こんなオールナイト上映会が
東京 池袋の新文芸坐で行われました
『トップをねらえ!』はアニメファンの間ではあまりにも有名な名作中の名作!!
今回は後年に制作された『 2 』も上映されたけど
有名なのは元祖の1988年制作、庵野秀明監督作品のほうです
わたしはリアルタイムでこの作品発表時からの大ファンでした
一昨年にこの作品についてまとめてみた記事は
あまりに好きすぎて、思っていることのすべてはとてもまとめきれていないですが(^_^;)
この作品はOVA(オリジナルビデオアニメーション)として制作された作品で、元々は劇場版ではありません
1話30分 全6話からなる作品で、1話目のグダグダロボットスポ根少女アニメ(?)から話数が進むごとに次第に本格SFのドラマチック且つハードな展開となっていって、最終話では想像もつかない大感動のクライマックスを迎えるという
私の中では30年以上経った今でも、SFアニメとしては劇場映画を含めても未だにこの作品を凌駕する熱量の作画、そしてドラマ性の作品には出会ったことが無い!
と言ってもいいほどに金字塔的な作品です
(私の中ではエヴァよりもこっちの方が上なのです)
今回この『トップをねらえ』の上映と、その上映前にゲストを招いてのトークショーが行われました
全体のタイムスケジュールはこうです
そのトークショーのゲストこそ
主役 タカヤノリコ役の日高のり子さん
そして
「お姉さま」 アマノカズミ役の佐久間レイさん
です
もうアニメ声優としては一時代を築いた超人気声優のお二人
新文芸坐の司会の方の言葉で言えば
「スペシャル中のスペシャル、
その中でも頂点のお二人」
お名前を知らなくても
日髙のり子さんは
『となりのトトロ』のさつき
他にも『タッチ』の浅倉南や『らんま1/2』の天道あかね役
佐久間レイさんは
『魔女の宅急便』のジジ
他にも『らんま1/2』のシャンプー役など
日本人ならどこかでその声は聴いたことがあるはず
そんな超有名声優のお二人が登壇です
私自身、生のお声を聴くのは初めて(≧◇≦)
で、
なぜ今日、トップをねらえ!のオールナイト
そして日髙のり子さん・佐久間レイさんのお二人をお招きしたのか?
これは私も説明を受けるまでまったく気が付きませんでした
このイベントが行われた7月6日(土)は
地球を救ったノリコとお姉さま カズミが、
今から約1万2千年後に地球に帰ってきた記念日なんです
ネタバレになるのでこれ以上は触れませんが
そんなスペシャルな日だからこそのスペシャルなゲストを招いてのトークショーということでした
トークショーは主催者でアニメスタイル誌編集長の小黒祐一郎氏の司会で始まり
まず個人的に何と言っても感動したのは
特に日髙のり子さんの生声
まさにタカヤノリコ本人であり、
そして一般的に馴染みのあるキャラで言えば
南ちゃんの声そのままです
なんて贅沢なトークショー
そしてトークショーのお話しの内容は
これはもう
トップをねらえ!ファンにはツボのネタ満載で大爆笑の連続、
そして制作秘話などの貴重なお話の1時間でした(^O^)
トークショーのあいだ要点をメモしてきたので
少し長くなりますが思い出せる範囲でトークの中身を記録しておきたいと思います
(日)日髙のり子さん
(佐)佐久間レイさん
(小)司会 小黒祐一郎さん
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
(小)お二人ともレッツゴーヤング(NHKの歌番組)に出ていた
(補足)約35年前のお話しです
そしてお二人ともアイドル歌手でした
(日)私の方がレイちゃんより歳が上なのでサンデーズ時代は私の方が先でした
(佐)NHKの上の廊下で先輩のレギュラーメンバーの方々が歩いてくると頭を下げてました
のり子さんだけが私に声を掛けてくださった
(佐)トップの声は声優を始めてまだ2年くらいでした
(日)オーディションは無かったですね、いきなり予告編の声入れとかやってた
(佐)最初は全部で四話って言われてました
(日)アフレコの最初の頃は庵野さん(監督)が怖くてあまり話をしなかったです
笑顔が無くて挨拶をしても表情一つ変えない感じ
今思うと、庵野さんの初めての監督作品なので、緊張してたのが顔に出てたのかなと思うけど
(佐)アフレコの後で話した時があって、そのとき「ボクの第一印象、悪いですか?」って(のり子さん大笑い)
そのときのり子さんが一生懸命アドバイスされてましたよね
「もっと笑顔で」とか
(アフレコのエピソードの話しになって)
(日)5話の時は5話と6話を続けて2本取りでした
5話は叫ぶところが多くて声が枯れるのでそこを最後にして他を先に録って
私だけ残って叫ぶところを録りました
(佐)私とマリアちゃん(ユング・フロイト役の川村万梨阿さん)だけが外で待ってたら、マリアちゃんが「のり子ちゃん、なんか出ちゃってるよ」って (会場爆笑)
もうあまりにやり過ぎて中身出ちゃったよ って
(日)あのときは庵野さんと戦ってたの
音響監督さんから「監督が技の叫び方を直接教えたいって言ってるよ」ってお話があって
庵野さんが上から下りてきて
「パイロットの魂のこもった叫びが技の強さになるんです」
「だから魂の底から叫ばないと怪獣は倒せないんです」 と
で、「今からボクがやります」って言われて
「バスタアアアア!! シイイイイルド!!」
って庵野さんひとつ叫ぶたびにソファに倒れこんじゃって(笑)
(佐)そう、文字をひとつひとつ叫ぶように言われた
「うおーー!」って伸ばすんじゃじゃなくて
「うおおおおおお!!」とか「うわあああああ!!」とか
(小)それは台本がそう書いてある?
