第八十七話 夢と現実と中途半端
(=ↀωↀ=)<13000字超えたので二・五話分のボリュームです
(=ↀωↀ=)<お時間のあるときにお読みください
〇漫画版九巻
(=ↀωↀ=)<10月1日に発売予定です
(=ↀωↀ=)<今回はほぼマリーVSベルドルベル戦です
(=ↀωↀ=)<原作よりえらいことになってるので是非お読みください
(=ↀωↀ=)<あと書き下ろしSS『ロボータの冒険 用心棒編』もよろしくね
□■夢と現実と中途半端な少年について
昔々……と言っても十年前の話、一人の少年が曾祖父の住む家に遊びに来ていた。
普段両親と住んでいるロンドンからずっと北、スコットランドの片田舎だ。
二十一世紀が始まってから三十余年。それでも曾祖父の家の周囲……曾祖父が持つ土地は昔の景観を残していた。この国がグレートブリテンになる前の景色だ。
曾祖父の住む屋敷もリフォームこそ重ねても昔の風情を残し、家というよりは城の外観である。
そのようにファンタジーに片足を踏み入れた城を初めて訪れた少年が、意気揚々と冒険を始めるのも当然と言えば当然だった。
城の中を駆け回り、城の周りの森を走り回り、曾祖父と馬に乗った。
ひと夏の思い出として、輝く日々。
そんな少年を、曾祖父は微笑ましく見ていた。
「ひいおじいちゃん。ひいおじいちゃん。これなに?」
そうして物珍しい生活に目を輝かせていた少年は、ある日の冒険の中で変わったものを見つけた。
それは壁に掛かったタペストリーだった。
「リロイ。これはうちの御先祖様の紋章や。……そうか、リロイの家ではもう飾ってないんやな」
「もんしょう?」
「ああ。大昔の御先祖様は、盾や旗にこの紋章を掲げて色んな戦いに参加したんやで」
かつて、甲冑が使われていた時代。
それがヨーロッパにおける
リロイ少年の先祖も、そうして紋章を掲げた者の一人だった。
「御先祖様が我が家の礎を作り、儂らが引き継いで、今の平穏な暮らしがあるんや」
「ごせんぞさま、すごいなぁ」
リロイの家は農業や不動産業をしている。
昔から多くの土地を持ち、それを人に貸すことで利益を得ている家系だ。
そうして今の糧になっている土地は、かつて先祖が戦った末に得たものなのだろう。
「ひいおじいちゃん、もっとおしえて!」
「もちろんや。ええ時間やから、ティータイムをしながらな」
そうしてリロイ少年は曾祖父の家の美味しい紅茶を飲みながら、曾祖父の語る御先祖様の武勇伝を沢山聞いた。
彼は、この国の歴史の中に生きた自分に連なる人々の物語に夢中になった。
何度も夢に見るほどで、何度も夢に描くほどで。
リロイ少年は御先祖様のような騎士になる夢や、あのタペストリーに描かれた竜に乗る夢を見た。
素敵な夢。忘れられない、輝く思い出だった。
◇◆
その二年後、曾祖父が死んだ。
年齢ゆえの老衰。大往生である。
曾祖父が死んだ後、その遺産は全てリロイの父が相続した。
曾祖父の一人息子である祖父が既に亡くなっており、直系の子孫が父だったからだ。
そして父は、すぐに……曾祖父の土地を再開発する算段を始めた。
金にならない遺産を、金に換えるために。
「なんでや! なんでそんなことするんや!」
リロイの抗議に対し、父は「あれだけの土地を遊ばせておくわけにはいかない」、「観光業に使うにも辺鄙すぎる。こうするべきだ」と損益で答えを返したが、それは少年が納得できるものではなかった。
経営者、資産家として家や家族をより繁栄させるための手を尽くす姿も、少年の視点では大人の理不尽な行いで曾祖父との思い出を塗り潰されるようにしか思えない。
だからリロイは抗議を続けたが、結局それが受け入れられることはなかった。
大人の理屈に、子供の身では抗しえなかったのである。
父親は「いずれはお前のものになる。それまでにもっと我が家の利になる土地にするとも」と言って開発を進めた。
ファンタジーのようだった曾祖父の土地は、リロイが住む街と似通った施設のある現実の延長線になってしまった。
曾祖父との思い出がある城も、今では入館料を取る観光施設。
その変化は、リロイの心に父親への反骨心を生んだ。
こんな光景は、自分の好きだった風景ではないと。
まして、そんな変化を施された土地を、いずれはリロイに譲るという。
リロイに自分と同様、先祖の遺した土地を
父親のことは好きだったが、この一件だけは受け入れられなかった。
「俺は父さ……親父の生き方は嫌や」
結局、リロイは父親に反発して、いわゆる不良の道を歩き出した。
