無様屈服ワンちゃんばかりのこの世界で俺は巨乳好き   作:クゥン

4 / 10
 皆様の応援のお陰で日刊1位になりました。感謝の想いでいっぱいです。

 また、雛ちゃんをこはや様から、メスガキ先輩をようぐそうとほうとふ様に描いていただきました。それぞれ目次から閲覧できます。
 ご両名、並びに閲覧、お気に入り登録、評価してくださっている皆様へ、改めて感謝申し上げます。


甘いものはいつだって心のオアシス

 

 

 

 

 年上好きの俺にとって地獄みたいな世界ではあるが、決して全てがメスガキの法則に当てはまるという訳ではない。

 メスガキの法則ってなんだよ。

 

 例えば、学校に通う年齢の女子が全員メスガキのそれか?

 これはノーだ。当然だ、そんなことになったら日本はもう終わりだ。潔く滅んでくれ。

 

 全ての男性……ここでいう男性は主に成人している男性を指すが、それらが全員腰へこ犬か?

 これもノーだ。そうなったら社会的生物の定義ぶち壊れるわ。

 

 そもそもの話、人間が産まれてる以上、男女間におけるメスガキを介さない関係性は確実にあるはずなんだ。

 残念ながら俺が周囲の違和感に気づいてからでは、両親以外では今のところ観測されていない。なんでぇ?

 

 

 

「ぷぷ~♡かわいそ~♡」

 

「くっ……今に見てろ……」

 

 

 

「ほらっ♡どうして欲しいか言ってみなさいよっ♡言えっ♡」

 

「うぅ……ごめんなさい……」

 

 

 俺の周りで観測できるのはこんなのばっかりだ。

 誰も助けちゃくれねぇんだよ一人なんだからぁ!

 

 これらを踏まえて推測するに、全ての子供や大人がそうなのではなく、必要なのは恐らくきっかけだ。

 お互いに『大人』や『メスガキ』に成るトリガーを踏み、その上でそれらが相対することでいわゆる『メスガキ物同人展開』というものは発生するのだろう。

 

 更に言うなら、人の心の内にそのトリガーが発生しやすいのがこの『世界』ということなんだろう。

 何言ってんだこいつ、頭おかしいんとちゃうか?

 

 

 

 

 

 

 

 さて、講義も終わり今は帰路。

 時間帯にしておよそ4時頃。夕飯には早いし、しかしちょっと小腹が空いたような、そんな時間。

 バイトもないし本当なら友人を誘って遊びにでも……と思っていたのだが今日に限って空振りだ。

 

 複数人で行動していると声を掛けづらいためか、メスガキと遭遇する危険性は多少低くなる……らしい。

 確実だと言えないのはそれでも出会う時は出会うからだ。熊か何か? 

 

 

 そういった下心込みでの遊びの誘いだったが、当てが外れた。

 どちらにせよそれって根本的な解決にはなりませんよね?という疑問もある。

 

 それにしたってまっすぐ家に帰るのも何だか味気ないし、ならばやるべきことは一つ。

 

 

「買い食いしてから帰るか」

 

 

 

 

 

 

 

 行き先は家から程近い商店街。

 大学に来てからというもの、暇があるとつい寄ってしまう。

 

 規模はそこまで大きくないのだが、ここはいつも人で賑わっている。

 学校帰りの学生から夕飯の買い出しに来た主婦、暇でおしゃべりに来た年配の人。

 大きなショッピングセンターが近くにないのも理由の一端だろうか、夕方近くになると多くの人が集まる。

 

 何が言いたいか分かるだろうか。

 

 つまりこの場所はメスガキとの遭遇率が非常に、非常に低い。

 人目が多いこの場所は必然、法に触れるようなことは起きにくいという訳だ。

 

 こんな当たり前のことに安堵しなきゃいけない現実に涙が出そうだ。

 俺、こんなんじゃ地球を守りたくなくなっちまうよ……守れる訳じゃないけど……

 

 

 

 

 

 

 人混みを避けて歩きつつ、まっすぐ俺が向かう場所。

 それは商店街の中ほどにある一軒の和菓子屋。

 

 

「こんにちはー」

 

「いらっしゃい!あら久しぶりね!」

 

 

 それがここ『安城』という店だ。

 和菓子をメインに取り扱っている店で、その味は最高の一言に尽きる。

 中でも時間帯限定で販売しているたい焼きとカステラ。

 この二つは日々開店前の行列が出来る程に人気が高い。

 

 そして何より大切なこと。

 

 

「すみません寧さん、最近バイトとかレポートで忙しくって」

 

「ふふっ、気にしないで。私も最近喫茶店の方に顔出せてないしね」

 

 

 店員のお姉さん、『安城 寧』さんっていうんだけどな。

 

 もう超ッ絶可愛い……!!

