煽りのニュアンスが強い 「久々にワロタ」、なぜか 「ラング」 と合体してブレイク
「久々にワロタ」 とは、掲示板 2ちゃんねる において、古参の立場で別の古参や新参が立てたスレッドや レス (書き込み) などを 「笑える、面白い」 と形ばかりで褒めながら、実は DISる、皮肉る、煽って 冷やかすような独特の言い回しです。
一時期、特定の掲示板で流行したコピペ文章の一部から取られた言葉で、その後改変されて AA (アスキーアート) に。 その文章の最初が 「久々にワロタ」、段落の終わりが 「~を知らないから困る」 となっていることから、「久困」(ひさこま)、あるいは一連の改変 ネタ を久困文、久困AA などと呼ぶ場合もあります。
こうしたフレーズや文章は、元々は 「モーニング娘。(狼)板」(モ娘(狼)板) でスレ立て人 (スレ主) やスレ内容を煽ったり、単に2ゲットするために使われていた定型コピペ文章が発端でした。 「昔のノリの面白いスレ」 を評しているかのように 「久々にワロタ」 で始まり、古参風を吹かし過去を 「こういうスレが沢山立ってたのが昔の狼なんだよな」 と懐かしみつつ、新参に対し、「昔の狼を知らないから困る」「今は マジレス ばかりで 萎える」 と嘆いてみせる文章でした。
_,,:-ー''" ̄ ̄ ̄ `ヽ、 ,r'" `ヽ. __,,::r'7" ::. ヽ_ ゙l | :: ゙) 7 | ヽ`l :: /ノ ) .| ヾミ,l _;;-==ェ;、 ,,,,,,,,,,,,,,,_ ヒ-彡| 〉"l,_l "-ー:ェェヮ;::) f';;_-ェェ-ニ ゙レr-{ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ヽ"::::''  ̄´.::;i, i `'' ̄ r';' } | 久々にワロタ . ゙N l ::. ....:;イ;:' l 、 ,l,フ ノ | こういうスレが沢山立ってたのが . |_i"ヽ;:...:::/ ゙'''=-='''´`ヽ. /i l" < 昔のVIPなんだよな今の新参は .| ::゙l ::´~===' '===''` ,il" .|'". | 昔のVIPを知らないから困る .{ ::| 、 :: `::=====::" , il | \________ /ト、 :|. ゙l;: ,i' ,l' ノト、 / .| \ゝ、゙l;: ,,/;;,ノ;r'" :| \ '" | `''-、`'ー--─'";;-'''" ,| \_ |
久々にワロタ AA |
その後この文章は改変されて、他の板などにも広がり、2ちゃんねるの人気板である VIP板のバージョンも登場。 同じような使い方の他、掲示板が荒れる元となる 慣れ合い を罵倒したり、つまらないスレッドやスレ主を 叩く 目的でも多用されることに。
さらに途中から、アニメ 「銀河英雄伝説」(銀英伝) の個性的な キャラ、作中で帝国側の内務省国家安全保障局長を務めたハイドリッヒ・ラングの、知らない人が見たらゴルバチョフ書記長にしか見えないAAと合体。
2005年にこのAA (右図) が一気にブレイクし、それと同時に 「久々にワロタ」 も、ある種の 2ちゃんねる用語、ネットスラング のような扱いになったのでした。
それにしても、なぜラングなのか…
このAAはアニメ版 銀英伝の本編第41話 「作戦名 神々の黄昏 (ラグナロック)」 において、ラングが帝国の謀臣、オーベルシュタイン総参謀長に、かつて自分が所属していて、ゴールデンバウム朝滅亡と共に廃止されていた 「社会秩序維持局」(秘密警察) の再建と、新しい名称 「国家安全保障局」 を提案した時のシーンを再現したものです。
有名なラングによる 「政治の実相は少数による多数の支配であり、民主共和制の自由意志による多数派の支配の建前などいかに虚しいものであるか」 がオーベルシュタインとの掛け合いで説明されたこのシーンでは、当然ながら 「久々にワロタ」 などとは喋っておらず、というより、このコピペ文章の 元ネタ になったり、類似した近い言いまわしなども全編通じて全く存在しない、完全に無関係なAAとなります。
このコピペは、初期の頃は前述した煽りや2ゲットの定型レスコピペとなっていましたが、その後は 荒らし に使われることもあり、いずれにせよ煽りや荒らしには、「憎たらしい顔」「憎たらしいキャラ」 が、ぴったりと合致すると云うことなのでしょうか。 こればかりは、最初に組み合わせた人にその真意を訊ねるしか方法がなさそうですが、結果として 「使い勝手のよい煽りAA」 となったことから、狙いはドンピシャだったということなのでしょう。
久々にワロタ効果で、有名キャラになったラングさん
ちなみにこのラングさん、黙れ下衆! と罵倒された私怨から、作中の重要キャラ、ロイエンタールを陥れようと陰湿な策謀を巡らせる、他人を陥れて自身の栄達を目指すなど、国家のために謀略を行うオーベルシュタインなどとは異なる、まさに悪の権化のような扱いをされています (恵まれない人への寄付を行っている、家族にとっては善き父親、夫であったなど、同情すべき点もありますが)。 一筋縄ではいかないキャラが多数登場する同作品の中でも、独特の風貌とあいまって、見るものに際立つインパクトを持つキャラとなっていますね。
同人 の世界では、銀英伝の 二次創作 において、得難いキャラとして一部で重宝されてますが、一般的には、嫌われキャラの代表のような存在でしょう。 もっとも、このAAが流行ってからは、ある意味で銀英伝でもっとも有名なキャラの一人ともなっていますが…。