威嚇的なファッションをし、バイクを乗り回した。
父親からは「真面目に勉強しろ。その喋り方も止めろ」と説教され、曾祖父譲りのスコットランド訛りも否定され、殴られもしたが……リロイが従うことはなかった。
人に迷惑をかける犯罪はしなかったが、父親にも従わない。
ただ、父親の生き方に迎合することを良しとしなかったリロイも、何もかもはねのけられたわけではない。
反発はしているが、バイクも服も家の金で得たものだ。
家を出る訳でもない。根が真面目だったので、不良を気取っても学校にだって通っている。
結局、反発はしていてもどっちつかずの中途半端でしかない。ファッションもバイクも、それこそ見せかけの反発でしかないと……リロイは自分を情けなく思った。
けれど、それ以上に踏み外すことはできなかった。
そこまでの勇気はなく、無謀にもなれず、何より亡き曾祖父も悲しむように思えたからだ。
「また、曾爺ちゃんの話が聞きたいなぁ……」
故郷から離れた地でのひと夏の思い出だが、彼が郷愁を抱くのはそちらだった。
けれどその望みは叶わない。
曾祖父は既に亡く、思い出の風景は消え去り、あの城はもう観光地でしかない。
幼い頃の幻想さえも、変わる現実に押し流されていく。
御先祖様達や夢の中のような生き方は、今の現実ではできない。
やがては、いまは反発している父の生き方にも迎合して生きていくことになるのだろう。
そのことがリロイには辛かったが、やはり踏ん切りはつかなかった。
◇◆
鬱屈としていたリロイがとあるゲームのPVを見たのは偶然だった。
彼が見た映像の中で、本物と見紛う騎士や竜が躍動していた。
CGとは思えない、ファンタジーの世界が……思い出と夢に似た風景がそこに在った。
『<Infinite Dendrogram>は新世界とあなただけの
彼は、その新世界に惹かれた。
ゲームだとしても、子供の頃の夢に近いものがそこにあるのではないか……と。
現実は今あるがままに、しかしかつての夢の世界に浸れるのではないかと。
そうしてかつての夢の世界を求めて、彼は<Infinite Dendrogram>を始める。
そうして夢の世界を歩む自らのアバターに、大好きだった
◇◆◇
□■<ターミナル・クラウド>周辺空域
「《
空中拠点を巡る攻防の中、宣言と共に竜の更なる変貌が始まった。
戦闘機から竜の形になったが、それだけではない。
ガンドールが五枚のカードをスリットに投じると共に、ワイバーンから光が迸る。
瞬間、
小鳥同然の脆弱さである影鳥は近づいただけで焼け落ちていく。
「眩しいです!」
リーフはワイバーンの光を手で
それは飛んで火にいる夏の鳥……もとい虫も同然だったが、無意味ではない。
エネルギーとは尽きるもの。
今は熱量放出で防いでいるのだとしても、いつかはそのエネルギー源が尽きる。
そして、物量戦ならばリーフとペリュトンに分がある。
相手の手札が何であろうと、数の暴力で蹂躙するのが彼女の戦術だ。
既に完成したビルドであり、変える必要もない
(……
ゆえに、相手の手札を分析するのは彼女と組んだケイデンスの役目である。
皇国勢がケイデンスやリーフの情報を事前に探っていたように、ケイデンスもまた皇国側の戦力……特に空中戦で名が知れた相手の情報は調べていた。
その中には、ガンドールとワイバーンの情報もあった。
ワイバーン。そのモチーフとなった存在は翼と二本の脚を持つ竜に属するモンスターの名として知られるが、歴史上においては紋章学の産物である。
その中で、ワイバーンという架空の生物は『敵を打破する者』の象徴として数多用いられ、多種多様なバリエーションの紋章が描かれた。
ゆえにTYPE:ガーディアン・ギア【竜紋機 ワイバーン】も、進化の度に複数の形態と紋章を獲得していった。
格闘特化形態、《剣の紋章》。
装甲特化形態、《盾の紋章》。
飛行特化形態、《翼の紋章》。
射撃特化形態、《弓の紋章》。
砲撃特化形態、《炎の紋章》。
変形に応じ、ステータスや保有スキルも変化させるタイプの<エンブリオ>。
無論、万能性は欠点を生む。
複数形態を持つがゆえに、一形態ごとの性能は同格のガーディアンやギアに劣る。
それを補うのが、必殺スキルである《
ガンドールの紋章から日に三枚生産され、最大十枚ストック可能な白紙のカード。
これを消費する必殺スキルを使うことで、形こそは同じだが通常よりも性能の高い変形を可能としている。この戦闘で使用した《長弓紋章》、《迅翼紋章》、《聖炎紋章》などだ。
