「江戸と北京」展で、18世紀のふたつの都市文化の“くらべっこ”をしてみませんか?

  • 文:坂本 裕子

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「熈(かがや)ける御代の勝れたる景観」の意を持つ江戸の絵巻は神田から日本橋までの町人街を、皇帝の誕生日を祝う「万寿節」を表す北京の絵巻は、80歳を迎えた乾隆帝が祖父康熙帝に倣った式典の官吏街を描きます。建築、衣装などの違いはあれど、その活き活きとした喧騒はいずれも当時の隆盛ぶりを伝えます。 上:「熈代勝覧」江戸時代・1805年(文化2)頃 ドイツ・ベルリン国立アジア美術館蔵/下:「乾隆八旬万寿慶典図巻」 清時代・1797年(嘉慶2) 中国・故宮博物院蔵

18世紀の江戸は、人口100万人を超え、商人を中心に庶民がその文化の担い手になって活況を呈する、パリやロンドンにも並ぶコスモポリスでした。そして古代より関係の深いお隣の中国・北京は、清朝の首都として最も隆盛を誇った時期でした。鎖国の印象が強い江戸時代ですが、オランダと並び、中国とは長崎出島を通して、産物や文化の交流は途絶えることはありませんでした。

そんな同時代の両都市の文化や生活慣習を、居住、商い、ファッション、子育て、歳時、学問、遊び、演劇といった、身近なテーマによってセレクトした作品たちで比較する展覧会が、江戸東京博物館で開催中です。清朝の芸術や宮廷文化を紹介する展覧会はこれまでにもありますが、同時代の「生活」を切り口に両都市を比較する企画は初めて。互いの共通点と相違点を探しながら時代の空気を感じる、おもしろい空間が展開しています。

最大の見どころは、江戸は目抜き通り日本橋の、北京は乾隆帝80歳の式典に沸く西安門内大街の、それぞれの賑わいを描いた絵巻が全巻公開される競演です。江戸を描く《熈代勝覧(きだいしょうらん)》はベルリンから11年ぶり3度めの里帰り、北京を描く《乾隆八旬万寿慶典図巻》は日本初公開です。びっしりと描きこまれた人々の動きや表情はそれぞれに個性を持ち、街の様子や建物も細やかに、いずれも甲乙つけがたし。必見です!

このほか、風俗画はもちろん、当時の住居の模型、絵巻にもあるような店先の看板や、端午の節句の飾りと子どもの衣装、男性の正装服や女性の婚礼服、子どもたちが遊んだ玩具や大人の携帯した小物、工芸品など、多様な作品で、モティーフや細工、その意味が比べられる趣向になっています。“似てて、違う”、相似と相違の発見は、会場をあっちへ、こっちへ、駆け回りたくなる楽しさです。

最終章では、すべての作品が日本初公開という、首都博物館所蔵の清朝宮廷芸術や文人文化の精華、民間の優れた職人による工芸品が紹介されます。日本では沈南蘋で知られる沈銓(ちんせん)の画や官窯の制作を証する款のある精緻な陶磁器、驚くべき技で青玉を彫刻した朝顔形の水滴など、江戸人が憧れた北京文化も堪能できます。

国や体制は異なっても、現れ方や形象は異なっても、同じ時代に生まれた人々の「生きる」という活き活きとした息吹は変わらぬもの。なんだか時(世紀)も空(地理)も飛び越えて、ウキウキしてくる展覧会です。

「天中」とは端午の節句のこと。この時期活発になる五毒(サソリ、蛇、ムカデ、ガマ、ヤモリ)を避ける力のある虎が描かれた絵が厄除けに掛けられたり、子どもに腹掛けを着せたりしたそうです。祓われるものと祓うもの、対立の関係ながら、五毒も虎も踊るようなユーモラスな姿が楽しい作品です。 左:「天中五毒献瑞図(端午の節句に掛ける絵)」 清時代 中国・首都博物館蔵/右:「五毒肚兜(端午の節句の腹掛け)」 清時代 中国・首都博物館蔵

大坂夏の陣で功績を上げた武将今村正長に徳川家康が下賜した羽織には胸元と背中に葵の御紋が付されています。自身の手柄を同輩へ譲った正長の逸話を聞いた将軍自らが着用していたものを与えたのだとか。武家の質実剛健を求めた家康らしい、シンプルで機能的なデザインです。 「萌葱地葵紋付小紋染羽織」徳川家康/所用 [重要文化財] 江戸時代・初期 江戸東京博物館蔵