 

 こういう店ってお婆さんがやってるイメージあったけど、いやもうほんとすげぇ美人なんだよっ!

 背がちょっと高めで、髪が黒いロングで艶々してて、和服姿の美しいこと!

 指の細さとか正しく嫋やかって言葉がぴったり当てはまるような……っ!

 

 しかもちょいちょいバイト先に顔出してくれる。女神か?女神だったわ。

 つい見栄張って忙しいなどと言ったがとんでもない。

 この人に会えるなら秒で課題終わらして会いに行くわ。

 

 和やかに世間話をしつつ、いくつか美味しそうな和菓子を見繕ってもらう。

 普段洋菓子も扱うバイト先なのもあって、お互いお菓子の話にはついつい興が乗ってしまう。

 

 

「はいっ、お待ちどうさま!また来てね!」

 

「あざすっ!」

 

 

 夢見心地と言ってもいい時間はあっという間に過ぎ、手には少し大きめの和菓子の入った紙袋。

 寧さんの紹介の仕方が上手く、日持ちするからという売りもあって毎回ついつい買いすぎてしまう。

 

 紙袋の口を軽く開けて中を覗くと、そこには色とりどりの魅力的な和菓子が詰まっている。

 本当に、いい店を見つけたなぁおい……!

 

 日々メスガキへの対策を考え、メンタルを削られている身にとって、これほどまでに安らげるような場所はない。

 

 

 商店街の中には休憩スペースのようなものがある。

 四人掛けの丸テーブルに椅子、花壇に沿うように配置されたベンチのある、買い物後に一休みできる場所だ。

 自販機も傍にあり、まさに小休止に相応しい場所だ。

 

 そこに足を運ぶと、時間を持て余した爺さん婆さん達がたむろしてたり、俺の様にお菓子や総菜屋で思い思いに買い物をした育ちざかりの学生たちでにぎわっている。

 四人掛けを使うのも少し憚られ、隅のベンチに腰掛ける。

 

 ───一つ二つ食べて、後は家に持ち帰ろう。

 そう思って袋を開けようとした時、見覚えのある顔が傍を通る。

 

 

「あれ、雛ちゃん?」

 

「……!お、お兄さん!?」

 

 

 うわ出た。知り合いの幼女だ。

 

 知り合いの幼女ってなんだよ、普通に近所の子供だよ。

 

 

「珍しいな、商店街にいるのは。というかここじゃ初めて会った?」

 

「そ、そーかな?たまに来るんだけど……」

 

 

 商店街で子供に会うとは考えてなかったから虚を突かれ、完全に気が抜けていた。

 というより、商店街は子供一人で歩くには些か危ないのでは?と思わなくもない。

 まぁこの世界の法則的に、この子に害を与えられるとは思わないが。

 嫌な信頼だなぁ!?

 

 

「……そうだっ。ねね、今暇?」

 

「んー、まぁ暇……っちゃ暇か」

 

 

 参ったな、普段はなんやかんや忙しいからと煙に巻いてしまっていたが、この状況で『遊び』を断るのは難しい。

 メスガキかもしれない相手にみすみす隙を与えたくはない。

 でもどう考えてもお菓子で一服しようってとこだよこれ、もう逃げ場ねぇよ。

 

 しかし、若干ではあるが俺の予想は裏切られることになる。

 

 

「お話しよっ!」

 

「……ん?遊びじゃなくていいの?」

 

「いいのっ!」

 

 

 ……まぁ、話くらいなら全然かまわないが。

 それに、おしゃべりがしたい子供を無視して家に帰る、というのも非常に後味が悪い。

 

 どうせ家に帰ってもレポートやるか休むと称してダラダラするだけだし、少しくらい、な。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───それでねっ、ちっちゃいけど豆電球がキラキラーって!」

 

「うわなっつ!あれでしょ、屋上で太陽光パネルかざすやつ!」

 

「そうそうっ!何人かでグループ組んでやったんだけど、凄かったっ!」

 

 

 お兄さんは楽しそうに、私の話を聞いてくれる。

 こんなに誰かと楽しいお話が出来たのは、いつ振りくらいだろう。

 

 

「じゃああれやった?音叉使って振動させるやつ」

 

「おんさ?おんさって何?」

 

「……えっ、ひょっとして今使われてないの?Uの形した金属の棒みたいなやつ」

 

「知らなーい」

 

「マ、マジか……カルチャーショック……」

 

 

 その日学校であったこととか、楽しかったこととか、誰かに話したことが無かったから、つい浮かれちゃってたんだと思う。

 でも、他のみんなはきっと、毎日そうしてる。

 