だが、必殺スキルもワイバーンを
ワイバーンを補い、他と同格以上とするのは<マスター>との関係だ。
竜騎兵系統は、自らの乗る従属キャパシティ内ドラゴンを強化する《騎竜強化》のスキルを持つ。
ワイバーンは機械の身体を持つドラゴン。
そして、どの形態をとろうと「ドラゴン」であることは変わらない。
常に《騎竜強化》の対象であり、長所を更に伸ばした能力シフトが可能となっている。
また、【竜騎兵】はファンタジーの竜騎兵と同様に、地球のリアルの竜騎兵……銃火器で武装した騎兵の性質も併せ持ち、《銃器強化》のスキルも有している。
それゆえ本来ならば【竜騎兵】は銃器系統を伸ばすか、強いドラゴンを扱うために従属キャパシティを増やすかでどっちつかずとなり、性能の伸びない中途半端なジョブである。
しかし、<エンブリオ>に従属キャパシティはなく、ワイバーンには銃器までも備わっている。
《騎竜強化》、《銃器強化》。本来は別物である二種の強化は、ドラゴンにして銃器であるワイバーンには重複して効果を発揮される。
【竜征騎兵】に到達してからはスキルレベルEXとなり、ステータスは《騎竜強化》で100%向上し、銃器の射程と威力も《銃器強化》で倍になった。
二重強化は、複数変形能力を持たせながら同格の<エンブリオ>を上回る性能をワイバーンに与えていた。
ジョブと<エンブリオ>。
どちらも中途半端だからこそ、補い合って初めて完全となる。
(ってビルド情報も仕入れてはいたし。常識の範囲な個人戦闘型準<超級>だと思うんだけどー……)
ケイデンスが仕入れた情報の中に、いま見えている光景の情報はない。
(熱量放射は《炎の紋章》や必殺での強化形態のスキルだけど、あくまでもブレス。あんな【グローリア】や【輝竜王】紛いの全身放射ではない筈。熱量も影鳥は焼けてるけど亜竜も殺せない程度。ただの余波?)
予想外の手札だが、ケイデンスは慌ててはいない。
準<超級>以上の猛者ともなれば、公にしない切り札の一つや二つは持っているもの。ケイデンス自身も例外ではない。
ゆえにガンドールの切り札は知らなくとも、知らない手を使われたこと自体は驚くに値しない。
(……何かされても困るかー。あのビルドや能力特性で切り札がカウンター型ってこともないだろうし、先に潰すのが一番かな)
ケイデンスはあえて相手の動きを見過ごす真似はしなかった。
防御を担当するという言を翻すようだが、敵に向けた前言の撤回など気にすることもない。
これは決闘ではなく戦争であり、そも不意打ちなど向こうが先にやったことである。
ケイデンスは風属性魔法の遠隔発動のため、ワイバーンの周囲に魔力を伝わせ……。
――ワイバーンが爆発的な加速を行った。
「!」
自らの魔法の発動を回避した敵に、ケイデンスは『またか』という思いを抱く。
先刻の上空に対して放った《
勘が良いのか、予兆の少ない風属性魔法を察知できるほど目敏いのか、どちらにしてもそれはデータでは見えなかった要素だ。
(やっぱりデータと体感じゃ大違いだよねー。あいつもそこら辺を区別すればいいのにー)
「さぁてっと」
攻撃は回避されたが、ケイデンスはすぐに切り替えた。
彼は<ターミナル・クラウド>の施設の屋根に立ち、熱量を纏って飛翔するワイバーンを見据える。
リーフはなおも影鳥で進路を阻もうとするが、全て接触前に焼け落ちてしまう。
あれではダメなので、ケイデンスは次の手を打つ。
『
『認むる』
自らの<エンブリオ>と念話を交わし、『リーフとペリュトンに接近する彼女達以外のモノ』を対象として半自動化していたお手玉……圧縮嵐球の制御がケイデンスに移る。
このボール大の嵐は炎ならば吹き散らす、近づくならば粉砕する。
彼の操る嵐は攻防一体。ワイバーンがこれまでに見せた攻撃パターンのままならば、確実に捉えて砕く。
「カチ、カチ、カチ……っと」
十三の嵐球の制御をマニュアルで受け持ったとき、まずはペリュトンとの接触を避けるために十三基を放射状に拡散配置。
その上で、
(さっきの戦闘機よりは速い。けれど、最初の戦闘機よりも遅い。熱量と併せて考えると、あの姿は
ワイバーンの現在軌道と性能から未来軌道を予測。
それを仕留めるべく十三基の未来軌道を空間上にイメージして実行させる。
「これで死んでねー」
ケイデンスの意を受けた十三基はまるで別々の生き物のように慣性を無視した動きで飛翔し、燃えるワイバーンを噛み砕かんとする。
