Muv-Luv Alternative Plantinum`s Avenger   作:セントラル14

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episode 13

[1998年 7月14日 最終防衛線 亀岡戦域]

 

 第1・第2防衛線は、数時間と持たずして瓦解してしまった。これまでの戦場では、山間部が防衛線に常に含まれていたからか、少しばかり防衛に有利な条件が揃っていた。しかし、第3防衛線以降は比較的なだらかな地形が多かったため、光線属種の餌食になる戦術機や砲弾が後を絶たなかった。

 悪条件化に晒された本土侵攻。日本帝国は万全の態勢でBETAを迎撃できなかったことが、一番の対応ミスだったのかもしれない。

 冷静にこれまでの戦況を分析しながら、夜なのに明るく照らされている戦場を見つめる。

 

『だ、誰か……ッ!! 誰かいないのか?! CP!! CP!! ち、中隊が!! 中隊があああああ!!』

 

『CP!! このままでは絶対防衛線に取り付かれる!! 即時援軍と面制圧を要請する!!』

 

『がぼっ……ち、っくしょう……。痛ぇ……痛ぇ……、生きたまま、喰われる、なんて……嫌だ……』

 

『補給はまだかよ!! もう誰も突撃砲を撃ってないんだぞ!! 短刀1本で中隊規模のBETAをどう殺せばいいんだ!!』

 

 阿鼻叫喚地獄絵図なんて言葉では収まらないような状況が、戦場ではあちらこちらで起きている。俺は助けに行くことができる。だが、課せられた任務を擲ってまではできない。それにたった1機でできることなんてたかが知れている。

増援に来たのが1機だけならば、俺だったとしてもガッカリする。

 戦闘が始まってからどれほど経っただろうか。亀岡戦域から京都へ向かう主要なBETA群、それも単機で対応可能な探知されても後回しにされそうなものを撃破して回っていた。

単機での戦術行動は推進剤と弾薬を加速度的に消費する。これでも節約しながら戦闘を続けているが、4戦を超えた辺りから心持たない状況になりつつあった。大胆な機動制御も使えない、弾をばら撒くこともできない。補給するには、どうにかして補給地点か補給基地に飛び込むしかない。

 各防衛戦には、あちこちに推進剤と突撃砲・長刀の補給ができる補給コンテナや補給地点が用意されている。それは帝国・帝国斯衛軍の、上陸からこれまでの屍の上に築き上げた戦術ではあるのだが、使い手がいなければ置物であることに変わりはない。そして、BETAにとっても収集する資源でしかない。

 

『亀岡周辺の残存戦術機へ。残っている者で部隊を再編し、防衛線を再構築する。集合座標は……』

 

『損傷機は嵐山へ行け!! あそこならば予備機がある筈だ!!』

 

『CPより亀岡に展開する全部隊へ。部隊を再編し、接近中の大隊規模BETA群を迎撃せよ』

 

『畜生、現在再編中だ!! 部隊はバラバラだが、全機が撃震(77式戦術歩行戦闘機 F-4J)だ。連携が崩れることもないだろう。近くの斯衛部隊も合流し、共同で対応する』

 

 西から亀岡に入った俺は、亀岡市街の様子を遠くから眺める。どれも体液だらけ、傷だらけの戦術機が、小型種や群からあぶれたBETAを倒しながら集結していた。

駅前には輸送コンテナが並べられており、先に到着していた戦術機が何かをしているようだった。

 コンテナのハンドルを握ると、残っていた4つを持ち上げて集合していた戦術機に声を掛ける。

 

『デスサイズ1より、亀岡戦域の戦術機部隊へ。これから輸送コンテナを持って後退し、西川に防衛線を展開。BETAを迎え撃つ。先程オープン回線でも言ったが、損傷機は嵐山へ。主脚、跳躍ユニットがない2機が向かうこと。その他は継戦可能だと判断する。該当機は最小編成単位(エレメント)と共に後退。嵐山からの支援砲撃が来ない理由も見てきてくれ』

