Intel 第 11 世代 CPU「Tiger Lake」搭載 PC が続々登場! 気になる Apple M1 との性能差は?

Mac

つよそう。

Intel 第 11 世代ラップトップ PC 用 CPU「Tiger Lake」の発売から約 3 カ月。同 CPU を搭載した PC も市場にずいぶん普及してきました。代表的な機種は「HP ENVY x360 13-bd」「Lenovo ThinkPad X1 Nano」「LG gram (日本での発売未定)」など。

今回は、Tiger Lake の性能と、気になる Apple M1 との性能差について見ていきたいと思います。

Windows と Mac で OS を跨いだ形での比較になるので、あまり正確なデータではないことをあらかじめご了承ください。あくまで、目安としてご覧いただければと思います。

Intel 第 11 世代 Tiger Lake の概要

Tiger Lake は薄型軽量ラップトップ PC 向けの Intel 製 CPU です。「Intel Iris Xe Graphics」または「Intel UHD Graphics」の GPU コアが内蔵されています。前世代の Ice Lake と比較して、CPUパフォーマンスは 20 % 向上し、グラフィックパフォーマンスは最大で 2 倍、人工知能 (AI) の処理パフォーマンスは最大で 5 倍に向上しているとのことです。

最大のパフォーマンスを発揮する 4 コア 8 スレッドの最上位モデル「Core i7-1185G7」から、価格に優れる最廉価モデル「Core i3-1110G4」まで、計 9 モデルが展開されています。

Tiger Lake と Apple M1 の比較

CPU 性能

まずは CPU 性能で比較していきましょう。次に記載する表は、CPU のベンチマークソフト「Cinebench R23」で取得されたスコアを比較用にまとめたものです。今回は Tiger Lake 世代のハイエンド「Core i7-1185G7」とミドルエンド「Core i5-1035G7」、そして Apple M1 で比較しました。

本当はローエンドの Core i3-1005G1 も比較対象に入れたかったのですが、ベンチマークスコアが公開されていなかったので、断念。

シングルマルチTDP
Core i7-1185G71538626412~28W
Core i5-1035G71092443012~25W
Apple M11498750810W~15W
スクロールできます
Cinebench R23 のスコアと TDP の比較表

表の見方はこんな感じ。一番左の列から「CPU 名」「シングルスコア」「マルチスコア」「熱設計電力 (≒ 消費電力)」の数値を記載しています。順に解説していきます。

  • シングルスコア: CPU 1 スレッドあたりの性能を数値化したものです。この値が高いほど、アプリやゲームの起動などが速くなります。
  • マルチスコア: CPU の全スレッドを活用した際の性能を数値化したものです。この値が高いほど、動画編集やゲームの実行など、高負荷処理が速くなります。
  • TDP: 正確には設計上想定される最大放熱量の値を示しますが、おおよそ最大消費電力に等しい値を示します。低ければ低いほど発熱が少なく、低消費電力となり、バッテリー駆動時間が長くなります。

これを踏まえて改め表の内容を確認してみましょう。シングルスコアこそ、Core i7-1185G7 が最も高い成績を収めていますが、M1 との差は微々たるもの。そのほかのスコアは Apple M1 の独壇場という結果に。

Core i7-1185G7 は最大 28W を使用してこのスコアを叩き出す中、M1 は 15 W で同等以上の性能を実現。電力効率に 2 倍以上の差があるということになります。

GPU 性能

続いて GPU の性能を比較してみましょう。Tiger Lake が搭載している内臓グラフィックの最強版「Iris Xe MAX」は、モバイル向け外部 GPU「NVIDIA GeForce MX350」に匹敵する性能を有していると、Intel 公式の発表会中に言及がありました。一方、M1 はデスクトップ向け外部 GPU「GeForce GTX 1050Ti」に匹敵するベンチマークスコアが公開されています。それでは、GeForce MX350 と、GTX1050Ti のスコアを表で比較してみましょう。

GPU3DMark Time Spy Graphics Score
NVIDIA GeForce MX350 (Tiger Lake / Iris Xe MAX)1338
GeForce GTX 1050Ti (Apple M1)2352
スクロールできます
3DMark のスコア比較表

この数値はグラフィック性能の高さを示しており、高ければ高いほどグラフィック処理が得意ということになります。

スコアには CPU 性能やメモリの速度も多少影響するため、純粋比較というわけにはいきませんが、内臓グラフィック性能では 2 倍近い優位性を M1 が有していることが明らかになりました。

Intel 曰く、Iris Xe MAX も最適化さえされていれば『BorderLands 3』や『The Witcher 3』といったタイトルでも 1080p 30 fps を出せるようです。モバイル向けとしては必要十分の性能を有していると言えるでしょう。

ただし、あくまでこれは Tiger Lake 世代最強内臓 GPU である Iris Xe MAX を搭載している PC に限った話です。一般向けの Xe はこれよりもパフォーマンスが劣るということに留意しておく必要があります。

なお、M1 は外部 GPU が使用できないという欠点がありますが、Tiger Lake は問題なく外部 GPU の使用が可能です。外付けが可能であることはもちろん、デスクトップ用 GPU「NVIDIA GeForce GTX 3070」を同時に搭載したモデルも発表されていたりします (「MSI アルティメットノート」など)。

拡張性という点では、Intel に分がありますね。

ワットパフォーマンス

最後に、ワットパフォーマンスを比較しましょう。

CPU 比較の項目で掲載した表にある通り、M1 は TDP 15 W が最大値であることに対し、Tiger Lake は 28 W が最大値です。M1 はこの TDP 内にメモリや GPU の消費電力も含まれています。一方の Tiger Lake はメモリ、場合によって GPU の消費電力を別に計算する必要があります。

CPU 単体性能としてみた場合には、この項目において M1 の圧勝と言わざるを得ません。

ゲームするなら Intel、ワットパフォーマンスなら Apple M1

M1 搭載の MacBook Air を使っていて初めて実感しているのですが、消費電力の少なさ = バッテリー消耗の少なさはラップトップ PC を語る上でとんでもないアドバンテージです。もし外出先でも PC を利用するシーンがあるのだとすれば、ほとんどの人に M1 MacBook シリーズがおすすめできます。

一方で、PC ゲームをやりたい場合は、GPU 性能を無限にカスタマイズできる Tiger Lake 搭載 Windows を選ぶことになるでしょう。そもそも PC ゲームは Windows にしか対応していないことがザラだったりしますから、実質一択のようなものです (今回は AMD を除外して考えています)。

最近はデスクトップ PC を捨てたい欲がボクの中で芽生えてきているので、ラップトップでゲームをやりたい方の気持ちがわかるようになってきました。そういったニーズには、十分答えてくれる CPU なのだろうと思われます。

用途を考え、自身に適切な PC スペックを選択し、お気に入りの一台に出会えるといいですね。

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