ワイバーンはそれを回避しようとするが、まるでそれが分かっていたかのように嵐球が迫る。
(ここから、三手で詰み)
四基の嵐球が左右、前、上から囲う形で迫るが、ワイバーンは急下降で回避。
下がった瞬間に四基の嵐球は圧縮を解除し、空気の圧力をワイバーンの真上から叩きつける。
ワイバーンの飛行体勢が崩れたタイミングで、残り九基の嵐球がワイバーンを襲う。
「ッ……!」
風圧で動きを乱したことは、包囲網を回避する上で致命的なロスだった。
ガンドールはコクピットで機首を起こそうとするが、復帰が間に合わない。
万事、休す。
「させて、たまるか!」
「突っ込め!!」
だが、それを阻んだのは――数騎の<エンブリオ>と<マスター>達。
皇国第二陣の生存者達が、自ら嵐球の軌道に飛び込んだ。
ワイバーンに接触する前に他の物体に触れた嵐球がその威力を解放。
嵐の包囲網に、穴が空いた。
「あんたら……!」
「やってくれ……! ガンドールさん!」
第二陣はリーフとケイデンスという二重の怪物によって蹂躙され、勝ち目も薄かった。
ソレに敵うとすれば、同様に怪物の域……準<超級>の域にあるガンドールだけなのだと、シビアに判断していた。
ゆえに自らの身を賭して、閉じたはずの彼の活路を抉じ開けたのだ。
その思いに、一人と一機も応える。
「……応! やったるわッ!!」
ワイバーンの推力が復活し、開かれた突破口へと加速する。
嵐の包囲網を抜け出した直後、ケイデンスに引かれた軌道を通った嵐球同士が接触し周囲に暴風をまき散らす。
だが、そのときにはワイバーンは大きく高度を上げていた。
(……計算に
予想外だった第二陣の挺身で自らの包囲を突破されても、ケイデンスは冷静なままだ。
俯瞰するようにこの戦場で打つべき手を考えている。
だが、そのタイミングで皇国の更なる奇手が放たれる。
「オーナー!」
「ん? ……おやまぁ」
フォールの呼びかけと、彼の指さす方へと目をやり……ケイデンスは呆れたようにそう呟いた。
そこには、目を疑うような光景が広がっていたからだ。
それは……空中拠点目掛けて
この戦いの最初、第一陣を展開した後は姿が見えなかった皇国の母艦。
それは文字通りの意味。
カロンは戦いの最中に撃沈したのではなく、再び光学迷彩とステルスを起動していたのだ。
ケイデンスも分かってはいたが、確実に来るであろう第二陣に備えて殲滅魔法の準備をしていたためにあえて見逃していたものだ。
カロン単独の戦力はさほどでもなく、まだ戦力を内包していたとしても、数を頼りにした戦力ならば自分とリーフの敵ではない。
(しかしまさか船ごと捨て身で突っ込んでくるとはねー……びっくり)
カロンの後部からは櫂船らしからぬスラスター噴射の輝きが見える。
それも《リーズナブル・オプション》の一つであり、船体を大幅に加速させている。
さらに、艦首にもオプションで巨大な
「あれで結界を破ろうって? 面白い。けどダメー」
姿が見えた時点で、ケイデンスは魔法の遠隔発動を始めていた。
既に<ターミナル・クラウド>に近いため《大嵐》は使えなかったが、手はある。
(あえてこのタイミングで迷彩を解除したのは、ワイバーンへの矛先を自分に向けるため? オッケー。認める)
ケイデンスは『空耳』で呼び掛ける。
相手は……リーフが影鳥を展開した後の戦場では弓を射辛くなっていた七眼だ。
『あの燃えてるワイバーンを撃ってね。あれでも生物だから通るよ』
「……了解!」
カロンは船であり、生物ではないためフォールと七眼の<エンブリオ>は効かない。
が、ワイバーンは「ドラゴン」判定されるほどには生物だ。スタート地点が近いためイカロスの「ジャッジ」はバフにしかならないが、アメノカゴユミの特効は入る。
(ワイバーンは七眼と残ったオートお手玉で対処する。そして君はここで退場ね)
ケイデンスが新たに形成した嵐球が、ワイバーンではなくカロンの船体に食らいつく。
カロンがフルに施した風属性耐性を突破し、衝角を艦首ごと捥ぎ取り、船体に幾つもの大穴を空けていく。
カロンの内部でエネルギーがどのように作用したものか、次々と爆発が発生し、空いた穴から炎と黒煙が噴き出す。
その有り様は廃船同然で、このまま結界にぶつかっても破れず、船体が砕け折れて地上に落下するだろう。
処置を済ませたケイデンスは、無力にして無惨なカロンからワイバーンへと視線を移す。
高度上昇を続けたワイバーンはペリュトンの直上、数千メテルの位置で停止していた。