 私だけが、違う。

 

 

「こないだテストねー、私100点だった!しかも5教科中4教科!」

 

「おぉ!雛ちゃん凄いなぁ、やるじゃん!」

 

「ふふん!そうでしょー!しかもね、算数の最後の問題がひっかけ問題で、解いた人は先生が褒めてくれてね!それで……!」

 

 

 

 それでも今だけは、本当に楽しかった。

 この時間が、ずっと続いて欲しかった。

 叶わないとは思うけど、一人ぼっちでいるよりずっとずっと幸せな時間だったと思う。

 

 できるなら、お母さんやお父さん、お姉ちゃんともこうやって、過ごしてみたいなぁ。

 お話するだけの時間が、欲しいなぁ。

 

 

「……っと、悪い。ちょっと電話出てもいい?」

 

「えー!?……しょうがないなぁ」

 

 

 ちょっとやだったけど、でもわがまま言って迷惑をかけたくなかった。

 でも、やっぱりもうちょっとお話してほしかった。

 

 

「ごめんね。……げっ、先輩から……もしもし」

 

『出たわね。今時間ある?』

 

「大丈夫です。なんか用です?」

 

『こないだのレポートで伝え忘れてたわ。使ったサイトのURL、特にデータとか載ってるやつはちゃんと参考文献に載せなさいね』

 

「あー……そういや書いてねっす」

 

 

 普段私に見せてくれるような明るい顔じゃなく、どっちかというと嫌そうな顔。

 私が見たことない表情。

 私には見せてくれない、顔。

 

 

『やっぱりね。それとあの教授、本のデータだとなんも言わないけど、ネットの情報になった途端すっごい厳しいわよ。根拠薄いって判断したら即減点だから』

 

「……マジです?」

 

『マジマジ。見てたサイトのURLメッセージで送るから後で足しときなさいよ。よかったわねぇ♡頼りになる先輩がいてぇ♡』

 

「うっざ……」

 

『えっ、今先輩にうざいって言った?ねぇちょっと!!今あんたうざいって言ったぁ!?』

 

 

 話してる人の声は聞こえないけど……

 今のお兄さん、凄く、楽しそうにお話してる……

 

 

「うっさ」

 

『あんた後輩の自覚ある??レポートのミス指摘して罵倒とかなんなの?バカなの?死ぬの?』

 

「ご指摘あざまーす」

 

『か、感謝が羽根の様に軽いっ!……まぁいいわ。そんなことよりあんた、今日この後空いてる?』

 

「ん……まぁ一応」

 

 

 私、やっぱり迷惑になっちゃってるのかな。

 ずっとおしゃべりばっかりで、嫌な子だと思われてないかな……

 

 

『こっち講義終わったから飲み行くわよ。私一人だとたまに門前払いからの通報コンボ食らうから付き合いなさい』

 

「いやです。じゃ、お疲れ様です」

 

『せめて断り文句はもうちょい捻れ───っ!』

 

「うるさっ。分かりました分かりました、また連絡しますんで。……ごめん雛ちゃん、ちょっとこの後用事できちゃったから行かないと……雛ちゃん?」

 

 

 ……なんか、もやもやする。

 家にいるときと、同じ感じがする。

 悲しいような、苦しいような、寂しいような。

 

 

「おーい?だいじょぶ?」

 

「へ?あっ、うっ、うん!」

 

「そう?ならいいんだけど」

 

 

 そう言うとお兄さんは立ち上がって、こっちを見てまた笑顔になる。

 さっきまでのもやもやが、ちょっぴり無くなったような気がした。

 

 

「よし、んじゃ家まで送るよ」

 

「え……いいの?」

 

 

 嬉しいけど、迷惑じゃないかな。

 お兄さんは優しいから、ほんとは嫌なの、我慢してないのかな。

 

 

「一人で帰すわけにも行かないし。それにさ」

 

 

 そう言うとニッと笑って、凄く素敵な笑顔で。

 

 

「俺、もうちょい話したい気分なんだ。だからもうちょい話そうぜ」

 

「……!うんっ!」

 

 

 まるで私がもっとお話ししたかったのを分かってたみたいにそう言ってくれるお兄さんがかっこよくて。

 また私は、お兄さんに甘えちゃうんだ。

 

 

「……よし!これをあげよう」

 

「わっ、これ安城さんのとこのお饅頭?」

 

「家で食べたら雛ちゃんの家族に怒られるかもだし、歩いて話しながら食べちゃおうぜ」

 

 

 さっきはお兄さんのいろんな顔が見たいなって思ったけれど……

 お兄さんは笑顔が一番素敵、だよね。

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
Twitterで読了報告する
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。