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“イバラの道”続く「グリュック王国」(3) |
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2.現在までの経緯 開園3年目から不採算体質に |
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(1)オープン |
オープンセレモニーのようす。(同社資料より)
ビュッケブルグ城の大天井画 「グリムの森」遊園地 |
(4)施設のテーマの転換 ハードリソースを舞台にイベント展開 すでに新規投資は凍結されており、現状のリソーセスを最大限に活用したイベントを核に勝負に出ている。本格的なドイツ文化の再現・体験の提供は、残念ながら人気を得られなかったのが現実である。本物と変わらない構造物空間で、ステレオタイプのドイツ文化を見聞できるといっても、多くの人々にとってテーマそのものの敷居が高すぎたせいか、うまく感動を与えられなかったのである。むしろ、「グリムの森」にある遊園地の方が、集客力と競争力を保持できていた。 西社長にとっては容認できない結果であったろう。しかし、“グリュック王国は自分の体の一部”(新聞報道より)、自慢の石畳が車椅子や子供に歩きにくいと批判されても、改修には頑として首を縦に振らなかったほどこだわりに燃える事業家が、事業への固執を忘れることは120%ありえない。2001年、集客改善における起死回生を狙い、これまでのドイツの歴史文化体験の本文はそのままとして、表紙と目次を大幅に入れ替えたイベントに取り組んだ。それが「十勝エコ・ヒーリングガーデンフェスト花大祭」である。ここからグリュック王国の施設テーマが、「十勝幸福街道/21世紀のエコ・ミュージアム」に転換されたのである。
○日本版ロマンチック街道の「十勝幸福街道」 |
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これまで、ドイツ中世の歴史文化や伝統を再現し体験してもらうこと、つまりどちらかといえばドイツの過去の資源を集客訴求に置いていたのだが、前述のように不完全燃焼に終わり、そこで今度はドイツの未来にフォーカスを転じたというわけである。新聞には西社長の意思として、“環境と癒しを重視した新しい観光地に生まれ変わる”との決意が掲載された。これがオーナー企業らしい小回りの利くドラスティックな経営判断の好例だが、施設の根幹にかかわるコンセプトの転換は慎重に行うべしとも言える。ご本人に聞いたわけではないが、そうした声が気になったのか、新生グリュック王国のスタートとなるはずの「十勝エコ・ヒーリングガーデンフェスト花大祭」は、結局のところ、既存の施設機能やサービスはそのままに、エコロジー関連の多数のイベントを加味したような内容に落ち着いてしまっていた。 |
2001年のイベント「花大祭」の案内パンフレット |
十勝幸福街道は「ロマンチック街道」と「メルヘン街道」 |