“イバラの道”続く
「グリュック王国」(4)

(5)2002年の取り組み
 イベント「とかちフードメッセ」に期待


○前年のコンセプトは引き継がず

 「環境と癒しを重視した新しい観光地に生まれ変わる」決意で開催された「21世紀のエコ・ミュージアム」関連イベントは、同年のシーズンオフを迎え終了。2002年の春まで、「グリムの森」遊園地以外の一部施設とホテルの営業のみで、北の厳冬に耐える。

 2002年の「グリュック王国」の姿は、前年と引き続き、21世紀のエコ・ミュージアムとしての連携かと思いきや、我々の取材に対して公開されたイベントパンフットのゲラを見ると、今度は「食」である。「グリュック王国」の駐車場に特設のテント会場を設けて実施するイベント・「とかちフーズメッセ」に全面協力することが明記されていた。

 その内容は、食の安全性が問われている現代に、北海道特に十勝産の安全な食材を実際に味わって理解を高める場を提供する。ターゲットは地元から全国の消費者と仲買人・卸関係者である。つまりプロ向けのトレードショーの一般開放日と考えてくれればよい。もちろん、集客を意識して、芸人も多数登場する。

 実はこの企画、札幌市にあるコンサルティング会社からの提案を受けて決定された(西社長が)。地元・帯広の食材を扱うことによって、オープン期以降冷えきっていた地元との関係を再構築できるのでは、との期待もあるようだ。

 ただし、イベントの内容、短期の実施期間(8/10~18日、10/5~14日)からすると、季節イベントであり、「グリュック王国」の今シーズンを代弁する性格のものでもないと思うのだが、例によって西社長の手にかかると、あたかも通年テーマのように案内パンフレットのトップページを占める結果となっている。
 そして、前年にアピールした「21世紀のエコ・ミュージアム」のディテールについては、「グリュック・エコミュージアム」として、資料や写真の展示に集約され、パンフレットにおいてもホームページでも小さな扱いとなってしまった。

2002年のイベント「とかちフーズメッセ2002」を告知している同社のホームページ


展示と掲示で構成される「風とともに去りぬ」資料(同社Webより)
 
「ジョン・レノン アートギャラリー」入口(同社Webより)


○映画ファンターゲットの「クラシックシネマの館」

 もう一つの集客策は、映画ファンをターゲットに、「クラシックシネマの館」を「マキシミリアン皇太子離宮」にオープンした。「館」とネーミングされるが、新規に投資がかなう状態ではないため、実際は部屋を改装した空間である。資料類の展示で構成され、ハリウッドの名作『風とともに去りぬ』のお宝級のポスターの常設が呼び物となっている。これもまた持ち込みの企画だという。

○「ジョン・レノン アートギャラリー」

 そして、取材時にはアナウンスされなかったのだが、2002年6月から「ジョン・レノン アートギャラリー」がここに加わった。16点のリトグラフの展示である。話題性を高めるため、毎日、先着20名の入場者に展示と同じ図柄のポスターを無料でプレゼントしている。また、入場料は不要である(「グリュック王国」の入場料に含まれる)



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