那覇市のパレットくもじビルの正面に掲げられた「からくり時計」が老朽化により撤去されることが決まり、12日に解体工事が始まった。1991年4月のパレットくもじ開業時から那覇市の中心を見つめてきた時計は、もう動かない。
からくり時計はシチズン製の特注品。7本のパイプを組み合わせた構造で、高さは9メートル。設置当時は国内最大規模だった。現在の所有者は那覇市で、パレットくもじを管理・運営する久茂地都市開発が時計も管理している。
沖縄、宮崎県日南市、中国・福州市、ブラジル・サンビセンテ市、米国・ホノルル市の民族衣装を着た人形がパイプの中に隠れていて、定時になるとパイプの下から登場し、「芭蕉布」や「谷茶前」などの曲に合わせて踊った。四つの都市は那覇市の姉妹都市だ。
デパートりうぼうをキーテナントとするパレットくもじは、開業当時、流行の発信地だった。新名所の登場に県民は沸き、からくり時計はビルのシンボルとして親しまれてきた。
30年の時がたち、からくり時計は腐食が進み、修理の部品も手に入らなくなっていた。時は正確に刻み続けていたが、からくりは10年ほど前から動いていない。今もおしゃれな店が並ぶそばで、時計は静かに年老いていた。
久茂地都市開発は、すでに時計の設置費用を拠出した協賛企業へのあいさつを済ませた。あとは解体作業を見守るだけだ。人形は腐食が進んでいるため廃棄される。
からくり時計は12日に解体用の足場が組まれ、周囲からは見えにくくなった。14日に文字盤を外し、18日の週からは本格的な解体作業に入る。今月中に作業が終わる見込みだ。