(日)台本がそうなってるんです
で、「なぜそうなってるか、わかりますか?」っておっしゃって、
「わかりません」って言ったら、
「うおおおおお
と押していって、最後が一番強くなるんです」 って
庵野さんはあの頃毎日徹夜だったので、叫んだあと多分軽いめまいになって倒れちゃってたんでしょうけど、
庵野さんがこれだけやられているんだから私もやらないと と思って
「うわああああ」ってやって
「これでいいですか?」って
そういうやり取りをずっとやってました
それで終わってからお腹が空いたのでスタジオを出た先のラーメン屋に行ったらマリアちゃんが待ってて、
私の顔を見たら「すごい怖かった」って(笑)
(佐)庵野さんてオーケストラの指揮者みたいな気がする
自分の中で音のイメージがきちんとあってこだわりがあって、
だから聴いていて少しでもそこから外れるとすごく嫌がる
(日)そうそう、1話の指令室の聞こえてくる声、あれは全部口パク無しのオフゼリフで
前の人のセリフが終ったら次の人がセリフ言うみたいな感じの
その入るタイミングが庵野さんのタイミングとズレちゃうと「違う」ってなって、何度も何度もやり直してた
ああいうシーンは大抵新人さんが入ってるけどもの凄くしごかれて
私たちは後ろで待っていたけど、「これ、順番回ってくるのかしら?」って
それで『シン・ゴジラ』見たんですけど、会議室でみんなすごい早口で喋らされてるの聴いて
「同じことやらされてるう」って(会場大爆笑)
(佐)やらされたなあって (笑)
(日)何十年経っても変わらないなって、思いました(笑)
(佐)私も何十年経っても未だにうなされるのがワープ?
次元波動***ってやつ
漢字で書かれていて読み方もおぼつかないで、もたついて読んでいたら庵野さんに
「お姉さま(アマノカズミ)はこんなこと「おはよう」と挨拶するのと同じくらい当たり前のことなんです。
あなた「おはよう」っていちいち字を見ますか?」って
「見ないです」って言ったら
「覚えてください」って
それでちょっとの時間の間に必死になって覚えたんです
(ここで空でそのセリフを披露)
「次元波動超弦励起縮退半径跳躍重力波超光速航法、略してワープ」
(会場大拍手)
未だに抜けない、、、
あれ、おまけの科学講座だよね?
(補足説明)
各話の最後に「科学講座」というミニコーナーがあって
ここで佐久間レイさんが吐露されていたのは、第3話の科学講座で出てきたワープの説明のお話しのことです
(日)あれ、2頭身なんだから(笑)
私なんか(ふざけた感じで)「タカヤでえーす」なんてやってるときに、お姉さまはすごい可哀想なことをやってたなあって
とにかく監督はこだわりが凄かったですね
それだけこだわったからこそ、今に至るまで皆さんに愛される作品になったんでしょうね
(小)ところで今日は5.1ch版での上映なんですけど
お二人は元のステレオの方が好き?
