調達した資金を店舗増強に投じ、「27年には売上高43億円を目指す」(福田社長)と意気込む。
(宇都宮支局 桜井豪)
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