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ツイッターで野党攻撃の匿名アカ…正体は「法人」だった

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インターネットの「情報」から「世論」が生まれる。その情報や世論が、もし、何者かに操作されていたら…? そんなディストピアを思わせる「事件」が起きている

匿名での無責任な書き込み、誹謗中傷が止まらない。皇族の結婚に関する騒ぎや、それが元で心を病んでしまった眞子さまの例も記憶に生々しい。

「中の人」を特定、名誉毀損で訴える

そんななか、立憲民主党の小西洋之参議院議員が、自身を攻撃するツイッターの書き込みに対し、名誉毀損の裁判を起こした。

「昨年来のツイッターでの書き込みに対して、訴え出たのは一昨日です。なぜ時間がかかったかというと、発信が匿名アカウントだったから。訴える相手を特定するのに、まずプロバイダーに対して『発信者情報開示請求』が必要だったんです。先月、それがやっと認められ、相手方が判明しました」(小西議員)

「Dappi(@dappi2019)」と名乗るそのアカウントの持ち主は、個人ではなく「法人だった」という。

Dappiに関する発信者情報がわかりましたので、10月6日に、名誉毀損の損害賠償訴訟を東京地裁に提起しました。Dappiは、そのツイートの中でくりかえし、わたしの政治活動について中傷を行ってきました」

たとえば、国会での安倍晋三元首相とのやりとりの一部分を取り上げ、<自分が話を聞いてなかったのに逆ギレする小西が哀れ>などどツイートをする。それに対し小西は、当時ツイッターでこう返している。

<安倍総理が壊れたテープレコーダーで繰り返していた答弁には「国家公務員法」という言葉はなかった。

秘書官からのカンニング紙を読みながら『一番最初から何度も申し上げている』と主張しているのは虚偽だ。

よって、Dappi氏の指摘は事実に基づかない私への誹謗中傷に当たる。法的措置を警告する>

Dappi氏の行った行為「SNSでの発信」が名誉毀損の罪に問われるか否かは、今後の裁判の行方を見守るとして、気になるのはその「正体」だ。

「小西議員が提訴した『法人』というのは、都内のIT関連企業です。小規模な会社ですが、会社情報の『主な販売先』に『自由民主党』と謳っていました。この規模でこの業務内容、ふつうに考えて…おや? とひっかかります」(IT関係者)

SNS、とくにツイッターでの誹謗中傷のなかには、組織的な「活動」があるのでは…とかねてより疑われていた。今回、この小西議員の「発信者情報開示」が認められ、その発信者が「法人」だったというなら、これまでの「疑い」をある程度裏付ける結果となる。

「資金力がある団体、組織が、一定の意図をもって多くの投稿をし、あたかもそれが『世論』であるようにみせかけることは、とても危険でしょう」(前出・関係者)

アメリカ大統領選挙のときにも、こういった「活動」の危険が多く指摘された。日本でも同じような「活動」が行われているのだろうか。

「平日の昼」に集中する投稿指摘されていた不気味さ

SNSの現状にも詳しいジャーナリストの津田大介さんは、こう警告する。

「当該アカウントは主要新聞6紙の紙面写真を、縮刷版のない産経も含めて朝早い時間に掲載したり、議員にしか配られない内部資料が掲載されたりすることから、議員秘書や政党関係者ではないかという疑いが持たれていました。

意図的に情報を歪めて拡散し、その多くは野党や朝日新聞などの批判に使われていたため、今回小西議員の訴訟によって、運営元が『法人』であったことがわかったことは大きな前進です。

このアカウントは、投稿がほぼ平日のビジネスアワーに限られていたことからも、何らかの組織が『仕事』としてこのアカウントを運営している可能性が指摘されていました。今回小西議員の発信者情報開示請求が通って相手方が法人であるとわかったことは、その疑惑を裏付けるものとも言えそうです。

(小西議員が提訴した)法人は自民党と何らかの取引関係にあったようですが、それはあくまで『一歩目』であって、何者かがその先に、情報を歪めて与党に有利な世論を形成することを『業務』として行っていたのかどうか…が鍵になるでしょう。それを立証するには、その組織からの業務の発注書なり、内部の証言なりが必要になりますから、難易度は高いですが、今後の報道に注目したいですね。

このアカウントに指示を出していた母体があるのか、それがどこかの政党なのか、それとも官邸との関わりがあったのか、その場合の資金源は何か。もし、どこかの組織がわれわれの税金を使って自分たちに有利な世論をネット工作でつくっていた…となったら、大スキャンダルです。愛知県知事リコール不正署名事件のように、不正な手段で民主主義を歪めたという重大事件になるかもしれない。

調査・立証ハードルは高いですが、メディアはこの問題をきちんと追いかけてほしいですね」(津田さん)

歪みのない「世論」を形成するために、注視が必要だろう。

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