ちょい高ウイスキーの第1弾として、今回はニッカウヰスキーのフロム・ザ・バレルを飲みます。

加水を最小限にしたマリッジウイスキー

ftb2018_フロム・ザ・バレルは、1985年に発売されたブレンデッドウイスキーです。
このウイスキーの特徴として、まずモルトとグレーン原酒をブレンドした後、別の樽に貯蔵して再び熟成を行う工程を経る作り方をしています。日本語では後熟(こうじゅく)といい、英語では結婚を意味するマリッジと呼ばれます。

ニッカは1978年に発売した1級ウイスキー、黒角ニッカでマリッジを初採用し、続いて1983年発売の特級ウイスキー、マイルドニッカでも採用しました。
このマリッジ工程のために、現在の栃木県さくら市に工場を1977年に建設し、本格的な量産体制をとっています。

そしてフロム・ザ・バレルのもう一つの特徴が、アルコール度数を51.4度にするよう、加水を抑えている点にあります。
一般的な樽に貯蔵されたウイスキーのアルコール度数は55~60度で、市販されているウイスキーは40~43度が多いので、一般的なウイスキーよりも加水を少なくしているのがわかります。

この51.4度という中途半端な数字は、イギリスでアルコールの度数を示すブリティッシュプルーフという単位で90プルーフに相当することに由来します。
ブリティッシュプルーフで100プルーフは57.1度、75プルーフで43度、70プルーフで40度となります。
つまり一般的なウイスキーの度数である43度、40度というのも、このブリティッシュプルーフが基準となっているのです。
一方で100プルーフの基準が、ウイスキーを蒸溜してから樽に詰めた状態、カスクストレングスでの度数を示しているとも言えます。

1985年当時では、カスクストレングスのウイスキーはほとんど見かけることはなく、50度を超えるウイスキーというのも珍しいものでした。現在も「樽出し」のウイスキーと宣伝していますが、加水が少ないことを考えると大間違いとは言えないでしょう。

このウイスキーは2015年に、蒸留酒の品評会であるインターナショナル・スピリッツ・チャレンジにて、ノンエイジのジャパニーズブレンデッドウイスキー部門で、最高賞であるトロフィーを獲得しています。

現在でもニッカファンのみならず、ウイスキーファンにとっても高い評価を受けているウイスキーになります。

高いアルコール度数を感じさせない甘さ、熟成感

ストレート

51.4度の割にアルコール感は少なく、栗、バナナ、レーズン、カカオ、カラメル、バニラの香りが広がります。
味わいは、アルコールからの辛みはそこそこあるものの、柔らかい酸味の後に甘さが一気に広がります。
ノンエイジなれど、熟成によるまろやかさがしっかり感じられます。

ロック

軽くスモーキーな香りが鼻を抜けた後、シナモン、バナナ、リンゴ、ブドウ、バニラと様々な香りが広がります。

味わいは酸味と苦みが半々に感じられ、後味には甘みを得られます。

水割り

バナナやシナモンの甘い香りが広がり、あまり薄さを感じさせません。

味わいは、先に多少の苦みがあるものの、後から甘さが追いかけてきます。

ハイボール

バナナの香りが先に訪れ、その後にリンゴ、ブドウ、最後に樽からの香りが締める印象です。
味わいは、炭酸の分も加わって酸味が先にやってきますが、奥から甘みがついてきます。

まとめ

50度オーバーのウイスキーであるものの、ストレートでもアルコールのとげとげしさはあまり感じられず、豊かな香りと甘い味わいが楽しめるので、油断するとスイスイ飲んでぐでんぐでんに酔っ払ってしまうでしょう。

また、ロックにすることで更に香りが開き、甘くて濃厚な香りと味わいを堪能できます。

500mLで価格は2800円ほど。ただし流通量はそれほど多くなく、プレミアがついている場合があります。
  • メーカー:ニッカウヰスキー
  • 容量:500mL
  • アルコール度数:51.4度
  • 香り:栗、バナナ、リンゴ、ブドウ、シナモン、バニラ、カカオと多彩。
  • 味わい:軽いほろ苦さがあるが、全体的柔らかい酸味と甘みが広がる。
  • ストレート A: アルコールの刺激が少なめ。酸味の後に甘さがある。
  • ロック AA: スモーキーさも感じられて、ストレート以上に香りが広がる。
  • 水割り B: フルーティさが感じられて、甘みのある水割り。
  • ハイボール B: 炭酸からの酸味が加わり、アクセントが多少つく。