 

 該当する戦術機の衛士が返事をすると、3機の戦術機が嵐山の方へと飛び去る。どうやら1機はエレメントもいない、単機だったようだ。

 再編された亀岡の戦術機部隊は15機。亀岡周辺にいた戦術機とはいえ、他戦域の部隊も混じっていた様子。本来であれば、亀岡市街には一個大隊相当の戦術機甲部隊がいるはずなのだが、既にその殆どが討ち滅ぼされてしまっているようだ。

 戦術データリンクを見ながら、亀岡の状況が見えてくる。

亀岡市街の戦術機甲部隊は戦域中央軍。担当は帝国軍。その他にも東端と担当している。西端は帝国斯衛軍と帝国軍の混成部隊。東西中央で編成にバラツキがあるのは、恐らく西端は支援砲撃のしやすい火力が集中しやすい地域なのだろう。配置されているのも、かの斯衛とはいえ嵐山補給基地所属の学徒部隊だ。

西端は愛宕砲撃陣地の防衛に注力しており、山間部の警備部隊や装甲車部隊と共に小型種掃討を主に行っている様子。中央は先程のオープン通信を聞いての通り。目的は嵐山砲撃陣地の死守、といったところだろうか。戦域中央軍は嵐山砲撃陣地の西側。侵攻するBETA軍は恐らく、東に砲撃陣地を見つけて方向転換をするだろう。そういった考えがあり、戦域中央軍は集結・再編成し防衛線を再構築するのだ。

 ならば西端を担当していた斯衛部隊の動向はどうなのだろう。

彼らは西端戦域で侵攻する中隊規模のBETA群と接敵、交戦。その後も散発的に浸透を続けるBETA群に対して味方を落とされながらも持ち堪えたが、光線級を掃討後は嵐山補給基地方面に向かって撤退を始めた。補給コンテナも全て空にした様子で、そのまま老ノ坂峠へ向かった。

 嵐山補給基地はどうなっているだろうか。亀岡戦域の補給を担っている嵐山補給基地は、山間部に建設されたもののようだ。山肌をくり抜いて作られた基地は、斜面を見下ろす形で戦術機用カタパルトを2基設置されている。射出される方角は亀岡方面だ。戦況はレーダや戦域データリンクと共に、外を見ることで把握ができる立地だと思われる。

戦術データリンクから状況を確認すると、どうやらCPは置かれていない様子だった。

 戦域中央軍を左手に見ながら、戦域データリンクを共有。補給コンテナの位置を更新する。まだ西の方には使われてない上にBETAが寄り付いていない補給地点が点在している。一度押し出せば、その補給地点を中心に防衛線を押し上げることができる。しかし、このような状況下ではそれも難しいだろう。遠隔操作で補給コンテナを呼び、展開する防衛線の補充にするだろう。

 

『デスサイズ1より、南を移動する帝国軍戦術機へ。貴官は何故後方へ行く』

 

 突然、バストアップウィンドウが表示される。壮年の男性衛士が映し出され、俺にそう訴えかけてきた。

 

『イーグル1よりデスサイズ1。前線から司令部への伝令です。早急に嵐山補給基地へ向かいます』

 

『伝令? その情報を開示できるか?』

 

 オープン通信であるならば、それらしいことを言わなければならないだろう。

 

『申し訳ありません』

 

『……分かった。イーグル1、嵐山に伝えてくれ。亀岡戦域が瓦解するのも時間の問題、と』

 

『了解』

 

 ウィンドウが閉じられる。それと同時に幾つもの閃光と発砲音を捉えた。

 そのまま反転することなく、斯衛部隊を追いかけるように老ノ坂峠へと向かった。

 

※※※

 

[同年同日 絶対防衛線圏内 帝国軍桂駐屯地]

 

