なので、どうしても趣味や旅行に関する費用、お小遣いなどが減らされる憂き目にあいます。さらに外食費、タクシー代、洋服代など、少しずつ削っていっても、なかなか150万円という収入減を埋めることは容易ではありません。
150万円を節約しようとすると、月に12万5000円節約する必要があります。贅沢はしないようにしても、人付き合いや子どもへのお金のかけ方にも影響が出る金額です。
もっと将来に目を転じてみれば、退職金や老齢厚生年金への影響も無視はできません。また、夫の所得が定年まで安定しているかもわかりません。そのような確認作業をやっていくうちに、お二人の顔が暗くなっていきます。
いくら夫の稼ぎのほうがいいといっても、妻の減収分を今の年収に上乗せして稼ぐことは不可能です。しかも、女性の収入が平均的に男性より低いのは、社会的要因も大きく、女性の責任ではありません(前回記事「「時短勤務」を極力避けるべきこれだけの理由」参照)。
であれば、2人で力を合わせて世帯の「売り上げ」確保に力を注ぐほうが建設的です。「何とか今の世帯売り上げを確保する方策を話し合ってみませんか」と水を向け、お二人の顔が少し明るくなったところで、Uさんに今の生活を続けることの困難さを具体的にお話ししていただきました。
有償労働と無償労働を足したら、妻のほうが長かった
Uさんが語ったのは次のようなことです。
Uさんの平日の家事・育児・労働時間は、通勤時間を含めて約14時間半です。そのうち家事や子どもの世話に充てる時間は約4時間。この4時間はいわゆる無償労働です。夫は確かに14時間と長時間労働ですが、全労働時間はUさんと同じくらいで、ほぼ有償労働で占められています。