(補足説明)
1988年制作時の元の収録音声は2chステレオです
18年後の2006年に劇場版を制作時に、声優陣が再集結して新規にアフレコ録り直して5.1ch音声版を収録しました
その再収録についてのお話しです
(二人とも)ステレオ版の方が好きです
音はちょっとアレかも知れないですけど若さとか熱量が
(日)最初の収録のときは1話を録って次がどうなってるかわからないで録ってるから、一緒に生きた感じがすごくあるんです
(佐)そうそう、「次、どうなるんだろう」って
(日)元のはアフレコのときに絵がまだ出来てないで録ってるシーンもあって、
そういうとこでは息づかいみたいなアドリブが抜けてるところもちょいちょいあるんです
新しい方は絵があるので、そういうシーンでも音響監督さんと相談して足したところがあるので、そういう点は新しい方がいいですけど
(佐)あと、キミコ役の渕崎さんは新しい方では渕崎さんが全部録れたのが感動でした
(小)元の時は渕崎さんは二十歳ちょっとくらいだったので5話・6話のお母さん役はまだ難しいだろうということで別の人が声を入れたんですよね
(佐)年齢ということでは、お姉さま(アマノカズミ)が髪を切ってからのとき
自分より全然上の年齢をやらなきゃいけないので、当時は「どうしよう」って悩んでいたんです
そういえば1話の最初を録ったとき、のり子さんが隣で「レイちゃん、それ地声?」って聞いたの
「わりと地声です」って言ったら「フーン」って(のり子さん爆笑)
大人っぽい声って感心していましたよね
(日)多分、自分には無い声だなって
(佐)それにノリコ役が日髙のり子さんでしょ?
私、未だに呼び捨てに出来ないんですよ、
ずっと「のんこさん」って呼んでる
だけどセリフではいきなり「ノリコ」って呼ぶのが「スイマセン」って、1回ごとに頭下げてました
(日)レイちゃんはそうすると新しい方がお姉さまを演じるのは楽だった?
(佐)そうですね、18年経ってるから
みんなそのまま再現出来てましたよね?
(小)バッチリでした
でもどうして5.1ch版があるのにこれまで2ch版の上映を続けてきたか?
若本さんの芝居が違うからです! (会場大爆笑)
(日)やっぱりー?
(佐)(会場に)そう思う?
(会場中 拍手で合意 笑)
(日)若本さんが個性を付けてナレーションとかもされるようになって
それがコーチにも盛り込まれちゃってるんです
そう言われてみれば、最初のアフレコのときはカットが変わっても若本さんのセリフがおしてくることは無かったですよね
最初の時にはちゃんとおさまってたコーチのセリフが、新しい方では同じセリフなのに入らなくなっていた (会場大爆笑)
若本さんが話してるカットがどんどん先に進んで他の人の口が動いちゃってるみたいな(爆笑)
若本さんが「ちょっと長いな」っておっしゃるから
「でも前と同じセリフですよね」って
(佐)若本さんが隣に座ってて、
(低い声で声真似しながら)「オレ、芝居良くなったろ」って言ったの
で私が
「私の好きなコーチはこんな人じゃなかったです」って(会場大爆笑)
言っときましたあ
(日)ノリコには「甘いぞ!タカヤ!」って、上からグワーって言われるけど、でも前はさわやかでしたよね?
(佐)強く言うんだけど真っ直ぐだったんだよね
(日)コーチが病気になっちゃって血を吐く場面、
ゴホッゴホッって
コーチの病が、録り直したら悪化してるんです(会場大爆笑)
(佐)そうそう、重病になってるのよねえ(笑)
(日)若本さんはご自分の中で「このときのコーチはこれくらいの重さの病」って考えていらしたみたいなんですけど
(低い声で声真似しながら)
グエヘ! グエヘ! グエヘ!
なんて感じだったんですよ
でも絵はこれくらいの血が垂れるだけなの
なのに音で聴くとすごい吐血だったんです
でも画面に映った血が点々ってくらいだったから、
私それがおかしくておかしくて
(佐)演出さんも(大御所の)若本さんに「それ変だよ」とは言えないから
(日)そうそう
「若本さん、もう少し軽めでお願いします。 コーチ、もう少し生きられます」って
でね、わたし本当におかしくって
若本さんは大真面目にやっていらっしゃるから、私は笑わないように台本持ってる方の手をつねって「コーチ!」って (会場大爆笑)
みんなは後ろで笑ってるけど私は笑えないから一生懸命「コーチ!」って
もう苦しくて苦しくて(爆笑)
私たちって初めに演技をしたときの力加減を体で覚えてるとこがあって
その感じで時間が経ってからやると強さが増してることってよくあるんです
若い時と感覚が違ってて行き過ぎちゃうことがあるから、
だから若本さんがそうなったのもわかるんですけど
…でもすごかったですわ
(声真似で低い声で)
「提案があります」って 浴衣で来ちゃって(会場大爆笑)
(佐)1回目録ったときはコーチがさわやかなのでそれも全然気にならなかった
(日)気にならなかったし、コーチが病をおして来てくださった
ありがたいって(笑)
(佐)新しく録ったときはおかしくておかしくて、笑うシーンじゃないから困っちゃった
(補足説明)
ここまでの大御所声優 若本規夫さんイジリの内容はブルーレイ版の5.1ch音声を聞けば一発でわかります。…って、このお話しを聞いてしまうともうこの生きるか死ぬかのシリアスな場面で笑ってしまいそうですけど(;^_^A
(佐)初めて1話2話を観た時に、6話がこういう終わり方になるって思いました?
