え、なんですか? 「市場予測なんてあてにならない」? 確かに、予測は予測です。外れることも大いにありえます。
実際、インプレス総研さんのこれまでの予測は、過去に何度か数字が調整されています。予測があまりうまくいかなかったんでしょう。このことは、電子書籍業界では、よく指摘されています。
とはいえ、昨年と今年に関しては、「だいぶ実感に近づいてきた」という声が聞かれるようになってきました。
実際、上場会社であるイーブックイニシアティブジャパン、パピレス、メディアドゥの直近四半期の業績を見ると、電子書籍部門の売上はそれぞれ約10億円、19億円、15億円で、いずれも前年同期比2~6割アップとなっています。
なかでもLINEマンガにコンテンツを提供しているメディアドゥの好調ぶりが目につきます。国内の「新プラットフォーム」電子書籍事業者の中で、大手と言われている企業には、上記3社の他に、アマゾン(Kindle)、楽天(Kobo)、そしてモバイルブック・ジェーピー(MBJ)、ブックリスタ、出版デジタル機構などがありますが、いずれも明確な売上数値を公表していません。
ただし、楽天だけが、Kobo事業のグローバルな収益の成長率を公開しています。それによると、直近四半期のコンテンツ収益は、前年同期比+32.9%だったとのこと。
さらに、出版業界紙「新文化」の報道によると、アマゾンでは、電子コミックの売上数が、紙のコミックの売上数を超えたとのこと。
“7月30日、アマゾンジャパンKindle事業本部の玉木一郎事業本部長が、記者向け懇親会で明らかにした。同氏によると、電子書籍販売の伸び率は高く、今年6月の電子コミックスの販売数が紙版を超えたという。(有料・無料の内訳については非公開)”
記事中で示唆されているように、電子コミックには最近増えた「期間限定無料」本が含まれていると思われます。そのため売上ベースでは、まだ紙のコミックが電子を超えたわけではないと考えられますが、エポックではあります。
こうしてみると、前年比27%増というインプレス総研の調査結果は、決して浮世離れしたものではないように思いますが、いかがでしょうか?
そして電子書籍の市場規模が、この調査のとおりに拡大していけば、「出版不況」と言われる状況は、少なくともコンテンツに関しては早晩脱するシナリオが見えてきたとも言えるのではないでしょうか?
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