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寺院史料の書誌情報の覚書。宗は問わず。時折増補しています。2020.8.20更新。
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【備忘】「華頂要略」の巻1~3と巻32~55は『天台宗全書』の第1巻、第14巻、第16巻に、巻4~31は『大日本仏教全書』の第128~130巻に収録。巻56以降は京都府立総合資料館(現京都府立京都学・歴彩館)が所蔵する複製資料で。「門葉記」は『大正新修大蔵経』図像第11~12。
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返信先: さん
【備忘②】『大日本仏教全書』は1912年から10年かけて刊行されたものと、1973年に鈴木学術財団が新編成100巻で講談社から刊行したものとがある。後者を利用する場合、「華頂要略」は史伝部4~6(第65~67巻)にあるので注意。
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【備忘】三井寺関係。「三井續燈記」は『大日本仏教全書』六七(史傳部六)、「園城寺伝記」「寺門伝記補録」は同書八六(寺誌部四)。 ※『大日本仏教全書』はいずれも鈴木学術財団編のものを使用。講談社刊。
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メモ。「寺門伝記補録」(以下、補録)は、序文により、園城寺慶恩院志晃が応永年間(1394~1428)に編纂したと考えられてきた(今枝愛眞「寺門伝記補録」財団法人鈴木学術財団編『大日本仏教全書』99〈解題3〉1973年、『国史大辞典』七「寺門伝記補録」〈佐々木令信執筆〉1986年)。
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ただ今枝は、引用されている史料から判断して成立年代には問題があると指摘した。阪本敏行は補録の熊野三山検校補任などの記事は後世の仮託とみなしていた(阪本「中世前期の熊野三山統治組織の実態とその変遷」同『熊野三山と熊野別当』清文堂出版、2005年、初出1991年)。
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他論文で補録を江戸中期成立としており、不勉強ゆえにその典拠が何なのかよく知らなかったのだが、ヒントを今日見つけた。宮家準「修験道の教典形成と天台宗」(同『日本仏教と修験道』春秋社、2019年、初出2014年)は、補録著者の志晃を18世紀初頭の僧侶として、生没年も1662年~1720年としている。
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返信先: さん
いつも拝見しています。補録はかつて、国文学や思想史でも、応永説で扱われていました。私も応永として論文を書いており、本をまとめたときにも見直しを怠っていました。宮家先生の論文を後から知って愕然。あわてて園城寺灌頂血脈譜を見て、志晃を確認しました。まことに恥ずかしい話です。
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返信先: さん
ご教示ありがとうございます…!こちらこそ、貴ツイートやご著書から多くを学ばせていただいております。補録の成立年代に関して、宮家氏をはじめとする関係文献を押さえていなかったので、汗顔の至りです…。園城寺灌頂血脈譜とは「寺門伝法灌頂血脈譜」(『園城寺文書』七)のことでしょうか。
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返信先: さん
いえ、たいへんありがたいです…。たしかに近世の部分で志晃の名前を確認できました。宮家論文と人名辞典(未確認)で志晃の没年が異なるのが気になりますが、ひとまず近世成立説を把握できました。
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京都府立京都学・歴彩館(旧京都府立総合資料館)所蔵「華頂要略」、『大日本仏教全書』の「華頂要略」に記載されていない記事が結構あり。対比の必要性を改めて痛感した一日。
引用ツイート
みょんみょん
@washou3956
·
華頂要略。史料の謄写本は歴彩館本を底本とし、ある程度まで忠実に写している可能性が高い云々。ただ字句の誤脱も確認され、他諸写本との対比も必要。山家浩樹「京都府立総合資料館所蔵「華頂要略」の調査」(『東京大学史料編纂所報』44、2008)hi.u-tokyo.ac.jp/publication/sy
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別の話。空海請来の「現圖」胎蔵曼荼羅の研究を行う上で基本文献である「諸説不同記」(真寂〈886~927〉の撰述)は、東寺観智院金剛蔵に伝来した建武2年書写本(以下、建武本)を底本として昭和8年に翻刻しており、『大正新脩大蔵経』に収録されている(以下、大正蔵本)。
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この大正蔵本、近世写本を底本とする『大日本仏教全書』(以下、仏全本)で対校しており、それにともない建武本の字句を適宜改めてしまっている。仏全本は初稿本系に属し、建武本は真寂みずから初稿本に加筆・改訂が施された再治本であったため、我々が現在後者を利用するときに問題が生じている。