 遠くからではあるが、俯瞰して桂駐屯地が見える位置で戦域の様子を見ていた。

 帝国・帝国斯衛軍に恩を売る。その命令を受けてはいたが、結局俺は俺にできる最大限のことをしてきた。だが、単機にできることは大きくなかった。亀岡市街の戦域中央軍に加わることもできたし、何ならこれまでの参加した戦闘全てで言えることだ。北条町駅でのことや、九州でのことも。国連軍や帝国軍と共闘することは何度もあったのだ。

それでも、俺にできることは大きくなんてない。

 あの頃、俺は世界を救うと勘違いしていた。だが、それは俺"だけ"にできることではない。仲間と共に一丸となって成さなければいけないことだった。

 

『停止中の陽炎(F-15J)

 

 接近には気付いていた。しかし、主機も落としていた俺にわざわざ話しかけた。擱座していると思われたのか? それとも、どこかの部隊から抽出された、桂駐屯地の救援とでも言うのか?

 俺の周りにランディングしてきた8機の不知火は、2機が突撃砲を後ろの地面へ向けて構えたまま、その他の6機は周辺警戒をして睨みつけてくる。

 

『こちら帝国軍首都防衛連隊所属の遊弋部隊 ウルブズだ。搭乗中の衛士、聞こえているのなら返事をしろ』

 

「帝国軍第207試験小隊 鉄です」

 

『中身が生きているのならいい。このようなところで何をしている?』

 

 体液で汚れた、特徴的な迷彩が施されている不知火に少し気が逸れる。だが、すぐに持ち直してそれらしいことを答えた。

 

「機体の調子が悪いみたいで、先ほどまで機外で作業をしていたところです」

 

『ほう。見たところ、俺の知っている陽炎とは違うみたいだ。帝国軍の試験小隊ということは、試作機といったところか?』

 

「機密につきお教えすることはできません」

 

 バストアップウィンドウに表示される顔と、コールサインから察するに中隊長。俺は名乗ったものの、相手は大尉だ。

俺がSOUND ONLYになっているところが気になっているだろうが、それよりも確かめなければならないことを、確かめているといったところだろうか。

 この時の俺は油断していた。何故ならば、これまでどこの部隊と接触したところで、部隊名を言って機体のことは機密だと言えばそれで済んでいたからだ。

Need to know。知る必要のない人間に知らせる必要はない。知る必要が出た時、必要な情報だけが知らされる。

 俺は聞き慣れない帝都防衛連隊と、部隊長である彼のことを少しばかり侮っていたのかもしれないのだ。

 

『この戦域には試作機を投入した実戦試験は行われていないと聞いているが、貴官の所属を明らかにしろ』

 

 不味い。疑われている。ウィンドウ越しに睨みつけるオッドアイ、恐らく擬似生体移植された目が獰猛な狼のように睨みつけてくる。

 だが、運が良かった。桂駐屯地内にいる斯衛の学徒部隊に動きがあったのだ。恐らく、近くで瓦礫に挟まっていた突撃級が動き始めたのだろう。橙色の機体目掛けて突撃し、引き倒してしまったのだ。勢いが足りず、機体を轢き裂くことはできなかったようだ。見たところ前腕のナイフシースが脱落しており、武装は何一つとして持っていない。

あれでは3機とも、たった1匹の突撃級にやられてしまう。

 

『チッ! 乳歯共が不味いな。陽炎の、詳しい話は後だ』

 

 ふわりと浮かび上がった不知火たちは、突撃級と戯れている82式戦術歩行戦闘機 瑞鶴に向かって行った。

 

※※※

 

 着座とデータリンク同期、起動シークエンスは何も必要ないが、少しばかり遅れて俺も飛び上がる。向かうのは、突撃級や、付近に潜んでいた戦車級を倒しきった不知火と瑞鶴がいる場所だ。

 何やら話していたようだが、俺が着地する頃には一通り話しは終わっていたようだ。

 

『何だ、鉄』

 

「いいえ。少しばかり話が聞こえていたものですから」

 

 そう言って俺は丸腰の瑞鶴たちに突撃砲と長刀を渡す。

 