(あそこから急加速急降下で突っ切ろうって? 流石にそれは無茶が過ぎるかな)
今も湧き出す影鳥はワイバーンへと群がっている。
周囲に発散されている熱量で燃やされているが、それもあとどれほど続くものか。
次第に熱気も弱まり、影鳥達の先頭とワイバーンの距離も近づいている。
七眼もまた、狙いを定めている。
もはや……ガンドールとワイバーンの命運は尽きたのだ。
そうして、ワイバーンの放出していた熱気が……消えた。
◇◆◇
□■夢と現実と中途半端なドラゴンについて
ワイバーンは自らが孵化した瞬間を覚えている。
それは自然豊かなレジェンダリアの森の中、竜の姿をした自分に喜びながらも……少し複雑な顔をした<マスター>の顏だ。
<マスター>が夢見るドラゴンのカタチでありながら、機械でできた自分の身体。
その在りように、夢に焦がれながら現実に迎合する中途半端な
『――Cooo――』
反骨心のある空想家で、しかし根が真面目でよく考えこむ。
そんな中途半端な<マスター>が、ワイバーンは最初から嫌いではなかった。
紛れもなく、自分の<マスター>だと思えたからだ。
<マスター>と<エンブリオ>として歩み出した二人だが、その道程は順風満帆ではなく、苦労もした。
<エンブリオ>としては性能が低く、飛べるからと空に上がれば当時の彼らにとって恐ろしい強さのモンスターに遭遇して初のデスペナルティにもなった。
モンスターなのか乗り物なのか中途半端なのでジョブのビルドも定まらず、戦い方もしっくりこない。
絵物語の竜に乗った騎士のように剣や槍を構えてみても、通常の竜ならばともかくワイバーンはそれに向いた形をしていない。ワイバーンとしてはキャノピーとシートを使ってほしい。
そんな日々を重ねて、一人と一匹は少しずつ自分達の在り方を見つけていく。
ガンドールはドラゴンであるワイバーンを活かすために、【竜騎兵】のジョブに就いた。
ワイバーンは【竜騎兵】であるガンドールを活かすために、進化で銃器の性質を得た。
ガンドールのジョブは他の戦闘系ビルドより少し弱くて、多機能のワイバーンは同格の<エンブリオ>より少し弱くて、けれど一人と一匹が揃えば少しだけ強くなった。
ああでもないこうでもないと、一人と一匹で考えながら旅をした。
紆余曲折で、トラブルだらけ。
思い出の中の御先祖様の物語や夢とはまるで違う。
けれどその旅はきっと……かつての思い出や夢よりも輝いていた。
その日々を経て、今がある。
中途半端な少年と、中途半端なドラゴンが歩み続けた先。
彼らの得たもの。到達した自分達の在り方。
ガンドールとワイバーン。どちらも中途半端だからこそ、補い合って完全になる。
否。
「――《
――
◇◆◇
□■<ターミナル・クラウド>周辺空域
それは《竜王紋章》の宣言から……実時間で三分が経った瞬間だった。
数多の者達が見上げる先で、機械仕掛けの竜が最後の変貌を遂げる。
竜であったはずのカタチが、銃でも戦闘機でもないカタチへと。
あえて言葉にするならば、夢と現実の狭間にある存在。
夢を見て、現実に生きるモノ。
――それはヒトのカタチをしていた。
人の頭部を得て、竜の頭部を胸に。
背には翼を、右手には剣を、左手には盾を。
炎を纏い、光輝を放ち、影鳥の群れを焼滅させる。
機械仕掛けの竜人が天に在る。
「……なるほどぉ」
ケイデンスも理解する。
空に在りながらも発せられる力が、物語る。
今まではまだ、相手の切り札の
各形態の長所を弱く併せ持った、曖昧で中途半端な形態ではない。
溢れるエネルギーが収束されるまでの、蛹のような段階だったのだ。
しかしもはや、その時は過ぎ去った。
方向性は定まり、全ての特性を備えた……全身全霊を発揮する姿と化したのだ。
「ッ! 見てくれが変わろうが……落とせばいい!」
七眼が頭上で輝く機械竜人に向けて、矢を番える。
如何なる存在だろうと、空にあるならば自分の獲物。
その自負と共に七眼は《オーバーテイク・ソニック》と併せ、矢を放つ。
それを機械竜人は避けるでもなく――左手の盾で払い除けた。
「な……んだと……?」
盾は砕けず、腕は捥げず、五体は厳然とそこにある。
頭上の光景に七眼が慄くが単純な話だ。
人型になったから飛行生物でなくなった、などと言う話ではない。
純粋な性能の話。
五〇倍
ワイバーンの切り札の完成と共にガンドールが発動させたスキル、《
これは、【竜征騎兵】の奥義にして最終奥義。
騎竜との関係を問うスキル。
