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接種完了率8割超でも感染急増、98%は軽症で「コロナと共存」方針の国

読売新聞 / 2021年10月9日 7時6分

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 【ハノイ=安田信介】新型コロナウイルスのワクチン接種完了率が8割超のシンガポールで、感染が急拡大している。市民に対する行動規制が緩和されたためとされる。政府は、感染者が重症化していないことを踏まえ、ウイルスと共存する「ウィズコロナ」の方針を打ち出し、厳しい規制に頼らない構えを示している。

 シンガポールでは6日、1日当たりの新規感染者数が過去最多の3577人に達した。今年以降は2桁前後と抑え込んでいたが、8月末から急増し、9月中旬に1000人を突破。9月の死者数は全死者数の約3割となる40人に上った。その後も感染増が続いている。

 感染急拡大は、ワクチン接種完了率が8割を超えることを見越した政府が8月上旬、5人以内の会食や結婚式など集会への参加を接種完了者に認めたことが原因とされている。実際に感染者の多くが、会食や集会に参加したことを認めている。

 シンガポールでは政府が米ファイザー製とモデルナ製ワクチンの接種を促進し、6日現在、接種完了率は83%とアジアで最も高い。

 政府は、指定施設で事前の予約がなくても接種できる仕組みを整えるなどしてきた。特に力を入れたのが、高齢者や身体障害者に対する自宅接種だ。

 政府の委託を受けた企業や民間活動団体(NGO)が医師や看護師を派遣する仕組みで、6〜9月に6000人以上が利用した。寝たきりの義父(90)を接種させた男性(49)は「高齢者には助かる取り組みだ」と話した。

 感染拡大が続く中、政府はウィズコロナの重要性を訴えている。

 リー・シェンロン首相は2日、フェイスブックで「コロナからの回復を目指す旅は簡単ではないが、確実に前進している」と述べた。リー氏は8月末の施政方針演説でも、「インフルエンザのように定期的に起こる感染症として備えなければならない」とした上で、「ワクチンや予防策でウイルスとの共存は可能だ」と強調した。

 こうした姿勢の背景には、新規感染者の98%が、無症状か軽症に抑えられていることがある。政府は、5月以降で70歳未満のワクチン接種完了者が死亡したケースはほとんどないとしており、規制強化よりも3回目の接種促進を進めている。

 感染症に詳しいシンガポール国立大のデール・フィッシャー教授は、規制に頼らず、「病院での治療を重症者に限定するなど、従来の感染症と同様に対応していく必要がある」と話す。

 

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