海底ケーブルとは文字通り、海で隔てられている地域間をケーブルで直接つなぎ、情報をやりとりするための設備です。
海に囲まれた日本は海底ケーブルがあるおかげでインターネットを使えるのです。
スマホや携帯電話の「電波」というイメージもあって、「電波が海を越えて海外のサイトにアクセス」と思うかもしれません。
しかしの海外とのインターネット通信の99%は海底ケーブルが担っています。
インターネットのような大容量の通信の場合、
人工衛星を経由する衛星通信と比べて、
海底ケーブルは伝達距離が短く済むため高速で通信できます。
また、直接ケーブルでやりとりするため大容量の転送が可能です。
ただし、転送されるデータ量が少ない離島や山岳地帯との通信、中継などでは衛星通信が優位となり、相互で補完しながらそれぞれの役割を担っています。
海底ケーブルはどのように敷設されるのでしょうか?
実はその手法は昔から大きく変わっておらず、
『ケーブルシップ』という船で何千kmもの長さのケーブルを積み込み、
そのケーブルを海底に投下しながら進んでいく手法が用いられています。
水深200mより浅い場所や、漁船の往来が多い場所などでは、ケーブルを海底へ埋めて敷いていけるよう、
専用の埋設機を海中に下ろし、鋤(すき)で海底を耕すようにして、ケーブルを置いていきます。
また、海底ケーブルは一度敷設したら終わりではなく、当然ながらメンテナンスが必要になります。
波によって岩礁と擦れたり、陸地に近い場所では大雨や台風によって川から流れ込んだ大量の土砂に埋もれたり、
船のいかりや網に引っ掛かって破損することがあります。
損傷事例のほとんどは水深の浅いところで起こっています。
ただ、どこかが破損したとしても、複数の経路が設けられているので、データは別のルートを通って届けられます。
故障が発生した場合、その場所まで実際に船で行って、ケーブルを船の上に引き上げて修理します。
中には水深8000mを通っている海底ケーブルもあります。
ルートは海図に記してありますが、波などの影響により正確なケーブルの位置は分かりません。
2011年の東日本大震災では、千葉沖に敷設されていた海底ケーブルが地滑りによって15kmずれるということもあったそう。
どの地点にケーブルが通っているか探り当て、船上に引き上げるという技術は、知識と経験が求められる職人芸です。
故障が発生した場所を突き止めるには、
まず海底ケーブルが陸上へ上陸している場所の施設から海底ケーブルへ電流を流します。
それによって発生する磁力をもとに、
ケーブルシップに搭載される海中作業用ロボットが探索し、損傷した場所を割り出します。
故障した場所の手前でいったんケーブルを切断します。
故障していないケーブルをアンカーにひっかけて海上へ浮上させ、
ブイを取り付けて置いておきます。
もう一方の海底ケーブルも引き上げ、
故障している部分を切り離します。
その後、先に海上へ持ち上げていた海底ケーブルを船内に引き入れ、
故障した部分をカットしたケーブルとあらためて繋ぎ直します。
復旧作業は何日もかかることもあります。
おまけ
世界中の海底ケーブルの位置がわかる地図、サブマリンケーブルマップ
Submarine Cable Map
https://www.submarinecablemap.com/
さすが海に囲まれた日本、何本もケーブルが出ていますね。
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