今回ご紹介するのは「チンゲンサイとえびのうま塩スープ」。お店で見かけるような本格的な中華スープですが、下ごしらえしたらさっと数分煮てとろみをつけるだけで完成、というとてもシンプルな料理です。ミニマムな材料と調理法でおいしさに最短距離で近づくスープ・レッスンは隔週月曜日の更新です。
ちょっといいお店で出てくるスープが、こんなに簡単に。
食卓にあるとうれしい中華風のスープを作りましょう。みんな大好きなえびを、秋が旬のチンゲンサイや豆腐とともにさっと煮るだけの本当に手軽なシンプルスープです。
スープで相性のよい鉄板の組み合わせというものがあり、えびと青菜もその一つ。えびの赤と青菜の緑、豆腐の白で目にも鮮やか。えびの強いうまみや香りが青菜のクセをカバーし、同時にさっぱりした青菜がえびの濃さを中和してくれます。強めのとろみで具材に一体感がついて、絹ごし豆腐がふるふるやさしい口当たりです。
むきえびや鶏ガラスープの素など手軽な食材を使いつつ、できあがるスープは上品できれいな味。チンゲンサイに限らず季節の青菜を使ってできるので、一度おぼえてしまうと通年で楽しめますよ!
チンゲンサイとえびのうま塩スープ
材料(2人分) 所要時間15分
チンゲンサイ 1株(150g)
えび 100g
豆腐 100g
塩 小さじ1/2
酒 大さじ1
鶏ガラスープの素 小さじ1
片栗粉 小さじ2
ごま油 小さじ1
水 500mL
作り方
1.材料の下ごしらえをする
チンゲンサイは根元を切り落とし、3cmほどのざく切りにする。豆腐は1.5cmのさいの目にする。えびは背ワタをとってから、片栗粉大さじ1ぐらい(分量外)をもみ込んで水で洗い流し、ペーパーなどで水気をふきとる。
2.えびとチンゲンサイ、豆腐を煮る
鍋に水500mL、鶏ガラスープの素、塩、酒を入れて煮たて、えびを入れる。1分ほど煮たらチンゲンサイを入れる。豆腐も加えてさらに2分ほど煮る。
3.とろみをつける
片栗粉を大さじ1の水で溶いて加え、豆腐が崩れないようそっと混ぜてとろみをつける。ごま油を加えて火を止める。
レシピのポイント解説
・チンゲンサイは根っこを洗おう!
・えびは下ごしらえで勝利する
・中華スープのふたつのコツ
1 チンゲンサイは根っこを洗おう!
根っこのところがぎゅっとしているチンゲンサイは、ほうれんそうや小松菜のように根のついたままだとうまく洗えません。はがしたところに泥がついていることが多いので、はがしてからさっと洗い流します。

根のところだけ切り落とし、はがして洗う
数枚重ねて、3cmぐらいの幅に切っていきます。

むきえびの大きさと揃えるイメージ
2 えびは下ごしらえで勝利する
えびは便利なむきえびを使います。下処理を省略しないで丁寧にやってあげると、生臭みもなくおいしく食べられます。おいしく食べるコツを覚えてしまいましょう。
まずは背ワタ取り。えびの背中には内臓であるワタが通っているので取り除きます。つまようじや竹串で背ワタを引っ張り出すようにします。

引っ張ると面白いようにとれる。最近ではすでに取ってあるむきえびも多い
背ワタが取れたら、片栗粉大さじ1程度をふってもみ込むようにしてから水洗いします。片栗粉が汚れを吸着してくれます。しっかり水洗いしたらペーパーなどで水気をふきとります。

たったこれだけで、水で洗い流すと驚くほど汚れが出てくる
冷凍のむきえびを使う方は、3%ほどの塩水につけて解凍するとうまみを残して解凍できます。完全にとけてから同様に下処理します。えびから出た水分にもうまみが出ているのでは…と思いがちですが、生臭くなってしまいますので使わないように。
3 中華スープのふたつのコツ
鍋に水と鶏ガラスープの素、塩、酒を入れて煮たてます。今回のスープは早煮タイプで素材からのだしはあまり期待できないので、簡易なスープの素を使います。この鶏ガラスープの素の使いこなしがひとつめのポイント。どのメーカーのものも非常によくできているのですが、香料が強いので使用量はひかえめにしましょう。半量で十分です。それに塩と日本酒を足してあげると、品のあるスープに仕上がります。

酒はえびの臭みを消し、うまみを足す

えびだけを1分ほど煮る

時間差でチンゲンサイと豆腐を入れる
ふたつめのポイントはとろみづけです。チンゲンサイと豆腐を入れた段階ではただ具材を水だしで煮ているだけのように見えますが、片栗粉でしっかりとろみをつけてごま油をたらすと完璧な中華風のスープになります。
片栗粉を加えるときに注意したいのは、あまりガチャガチャかき混ぜないこと。絹ごし豆腐がくずれますし、あまり混ぜすぎるとスープが濁ります。とはいえ片栗粉がだまにならないように混ざらないといけないので、ゆっくり落としながらヘラやおたまでそっと混ぜましょう。

少しずつたらして、スープをそっと動かす感覚で
シンプル中華のおいしさを知ろう
中華スープというと、にんにくやしょうが、唐辛子や胡椒などを、つい入れたくなりますね。もちろん入れたら入れたで、風味豊かに食べられます。でも、今回のスープのように塩と鶏ガラスープ少しでも、十分においしくできて、うま塩中華の魅力を感じることができます。
ふだんの食事のときはこうしたあっさりしたシンプル中華を中心にしていくと、気楽にできると思います。スープからはじめて、いろいろやってみてくださいね。
【アレンジ】自由な中華を楽しもう
シンプルで、いろいろな具材に合うスープですが、たんぱく質を何かひとつ入れてあげるといいと思います。むきえびをいかやあさりに変えてもいいですし(もちろん全部入れしても豪華)、肉やたまごでもよいのです。干し海老など乾物ならさらに簡単ですね。ここではデイリーに使えるような手軽な食材二つのアレンジをやってみます。
チンゲンサイと豆腐、たまごのスープ
チンゲンサイと豆腐はあるけど海老がない! そんなときはたまごの出番です。煮立てたスープにチンゲンサイと豆腐を入れてとろみをつけてから、溶いたたまご2個分を少しずつたらしてふんわり浮かび上がってきたら完成です。
チンゲンサイと豆腐、かにかまぼこのスープ
かにかまぼこってとてもよくできているなといつも思います。煮込むには適しませんが、こういうサッと煮スープにはぴったり。スティック状のものやフレーク状のものなど形がいろいろあり、どれでもOK。ここではフレーク状のかにかまぼこを使っています。かにかまぼこが細くさけるので、一体化しやすいようチンゲンサイと豆腐を細く切っています。
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