昼間でも薄暗くて静かな和室。
どんな音も露骨に響き、ごまかすことができない。
ここで男と女が遊ぶわけだが、ボスからすれば“戦い”と認識しているようだ。
台詞から垣間見えるのだ。
交接の前に、僕の息子を眺めながら、
なんて言うのだから。
変なプライドを見せれば、
「あわびに勝てたことあったっけ?」
と遣り込められるのだ。
事実、彼女と勝負をして勝てたことは一度もない。
「柔よく剛を制す」ということわざがあるが、まさしくそのとおりである。
どんなに屈強な武器で攻め立てても、やわらかな襞には勝てないのだ。
ぬるぬると絡みつき、ねちねちといじめられれば、僕は必ず敗北する。
しかも彼女との戦いは、性器が交わるだけでは済まず、血が流れることがある。
これが思いのほか痛い!
だけども快感はその何倍も強いので、どんなに背中に傷をつけられようと、
彼女を抱かずにはいられないのだ。
おかげで布団には 血のしみ をつくることになる。