《騎竜強化》と異なるアクティブの強化スキルであり、その力は両者の絆に左右される。
ただ、従属したモンスターに乗っているだけなのか。
あるいは、死ぬも生きるも共にある無二の相棒なのか。
絆の深さがその力を一にも十にも、ゼロにもする。
絆次第で強化値が変動し……絆がなければ共に死ぬ。
ならば、ガンドールとワイバーンは如何か。
問うまでもない。
最大値。騎竜の全ステータスとスキル性能を一八〇秒間、五倍化する。
ガンドールとワイバーン。
両者の切り札が重なり、掛け合い、力を最大以上に発揮する。
纏う炎の輝きも、左手の盾の堅さも引き出された。
ならば、《剛剣竜王》の名を示す剣もまた同じ。
機械竜人が右手の剣を空へと掲げ――その刃が炎を纏う。
「『――――』」
ひたすらに真っすぐに進むことしか考えないリーフも、影鳥の長としてこの空に君臨していたペリュトンも、同時に生物的な本能で戦慄を覚えた。
「…………ふぅん」
ケイデンスもまた理解した。
あれが振り下ろされればリーフはそれでお終いだ、と。
「オーナー!」
フォールが狼狽しながらケイデンスに呼び掛けるが、呼び掛けられるまでもなくケイデンスは対応を始めている。
影鳥が余熱……
七眼の火力が通じないならば、最大火力のケイデンスで殺すしかない。
しかし今、純粋戦闘力で古代伝説級……あるいは神話級の域に到達した機械竜人を倒すならば、ケイデンスでも
魔法職にとって、魔力量とチャージ時間こそが威力に繋がるのだから。
(……あの特典武具、使い時かな。再使用まで長いし、この戦争でもまだ使うタイミングがありそうだけど、このままだとリーフが落ちるからねー)
そうしてケイデンスは《瞬間装着》で腕時計型のアクセサリー、“トーナメント”で手に入れた特典武具を装着して……。
「――《テンペル・タットル》、起動!」
「?」
不意に、メンバーでもガンドールでもない誰かの……決意がこもった声を聞いた。
ケイデンスはスキルの発動準備をしながら、その声の方に視線を向ける。
「……は?」
ケイデンスの表情はこの戦闘が始まる前の一幕のように、電源が落ちたような無表情になった。
けれど彼から漏れた声は、この戦闘で初めての……純粋な驚愕。
なぜなら彼は、見てしまった。
空中拠点の結界を――
『誰がやった?』、という疑問の声がケイデンスの脳内に流れた。
◇◆
<フルメタルウルヴス>所属、
皇国の特別攻撃隊の第一陣を率いた男。
彼もまた、この天空の戦場で生き残っていた。
直上から現れた第二陣に、放たれた【嵐王】の魔法に、【飛将軍】の蹂躙に、【竜征騎兵】の切り札に、カロンの特攻に、……流動する状況や巨大な戦力に周囲の耳目が集まり、自分という存在を
なぜなら、彼がすることは……二度は使えない手だからだ。
使うならば、成功させなければならない。
皇国を護らんとする者の一人として。
<フルメタルウルヴス>の一員として。
そして、この戦いに臨んだ皇国勢の代表の一人として、勝つために。
「――《テンペル・タットル》、起動!」
――両腕を交差させ、自らの両肩を掴み、彼は宣言する。
テンペル・タットル。
獅子座流星群の母天体の名であり、地上に降り注ぐ流星はこの彗星から零れた塵である。
ゆえにテンペル・タットルが過ぎ去った後に獅子座流星群は存在しない。
それは、このスキルでも同じこと。
触れた物体を流星として敵に放つ《
そしてこの《テンペル・タットル》は、ツィクロン自身を
デスペナルティから復帰できる<マスター>だからこそ、<エンブリオ>の進化の過程で生えたとも言える<マスター>を犠牲とした……最大最後の力。
それを放つ瞬間を、それが最大の効果を発揮する瞬間を、ツィクロンは待っていた。
そして彼が飛んだ先は――空中拠点を覆う結界。
自らの命を彗星として彼は結界に激突し、諸共に消滅した。
複数人の防御系魔法職が合力して作った結界だが、第二陣の攻撃を幾度も浴びた上でツィクロンの命を擲った大技を防ぐ強度はなかった。
結界は損壊し、まるでガラスのドームが砕けるように部分崩壊する。
だが、それだけだ。<ターミナル・クラウド>自体が破壊されたわけでもなければ、空中拠点にいた<マスター>が死んだわけでもない。
ただ、穴が空いただけだ。
――そして、その穴へと
カロンという名の、巨大な廃船の如き櫂船が。
◇◆
カロンの船内、一人の女性……ホールハイムが額から血を流しながら微笑んでいた。
「彼が、抉じ開けてくれましたね……」
