以上は、私のところにご相談に見える共働きカップルの標準的なパターンです。細かい部分はともかく、流れとしては、家庭も仕事も先が見えない中、このまま漫然と続けていくくらいなら、思い切って仕事をやめて(パートになって)、子どもにもしっかり手をかけたい、でも経済的にやっていけるだろうかというご相談です。
相談とはいっても、皆さんすでに妻がフルタイムの仕事をやめる気持ちは決まっていて、あとはファイナンシャル・プランナーからお墨付きをもらいたいというのが本音のようです。
「世帯売り上げ」はヤリクリではどうにもならない
ファイナンシャル・プランナーの私がまずやることは、価値判断を入れることなく、事実の確認と将来の予測を行うことです。
Uさんの場合、夫の年収が約500万円、妻が約340万円で世帯年収は840万円です(手取りは夫が約390万円、妻が約270万円)。今は自然体で年間200万円から250万円の貯蓄ができています。ご相談時点での貯蓄合計額は700万円です。
お子さんが3歳なので、このままの収支が続くとすれば、お子さんが中学に入学する10年後は、貯蓄が3000万円前後になっているはずです。
一方、Uさんの収入が150万円ダウンしたとすると、年間貯蓄額は50万円から100万円となり、10年後の貯蓄は1100万~1600万円程度です。ただ、子どもが成長するとともに、家計費は膨らんでいくことには注意を促します。
食費や水道光熱費、お小遣いはもちろんのこと、行動範囲が広がれば交通費もかかりますし、スポーツや音楽などの習い事にお金がかかるようになるかもしれません。
子どもの教育費も家計収支を大きく左右する要因です。中学から私立に進学する可能性とか、大学進学した場合の費用を親が負担するのかといったことも考えておく必要があります。仮に、小学校4年くらいから塾通いが始まるとするなら、収入がダウンするとまったく貯蓄ができなくなる可能性もあります。
ただし、あくまでもヤリクリすることなく、今の支出が続いたらという前提です。では、「何とかなる」レベルまでのヤリクリ、つまり今の年間貯蓄額をあまり減らさないためのヤリクリとはどの程度のヤリクリなのでしょう。
それを明らかにするために、現在の年間支出を整理して、ヤリクリできる支出とヤリクリできない支出に分けます。食費や日用品費、水道光熱費はヤリクリするには限界があります。ヤリクリしすぎて生活の質が下がったり、健康を害しては元も子もありません。