朝袍は皇帝、皇后、官吏が祭祀や朝会など、重要な儀式の際に着用する礼服。皇帝の朝袍には紺、明黄、大紅、月白(青)の4色が定められており、明黄は即位や万寿節、大廟などを祭るときに着用された最高位の色です。サテン地にこちらも最高位を示す、五本爪の龍の刺繍が豪華な一品です。 「明黄色納紗彩雲金龍紋男単朝袍(礼服)」雍正帝/所用 清時代 中国・故宮博物院蔵

腰の部分で色地や模様を切り替える意匠は18世紀前半から半ばの流行、多色を用いた友禅染であることから町人階層の女性のものと考えられ、武家女性のそれより現存数が少なく、貴重なものだそうです。下半身の青には水辺の風景、上半身には飛翔する鶴が刺繍された、あでやかな着物です。 「染分麻地水辺風景鶴模様帷子」 江戸時代・18世紀 江戸東京博物館蔵

短い上着と裙子(くんし:スカート)は漢人の女性の衣装。淡い桃色地に、金糸も含めた様々な色糸で花や波濤が細やかに、豪華に刺繍されたこちらは、婚礼用。その愛らしさと美しさは、ため息ものです。女性ならばちょっと纏ってみたくなるのでは…? 「女性婚服(婚礼服)」 民国時代 中国・首都博物館蔵

「特別展 江戸と北京 18世紀の都市と暮らし」

~4月9日(日)
開催場所:江戸東京博物館 1階特別展示室
東京都墨田区横網1-4-1
開館時間:9時30分~17時30分(土曜日は19時30分まで)
 (入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし3/20は開館)、3/21
TEL:03-3626-9974
入館料:特別展専用券¥1400、特別展・常設展共通券¥1600

http://www.edo-tokyo-museum.or.jp

「江戸と北京」展で、18世紀のふたつの都市文化の“くらべっこ”をしてみませんか?

  • 文:坂本 裕子

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話題のダンサー・アオイヤマダが感じた、THE ONITSUKAの多面性

  • 写真:嶌村吉祥丸
  • スタイリスト:末廣昂大
  • ヘア:Waka
  • メイク:Kie Kiyohara(beauty direction)
  • 文:力石恒元

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アオイヤマダ ●ダンサー。2000年生まれ、長野県出身。高校進学のために上京し、ダンサーとしての活動を本格的に開始。ア ーティストのMVや舞台、CMなど活躍の場は多岐にわたる。東京2020オリンピックの閉会式で鎮魂の舞を披露し、話題を呼んだ。

時代に左右されないデザインと、ジャパンメイドの高い品質。 THE ONITSUKAがいま、世界で支持される理由とは? 鋭い審美眼を持つ国内外の男女3人のクリエイターの視点を通して、その魅力を考える。

「角度で表情の異なる、 多面的な個性が魅力です」

アオイヤマダの目に飛び込んできた鮮やかなブルー。毎朝、服を選ぶ時に、必ず“今日の色” が頭に浮かぶという彼女は、ある日、晴天のようなクリアな青と白のカラーリングの「オクス フォード サボ」と心がつながった。

「着る服の色って、その時のマインドの影響を受けているんです。頭の中がもやもやしていた り、思考がまとまっていないと、選ぶ服の配色もチグハグになります。オクスフォード サボを見つけた時は、癒やしが欲しかったのかな。爽やかでかわいいエナメルのブルーに惹かれました」

靴選びにおいて「ダンスと日常生活とを分けない」と語るアオイがこだわり、求めるもの。それは、自分の素足との相性だ。

「かかと部分がないけれど、足にフィットする 形をしているし、インソールの硬さが絶妙なので、地面をしっかり踏み込める。これは踊るときに大事。その一方で、すぐに靴を脱いで裸足になりたくなるので、普段使いをするなら“脱げ づらい”と同じくらい、“脱ぎやすい”も重要です。 THE ONITSUKAは私のライフスタイルにぴった り。そうやって選んだデザインですが、履いてみたら見た目の魅力にも気づいて。正面から見るとかっちりした革靴、横から見るとスリッポ ン、後ろから見るとサンダルというように、角 度で違う個性を見せてくれる。だから、いろいろな着こなしに合わせるのが楽しいんです」

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身体の動きに合わせて繊細にゆれるシフォンのドレスに、爽やかなアクセントを挿したブルーの足元。素足にフィットしながら、かかと部分をカットした開放感のあるデザインが特徴だ。シューズは本人私物。チュールドレス¥253,000(税込)/チカキサダ(エドストローム オフィス TEL:03-6427-5901) インナーのドレスはスタイリスト私物、グローブは本人私物

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●問い合わせ先/オニツカタイガージャパン お客様相談室 TEL:0120-504-630

https://theonitsuka.com

話題のダンサー・アオイヤマダが感じた、THE ONITSUKAの多面性

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