海外において、頻度としてはごく稀ですが、新型コロナワクチンの接種後に起こった症状として、心筋炎・心膜炎の事例が報告されています。特に、1回目よりも2回目のmRNAワクチン接種後に、高齢者よりも思春期や若年成人に、女性よりも男性に、より多くの事例が報告されています。国内でも、件数は稀ではあるものの、副反応を疑う事例として同様の報告がみられています。
ワクチン接種後に、心筋炎・心膜炎を疑う事例が国内外で報告されていることについて、新型コロナウイルス感染症の発生状況も踏まえ、心筋炎・心膜炎の専門家は以下のような見解を示しています。
・コロナ禍においては、心不全・不整脈・冠動脈疾患などの心血管病の診断と管理が重要であり、若年者であっても胸部の症状(胸の痛みや違和感、息切れなど)があれば、精査や治療の継続が必要です。
・ワクチン接種後に心筋炎や心不全が疑われた報告の頻度やその重症度、突然死の報告頻度よりも、COVID-19感染後のそれらの発症頻度は高く、重症です。
・医学的見地から、心血管合併症の発症、重症化の予防及び死亡率の減少を図るためにも、ワクチン接種は有効であると考えます。
・コロナ禍においても、ワクチン接種歴の有無に関わらず、突然死のリスクである心血管病を早期発見するために、胸部の症状の出現など心血管疾患が疑われる時には、速やかに近くのかかりつけ医などに相談し、必要に応じて精査や治療をすることが重要です。
心筋炎や心膜炎の典型的な症状としては、ワクチン接種後4日程度の間に、胸の痛みや息切れが出ることが想定されます。特に若年の男性の方は、こうした症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診することをお勧めします。
なお、日本で接種が進められているmRNAワクチンについて、接種後に副反応を疑う事例として報告された心筋炎や心膜炎の状況を解析した結果、接種された人の属性がワクチンの種類ごとに異なることに留意が必要であるものの、ファイザー社のワクチンでは20代男性の報告頻度が他の年代に比べて高く、武田/モデルナ社のワクチンでは10代及び20代男性の報告頻度が高いという傾向が確認されています。厚生労働省の審議会では、このような解析結果について議論を進めつつも、「国内外の報告によると、若年者において、COVID-19感染症により心筋炎を合併する確率はワクチン接種後に心筋炎を発症する確率と比較して高いこと等も踏まえ、現時点においては、接種によるベネフィットがリスクを上回っており、若年男性も含め、全体として、ワクチン接種体制に直ちに影響を与える程の重大な懸念は認められない」旨の評価がなされています。
国内外では、医療機関から副反応を疑う事例が幅広く収集されており、これまでワクチンと因果関係があると考えられていなかった症状も含めて、幅広く評価が行われた結果、このような知見が得られてきました。引き続き、国内外の最新の情報を注意深く収集し、皆様にお知らせしてまいります。
(参考資料)
一般社団法人日本循環器学会提出資料(第62回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第11回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会)
心筋炎関連事象の報告頻度(第69回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第18回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会資料より抜粋)
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