「使い古しで済まない」

 

『え……ですが』

 

「俺にはこれがある」

 

 ナイフシースから短刀を2振り引き抜いて見せる。まだ使っていない新品だ。

 俺はすぐさま回線に入り、ウルブズの中隊長に話し始める。

 

「ウルブズの中隊長」

 

『真田だ』

 

「では真田大尉」

 

 真田大尉は顔を顰める。どうやら階級は大尉で合っていたらしい。

 

「あまり詮索されるのはやめて欲しいですね。藪をつついて蛇を出す、と俺は思いますよ」

 

『何を言っているんだ……鉄』

 

 剣呑な雰囲気に変わってしまったが、このような状況下で俺がもし工作員と疑われてしまうことだけは避けたい。斯衛の学徒兵には悪いが、少しばかりその空気は我慢して欲しい。わざわざことわざを使ってまで、そう伝えたのには2つ理由がある。

1つ目は、俺が生きて白陵に帰るため。道中、営巣やら尋問はなしで。そして2つ目は、真田大尉とこの場にいる全衛士のためだ。もしこの機体と俺の秘密が知られてしまったならば、ほぼ確実に()()()は情報漏えいの対策をする筈だ。

帝国軍の不知火は、精鋭にしか配備されない機体。ということは、真田大尉は精鋭。そして、その不知火を連れている中隊の長だ。この戦場で生き残る可能性は十二分に考えられる。もし、生きて帰ったならば、帰った先で俺のことを報告するかもしれない。

俺の伝えた第207試験小隊は存在しない。調べればすぐに知られてしまう嘘だからだ。ならば、詮索しないに限る。

 

『篁、これから貴様らはどうする?』

 

『は……二条城の本陣を目指し、斯衛本隊と合流します。そこで新たな命令を受領します』

 

『貴様らの向かう先は、市街戦の激戦区だ。無論、道中の浸透した敵との遭遇率も高い。ならば、駅に向かうといい。京都駅ならば、臨時の物資集積場になっている。戦術機用の兵装ならば一通り揃う筈だ。それに、運がよければ簡単な機体整備を受けられるかもしれん。帝国軍戦術機甲一個中隊と機械化装甲歩兵一個大隊が守っている。万が一の場合は、壬生駐屯地へ向かえ。助教だった斉藤中尉を探せ。何らかの融通はしてくれるだろう』

 

 会話内容から推察するに、真田大尉は斯衛で教官をしていたのだろうか。

 脳裏にまりもちゃんの顔が過る。何度も教えられ、怒られた。呆れられることもあった。驚かれることもあった。それでも俺の中で先生であり教官であるのはまりもちゃんだけ。そしてトライアルの時、後催眠暗示と興奮剤の併用でバッドトリップした俺は、ペイント弾を装備したままBETAに突撃し、撃墜された。

その後のことも鮮明に覚えている。管制ユニット内で小便をチビって泣き喚いたこと。助けてくれた伊隅大尉に行かないでと懇願したこと。全てが終わった後、まりもちゃんに慰められたこと。そして……。

 

「うぐっ……」

 

『どうした、鉄』

 

「いえ少し。昔のことを思い出しまして」

 

 今後のことを話していた真田大尉と篁少尉の注意が俺に向く。

 俺の機体からはアクセスできないが、この防衛線に参加してからは嫌と言う程見てきたから分かる。それに、彼女たちは新任少尉だろう。恐らく、出撃前に催眠処置がなされており、戦闘中は何度も圧力注射が施行された筈だ。薬物過剰投与の影響は見れば分かる。

少しばかり虚ろな目をしている。眼鏡の能登少尉は眼球が揺れている。緊張状態か何かを必死に考えているか。篁少尉と山城少尉は幾分かマシな状態だが、追いかけてきている俺からしてみれば、よくない状況なのは自明だった。