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つまり、大正蔵本は、仏全本で建武本を改訂したために、再治本系の建武本とも、初稿本系の仏全本とも随所で文言を違えることになった。しかも、校訂でどの字句が改められたかについて全く言及がない。建武本の利用については同本を改めて翻刻して、既往の活字本との異同を明確にしていく必要がある。
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メモ。中世における台密の事相の集大成である「阿娑縛抄」は、現在、活字本が『大日本仏教全書』と『大正新脩大蔵経』に収められている。しかし、これらはどちらも底本に別のものを使用しており、かつ複数の底本(これも両書で異なる)で不足をそれぞれに補ってしまっている。
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両書ともにまず本文の全体内容を提供するという目的が第一なので、このような措置は当然であり益するところも大きいが、一方で各寺院の所蔵する「阿娑縛抄」の字句異同や、そのことから類推できる書写のネットワークや受容の経路などのような視点からの研究などは困難になっている。
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また、東密の「覚禅鈔」に比べて、「阿娑縛抄」については著者や全体の巻数、成立年代などの基礎的事項すら十分に解明されていない。この理由としては、現存する中世写本の少なさや、現存していてもその写本の調査がほとんどされていないことなどが挙げられる。
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増補。阿娑縛抄は、台密穴太流忠快方(小川流)の系譜を引く澄承とその弟子尊澄の手になる、修法を中心とする台密事相を集成した書物で、テキスト全体は『大日本仏教全書』『大正新脩大蔵経』図像部八・九に翻刻掲載されているが、一部は『続群書類従』にも収録されている。
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『続群書類従』に収録されている阿娑縛抄の一部とは、「阿娑縛抄三国明匠略記」(第八輯下)、「安鎮法日記」〔自応和至承保〕「安鎮法日記」〔自承暦至康和〕「諸法要略抄」(第二十五輯下)、「伝法灌頂日記上下」「六字河臨法」(第二十六輯上)、「三塔諸寺縁起」(第二十七輯下)の八巻とのこと。
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【メモ】「釈家官班記」(著者は青蓮院尊円)は、40種類の写本が確認されている。諸本を比較検討した結果、現段階では尊敬閣文庫本がもっとも書写年代が古く善本(『寺院法』補注P,820~822、久野修義氏執筆)。『寺院法』はこれを底本にして諸本による校訂作業を行った。
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承前)袈裟については「大日本仏教全書第74巻・服具叢書」が非常に詳しい。慈雲飲光による方服図儀の他、聖道衣料編・法服格正・蓮門小子訓など漢字かな混じりで読めるものも。ただ、川口高風氏の指摘によると、この叢書の「法服格正」は原書と異なる図や字句があり、鵜呑みには出来ないとのこと
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論文では「門葉記」所収指図と吉水蔵聖教の比較検討によって、内容の一致する史料を特定している。「門葉記」指図は聖教指図の特徴を引継いでいるが、厳密に書写されたのではなく簡略化(改変?)が認められ、あるいは建築表現の正確さが失われている可能性のあるという指摘は、特に重要だと思う。
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また、「門葉記」原本には指図があるが、刊本(『大正新修大蔵経』。底本は19世紀の写本。青蓮院蔵)には掲載されていない、というのもあるらしい(そもそも原本と写本で指図の異同が多い)。こうした異同は指図だけなのかどうか気になるところ。「門葉記」は編纂史料であることに留意したい。
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メモ。真言僧心覚(1117~80)編集の密教図像集「別尊雑記」。三井寺に学び、野沢両流をも受けたことによる広い学識をもって東台両密諸流の図像を収集した同書は、密教美術の研究にとって重要な基礎史料であり、現在仁和寺に心覚自筆とされる写本が伝わっている。『大正新脩大蔵経』図像第三巻所収。
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心覚は「別尊雑記」五十七巻に、自ら補説を加えた(後補十一巻)。これが重要文化財に指定されている「別尊雑記」である(論文ではしばしば「指定本」と称される)。それから、鎌倉時代の写本は、唐招提寺本・東寺金剛蔵本・東寺宝菩提院本・仁和寺(了厳)本があり、ほかには江戸時代の写本もある。
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『大蔵本』は指定本が底本だが、指定本後補には図像を欠いているものがあり、『大蔵本』編集者も苦心して、宝菩提院本や随心院本(江戸期)などから補っていることがある。これらの照合は、真鍋俊照「心覚と『別尊雑記』」(同『密教図像と儀軌の研究(上巻)』法藏館、2000年、初出1969年)を参照。
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