(小)誰も思ってないでしょう。1話の調子でずっと続くと思った
こういう展開ですよって説明は無かった?
(佐)特に。
私なんかキャスティング自体も「どうして私を選んだんですか?」って聞いたら
「うーん、、教育テレビでお姉さん役やってたから」
「お姉さんだから」って(笑)
(日)アフレコ終わりの方でみんな揃ってた時に
「どうして私たちをキャスティングしたんですか?」って聞いたの
そしたら「NHKのお姉さんだから」って
で、わたしは『となりのトトロ』でサツキが泣くシーンがあって、
「ノリコはとにかく泣くシーンが多いから、それでトトロの泣くシーンを見て決めました」って
(佐)普通はあれだけセリフにこだわる方ならオーディションで選ぶと思うんです
その頃私はまだ声のお仕事を始めたばかりで、まだ子供の役しかやってなくて大人の声をやってない
だから「声を聞かないで決めました?」って聞いたら
「うん」って(笑)
やってみたら大人の声出来たから良かったですけど
のり子さんのことも言ってましたよね?
のり子・ノリコ・法子で良かったって
(日)トリプルのりこは良く言われてました
酒井法子ちゃんと私(日髙のり子)とタカヤノリコで
(日)アフレコというものがどういうふうにやるのかとか、庵野さんの中に全然ノウハウが無くて
だから随分たってから、、、
(佐)そうそう、打ち上げみたいなときだったかな
「二人とも宮崎さんの仕事してますけど」って
(宮崎駿監督作品のこと。トトロと魔女宅)
(日)「宮崎さんは直接ダメ出しをしましたか?」って聞かれたので 「いいえ」って
「監督はスタジオの中には入られません」
「音響監督さんを通して全部伝えられます」って言ったら
「しまったあ」って (会場爆笑)
(佐)音響監督さんが本当に大御所の方だったので、それすらも大きく受け止めてらしたから何とかなってた
(日)でもそのことを庵野さんがもの凄く後悔されてたんです
「えー 言わないのお」
「宮崎さんは言わないのか」って
だから何度も「言いません、言いません」って
「ニコニコと見てらっしゃるだけで、ほぼほぼお話したこともないです」って言ったらすごくショックを受けていて
それで庵野さんは「ボクはもうお会いする機会が無いので、音響監督さんに謝っておいてほしい」 と言われて
で、わたしたち音響監督さんにちゃんとお話しして謝ったんです
「次にお願いするときにはもうこんなことはありませんので、ぜひもう一度お仕事をご一緒にと考えてます」って庵野さんがお詫びしてましたよって
そしたら
「彼の気持ちはよーくわかった」
「でもね、ボクはもういいや」って (会場大爆笑)
庵野さんのことはよくわかっているので「とてもいい人です。何とかチャンスをもう一回」って言ったんですけどねえ
(小)時間が来てしまいましたので最後にここを見てもらいたいとかありますでしょうか?
(佐)仕事をしてたりいろいろな場面で落ち込んだ時にこれを見ると励ましてもらえる、そんな作品だと思います。
(日)再アフレコをするときにもう一度全部見直してみたときに、体中から血潮がみなぎると言うか、この作品はこんなにもみんなを元気にする力があるんだと改めて感じました
オススメは5話です!
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ラフになぐり書きでメモした内容から思い出しながら文章を起こしたので、実際の言い回しなどと違ってしまっているところが多々あると思いますが、その点はお許しください
長い長い文章になりましたが、読んでいただけたら雰囲気としてはどのようなお話しをされていたのか程度にはお伝え出来たかと思います
個人的には最近は若い声優さんのトークイベントを聞く機会も何回かありましたけど、このお二人のお話しは「さすがベテラン声優のお二人!」と思える、歴史と経験を踏まえたお話しで、とても感慨深いものがありました
そしてオールナイトの上映の方は
『トップをねらえ!』の方は、やはりトークの中でも話が出たように
私としては元々の1988年収録の音声の方で聴きたかったな と
そして『トップをねらえ2!』のほうは
こちらは私はこれまで作品の存在は知っていても食わず嫌いで未見だったのですが
まあ、個人的には食わず嫌いで正解だったな と(笑)
やはり王道は1988年制作の『トップをねらえ!』オリジナルバージョンです
日本のアニメ史に残る永遠の名作だと思います
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