「稼ぎが少ない方が家事をするのは当然」の落し穴

「無償労働の価値」を知らない人が認識すべき事

Uさんの夫は大学時代の同級生で、自然な流れで30歳になる前に結婚しました。子どもが生まれるまでは夫婦ともに仕事中心の生活で、食事は外食になることも多く、週末にまとめて掃除をするくらいで、家事を意識することは特にありませんでした。その生活が一変したのは子どもが生まれてからです。

夫婦ともに実家が遠くにあり、両親のサポートは期待できません。夫はそれまでの生活を変えるという発想はなく、早朝から夜遅くまで相変わらずの長時間労働です。必然的に保育園情報の収集から申し込みまでの一切を担うのはUさんでした。

夫は帰りが遅いこともあり、たまに子どもをお風呂に入れるくらいがせいぜいで、しかもタオルや着替えを用意したり、洗い終わった子どもを受け取って、細々とケアをするのはUさんです。

学生のときも共働きをしていたときも、夫に劣等感を持つことはなく、お互いのいいところも欠点も、それぞれの個性として受け止めてきたつもりでした。それがどうも「きしみ始めている」という感覚が迫ってきます。

家庭内だけではありません。キャリアを途絶えさせたくないと必死で保活をし、意気揚々と復帰した職場も、なんだか居心地の悪さを感じるようになりました。

子どもの急な発熱で早退したり休んだりしていて肩身が狭く、残業や泊りがけの出張ができなくなったことで、出産前と同様の成果が出せなくなり、「会社にも迷惑をかけているのではないか」など、ネガティブな思考が浮かんでは消える毎日です。

フルタイムをやめてパートになれば解決する?

Uさんはすっかり疲れ果て、とうとう思い余って、「中途半端なままじゃ子どももかわいそうだから、パートになろうかと思う」と夫に切り出しました。夫は渡りに船です。これで「家事をして」と責められたり、疲れてイライラする妻を見なくてすむわけですから。

心配なのはお金のこと。でもUさん夫婦はヤリクリすれば何とかなりそうだと思っています。今は時間がないのでついお総菜を買ったり、外食することもありましたが、そんなこともしなくてすみますし、お迎えに間に合わなくてタクシーを利用することもなくなります。

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