 ならば、少しばかりここで恥をかくのもありだろう。それに俺は架空の部隊の架空の衛士。別に誰かに伝えられようが、存在しない人間の話だ。痛くも痒くもない。ただ、言えないことも多い。それなりのカバーストーリーを作らなくてはならないな。

 

「俺が任官したばかりの」

 

 そう言いかけた刹那のことだ。

 

『ウルフ2よりウルフ1。師団規模のBETAが接近してます』

 

『了解した』

 

 近接接続された戦術データリンクからBETAの情報が飛び込んでくる。西から接近する師団規模BETA群は、真っ直ぐこちらに向かってきていた。

 

『ウルフ1よりファング小隊ならびに鉄』

 

『は』

 

「はい」

 

 機体を迫りくるBETAの方に向けた真田大尉は、小さく言った。

 

『行け』

 

『……了解』

 

「了解」

 

 俺はどうしようかと考えつつ、戦域図を拡大して見る。

 既に帝都にはBETA群の通過した跡が残されており、西側の補給基地は潰されている。篁少尉らの基地である嵐山補給基地は既に陥落。マーカーはロストしており、恐らくBETA群に蹂躙されている。

現在は琵琶湖付近まで迫っており、山科付近での残敵掃討戦が始まっているようだ。既にBETA群の先鋒は通り過ぎた後。面制圧や砲撃によって、その殆どが討ち倒されている。となると、BETA群後衛である要塞級らがそろそろ市街地に入ってきている頃だろうか。

 すり減った防衛部隊が要塞級の大群を相手にするのは困難だ。それに先程、篁少尉らの瑞鶴とデータリンク共有した際に分かったことだが、彼女たちにはデータリンク制限がかかっているものの、参加中の斯衛部隊のデータが入っていた。そこには、絶対防衛線に配備されている斯衛部隊の半数以上が学徒兵であることが分かっている。

つまり、どこの部隊とも満足なデータリンクができない部隊が、帝都市街にあちこち生存している可能性が極めて高い。

 また、帝国軍も同じような現象が見られる、と思われる。本土に踏み込まれたなら、戦える者は全て動員する判断を下すのも納得できることなのだ。

真田大尉は遊弋部隊と言った。俺が聞いていない間に、篁少尉らにどのような説明をしたか分からないが、恐らく物資の集積と同時に生存者の捜索も任務の内としてあるのだろう。このようなところで孤立している3人を見つけて話しかけるということは、元々教え子であったということを抜きにしても任務を確実にこなしている証拠だ。

 真田大尉らウルブズが飛び去るのを確認すると、俺はそのまま篁少尉に話しかける。

 

「篁少尉が3機を率いている、と見ていいのか?」

 

『は、はい。鉄……』

 

「少尉だ。……3人は京都駅に向かう。そこで兵装を受け取り、御所の斯衛本隊に合流する。そうだったな?」

 

『そうです、鉄少尉』

 

「俺も行こう。短刀があるとはいえ、ほぼ丸腰みたいなものだからな」

 

『申し訳ありません』

 

 先程、真田大尉にどうするか聞かれた時、篁少尉は少し悩んでいた。恐らく、ウルブズが遊弋部隊であることを聞いて、何かを考えていた。それは保護だろう。武装が全て脱落した戦術機が3機、孤立しているのだ。しかし、斯衛本隊に合流すると言った。

つまりそれは、自力でこの状況を打破するため、といったところだろう。繰り上げ任官後も、教官のおんぶにだっこではよくない、そう考えた。

 

「俺はファング小隊と連携が取れない。見ての通りの機体。だから先行する。近接データリンク範囲ギリギリを先行し、前方の様子を確認しながら行く」

 

『了解しました、鉄少尉』

 

「俺もその気持ち、分かるんだ。だが、これくらいはさせてくれ」

 

『え……?』

 

 スロットルを開き、機体を浮かばせる。匍匐飛行の態勢を取り、そのまま京都駅を目指すことにした。後ろに3機の瑞鶴を引き連れて。

 


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