《リーズナブル・オプション》を使って接近し、加速し、螺旋衝角も展開したが、それはケイデンスによって完全に阻まれた。
あとは結界にぶつかってボロボロの船体が崩壊するのを待つだけだった。
しかし、ガンドールが引きつけ、ツィクロンが破り、彼女の最期の仕事を果たす機会をくれた。
これで心置きなく、自分も最後の一手が使える。
「…………」
ホールハイムは高級貨幣が詰まった袋……五億リルを超える金額を、甲板に投げ落とす。
カロンの甲板はそれを呑み込み、自らのコストへと変換する。
「……自腹ではできない散財ですね」
この作戦にあたり、皇国から預けられた資金はこれで全てだ。
「作戦成功時に余っていたら懐に入れていい」とは言われていたが、そのつもりはなかった。
そも、彼女はお金を貯めることが好きなのではなく、貯めて派手に使うのが好きなのだ。
そうでもなければカロンなどという<エンブリオ>になってはいないし、<叡智の三角>にも入っていない。
何より、自分達のクランオーナーが本気で臨んでいる
「さて、フランクリン。貴女も、今回は望みが叶いますように」
そしてこの後にログインしたとき、また本拠地でいつものように会えますようにと祈りながらホールハイムは……。
「――《
――カロンが空中拠点に墜落する瞬間に、
◇◆
ケイデンスは無表情なまま、噴き出す炎とは別の輝きを放ち始めた櫂船を見上げていた。
周囲ではフォールや七眼、防御担当のメンバーが墜落地点から離れようとしているが……その行為に意味はないだろう。
彼はこんなときでも冷静に、『あ、これうちのクラン詰んだな』と考えていた。
(見落としがあったみたい……)
ケイデンスは、カロンのことならば常に意識に留めていた。
ゆえに突撃にも対応したし、どの程度の労力を割けば無力化できるかも十分に計算していた。
だが、ツィクロンの存在は失念していた。
それゆえに結界を破られ、無力化したはずのカロンまでも息を吹き返した。
そうしてカロンが<ターミナル・クラウド>に墜落する瞬間、ケイデンスはふと思い出した。
――君はとても頭が回るよね。
――でも、それって相手の数が少ないときだけなんだ。
――戦場が大きくなればなるほど見落としが増える。
――視野が広いようで狭いんだよね。狙ってるところ以外が疎かなんだ。
――特に
――いつか、この
それは、いつだったか悪友から言われた言葉のリフレイン。
その記憶に、ケイデンスは「やれやれ」と自嘲の呟きを漏らす。
「やっぱり君ほど上手くはなれそうもないかな。……これで満足?」
そんな言葉と共に、彼は自らの空中拠点とメンバーごと櫂船の大爆発に呑み込まれた。
◇◆
空に浮かぶ仮初の大地が光の中に消えるとき。
高き空でも決着の瞬間が迫っている。
「――行くで、相棒――!!」
『――Wooooooooooo――!!』
人の雄叫びと竜の咆哮を重ねながら、機械竜人は動く。
両手で炎の大剣を振りかぶりながら、乾坤一擲の急降下。
「――《
迎え撃つは、
小鳥ではない。ペリュトンと同じ大きさ、同じサイズの――影の怪鳥。
リーフはシンプルだが、愚かではない。
影鳥の群れでは機械竜人の放熱に耐えられず、エネルギーも削り切れないと理解した。
ゆえに、よりシンプルな……原初のスキルに切り換える。
即ち、パーティの空き枠分だけ影鳥を分散展開する必殺スキルではなく……ペリュトンと同じ性能の影鳥を召喚する第一スキル。
『――――』
言葉持たぬ影の怪鳥が、機械竜人へと飛ぶ。
放射される熱量に全身を焼かれるが、それだけで息絶えるほどに脆弱ではない。
何より、接触と共に固定ダメージを送り込んで爆散する仮初の身体。
炎で焼かれて命が削れても、剣で切り払われても構わない。
剣に触れた瞬間に《バード・ストライク》を起動し、敵の攻撃を潰してみせる。
影の怪鳥は自らの損耗を厭わないまま、機械竜人に接近する。
そうして彼我の距離は詰まり、肉薄。
そのタイミングで機械竜人の胸部――ワイバーンの頭部が顎を開く。
顎から伸びたのは、《弓の紋章》で用いる銃器。
《竜王紋章》が全ての性質を併せ持つゆえに、残るモノ。
銃口から放たれた弾丸は加速した自らの機体よりも速く、直下の目標を貫いた。
影の怪鳥は穿たれた巨大な弾痕から、真っ二つに裂けて消滅していく。
再生成して飛ばす時間は既になく、その間に機械竜人がペリュトンを断つだろう。
「――
――しかし怪鳥が消えた瞬間、その陰から第二の怪鳥が機械竜人に迫る。
それは漆黒の影ではない。
鹿の体毛や鳥の羽毛……生命体の色を持ったペリュトンの本体。
そう。同じサイズの影の怪鳥をブラインドとして自らを隠しながら、オートガードの嵐球を従えて、ペリュトンとリーフも機械竜人に迫っていた。
「ッ!」
影鳥を送り込むだけの戦術では、性能差と相性差でリーフの敗北はほぼ確定していた。
しかし待つことが確実な敗北ならば、リーフとて勝利か引き分けの目がある手を打つ。
ペリュトン本体を、機械竜人にぶつけるという手を。
最終奥義の条件は『従属キャパシティ・パーティ内の怪鳥』。
無論、ペリュトンもこの条件の範疇。最終奥義の弾頭たりえる。
「最後の勝負ですよ!」
【飛将軍】リーフは惜しまない。
必要があれば、ペリュトンとて惜しまない。
自分が近づいて全身を焼かれることも、ペリュトンを失って落ちることも、構わない。
――そしてペリュトンもまたそれを良しとする。
これもまた、<マスター>と<エンブリオ>のカタチの一つ。
命を賭すことを厭わぬ相棒同士。
そして彼我の距離がゼロとなり、両者は交錯した。
あとは、何が最も速かったかの勝負。
一瞬の勝敗、その行方は……。
炎の剣が――折れた。
嵐球の直撃を受けて、機械竜人の全身の装甲が砕け散る。
キャノピーが爆散し、ガンドールが全身に傷を負う。
機械竜人が全身から放出していた熱量も、止む。
そして、
「――俺らの、勝ちや」
――鹿角の怪鳥が両断された。
炎の剣が折れる前に果たした役目の結果が、一拍遅れて表れる。
影鳥の長は真っ二つになって、陽光の中で光の塵になる。
熱量でカタチを失った<マスター>もまた、灰になって風に流れる。
そうして影鳥の長達は……共にこの空へと消えていった。
To be continued
( ꒪|勅|꒪)<……このエピソードってどっち主役?
(=ↀωↀ=)<さぁ……
(=ↀωↀ=)<あ、戻ってきた17巻原稿の最終チェックとSS締め切りあるので次回お休みです
〇ガンドール
(=ↀωↀ=)<リアルはロンドン在住の十七歳
( ꒪|勅|꒪)<作中キャラにロンドン市民多いナ……
(=ↀωↀ=)<幼少期に曾祖父の住むスコットランドに遊びに行ってから、喋り方がうつってスコットランド訛りになりました
( ꒪|勅|꒪)<……スコットランド訛りって日本語変換すると関西弁なのカ?
(=ↀωↀ=)<さぁ……
〇【竜紋機 ワイバーン】
(=ↀωↀ=)<各形態は通常版とカード一枚使用の必殺スキルでの強化版がある
(=ↀωↀ=)<見た目の変化は少ないけど性能は向上している
(=ↀωↀ=)<で、五枚使用の《竜王紋章》もその流れだけど
(=ↀωↀ=)<三分の準備時間を要した後
(=ↀωↀ=)<選んだ紋章に他の紋章の特性を乗せた上で最大値を跳ね上げる
(=ↀωↀ=)<第六形態への進化で増えたモード
(=ↀωↀ=)<今回は《剛剣竜王》だけど《聖炎竜王》とか《迅翼竜王》もある
( ꒪|勅|꒪)<ていうか人型になってるじゃねえカ
(=ↀωↀ=)<モチーフは全体的にタカ〇トミーさんの玩具
〇中途半端 × 中途半端 > 完全
(=ↀωↀ=)<《竜王紋章》+《我が竜を見よ》+通常のドラゴンバフ+通常の銃器バフ
(=ↀωↀ=)<結果として性能が爆上がりした上に
(=ↀωↀ=)<特性が全部乗せなので『剣(炎)なのに銃器扱い』で射程と威力も伸びてる
(=ↀωↀ=)<概念の掛け算
(=ↀωↀ=)<あと『盾の防御』と『炎の継続ダメージ(強)』と『翼の飛翔』と『弓の胸部砲』がある
(=ↀωↀ=)<ちなみに今回、準備段階で漏れた熱気(継続ダメージ微弱)が影鳥へのバリアみたいになってたけど
(=ↀωↀ=)<あれは影鳥(小鳥)が脆弱過ぎたがゆえの特効
(=ↀωↀ=)<普通はそこまで重要なダメージソースにならないです
(=ↀωↀ=)<準備中は三分間耐え抜く雌伏タイム
〇《剛剣竜王》
(=ↀωↀ=)<機械竜人ロイヤルブレード
(=ↀωↀ=)<ヒト型だったのは《剣の紋章》だと元々そういう形状だから
(=ↀωↀ=)<バックボーン的には騎士への憧れのストレートな具現
(=ↀωↀ=)<ちなみに他の形態だとロイヤル〇〇でやっぱり基本形状変わる
( ꒪|勅|꒪)<つまり
(=ↀωↀ=)<基本形態+五種の変形+五種の強化変形+五種の竜王変形
(=ↀωↀ=)<十六段変形!
( ꒪|勅|꒪)<加減しロ
(=ↀωↀ=)(まぁ5×3はエフェクトや細部違うだけなので形態としては6とも言う)