シャベルのブロマガ

ファンタジーな世界は「逃げ」なのか? ~鷺沢文香生誕祭動画を創るにあたっての私的解釈~

2016/10/27 20:29 投稿

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はじめに






今日は鷺沢文香さんのお誕生日ですね、おめでとうございます。今日は久々にありす以外のアイドルのお話を真面目にしてみようと思います。せっかく生誕祭動画を投稿したので今回はそれに基づいた形で書いていきます、よろしくお願いします。動画についての話とかずっとしてみたかったんですよね。





創るきっかけ



http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7319797



この橘ありす小説なんですけどね、なんと僕のフォロワーさんが僕の誕生日をお祝いするためにわざわざ執筆してくれたものなんですよ(数週間遅刻ではありましたが)。これ、まず単純に現存するありすの小説の中で一番なんじゃないかってくらいクオリティが高くて、しかも僕の事を事細かに観察して書いてくれたらしくて、個人的には何重にも楽しめました。ありすが好きな方は絶対読んだ方がいいです。


で、なんですよ。こんなものを私信として送られて来たらお返ししたくなるじゃないですか。その方はありすも好きだけど一番好きなのは鷺沢文香さんなので、それならもう文香の創作物を僕が創るしかないなってなった訳です。文香も結構好きだったし、ありすとも絡みが濃いとはいえ、結構突然の出来事でした。今日から数週間前の話です。




自らの鷺沢文香へのスタンス







という事で、自分が文香に関してどんな立ち位置なのかを考えたのですが



・性的に好き(R-18スケベブックにめっちゃお世話になった)
・見た目が好き
・カードの絵柄は大体把握している
・どんな子かは大雑把にしか知らない
・ありすと最近めっちゃ絡んでいる



とまぁ、概ね「女として好き」という感情が強かった訳です。テキストも大雑把にしか見てないせいもあるけど、そこまで「アイドルである事」に対して強い思い入れがあるようにも感じられていませんでした。「自分を導いてくれたPがいる世界で自分が変わっていけることが楽しい」って感情が一番強いのかな~って色んな所で彼女に触れる度に思っていて、そういうのも自分の立ち位置に影響していた気がします。


過去のブロマガを見てもらえば分かると思いますが、僕は橘ありすに関して異常とも言える思い入れと葛藤の末に「創らざるを得ない」となって動画を製作し始めた人間なので、正直このようなスタンスで文香の動画を創れるのかと悩んでいたし、小説書いてくれた人の誕生日(半年後)にでも軽くショートムービーでも作ればいいかなと思ったりとか、そもそもそんな時間あったらありすのために費やしたいとか、実を言うと直前まではあんまり創る気はありませんでした。細かく言うと21日まではTwitterにノリで公開した15秒の宣伝部分以外は全くできていませんでしたからね。いやもう時間もないし無理だろと。正直諦めてた訳です。


でも、そんな時に思い出したんですね。自らが文香に対して強烈な思い入れを持つものがあるじゃないかと。




「ファンタジーな世界に逃げてるだけじゃ」





以前Twitterで、文香のソロ曲の「Bright Blue」にある「ファンタジーな世界に逃げてるだけじゃ 本当の私を探せないまま」という歌詞から派生して、シンデレラマスターのソロ曲のスタンスについて物議を醸したのを見かけたことがありました。想い入れが強いかどうかはさておきとして、女の子としての鷺沢文香はとても好きで、最近はありすともめっちゃ絡むし、僕の中でもかなり上位に来るくらいに好きな子な訳ですから、当然僕も色々考えました。そこでは賛否両論あった訳ですが、僕にはこの歌詞、そんなにネガティブなものには思えていなかったので、メタ的な視点での批判を読んで「こんな見方をする人もいるんだな」と不思議に感じたりもしていました。


そもそも僕はこの曲がとても好きで、曲調だけで言えばありすのin factよりよっぽど好みですし日常的にかなり聞いていました。そりゃそんだけ聞いていれば色々この曲についても考えますよ。


そういう経緯もあって、動画の方針を「Bright Blueへの自分なりの解答を出す」という方向で固めました。22日の事です。文香というアイドル全てへの解釈を深める時間はなくとも、自らの傍にあったこの曲にならあるいは、と思い、動画を創ろうと思いきりました。





ファンタジーな世界は「逃げ」なのか?







これは僕個人の見方ですが、シンデレラマスターは「アイドルの最初の一歩」をデビュー曲として示しているのではないかなと思っています。Bright Blueの場合「書の世界に引きこもってこのままずっと生きていくと思っていた文香が、ある日プロデューサーからアイドルにスカウトされ、勇気を持って踏み出してみた結果、まるで止まった時間が動き出すかのように世界が色づき始めた」という鷺沢文香の最初の一歩を彼女の視点から描いたものなのかなと、ずっと感じていました。


少々横道に逸れるのですが、僕は文学少女の物語一般で見られる「書を捨てて街に出よ」的なワードがあんまり好きではないんですね。いや、街に出るとか、本だけに閉じこもらずに自分の道を歩む的なメッセージは良いと思うんです。でも、本を捨てるなよと。これまで積み重ねてきた時間や知識をないがしろに扱いたくはないなって、昔からずっと思ってました。むしろ「書を持って街に出よ」でいいじゃんって、考えてたんですね。


という事で、文字列だけを見ると、Bright Blueの「ファンタジーな世界に逃げてるだけじゃ 本当の私を探せないまま」とか、それに準ずる歌詞もそれと同じな訳です。正直、これが文香の完成形なのだとすれば、僕はこの曲をあまり好きにはなれていなかったと思います。


でも、先程も書いたように、僕の中でのシンデレラマスターは「最初の一歩」です。Bright Blueは鷺沢文香にとってのゴールではない訳です。だとすれば「空想の世界に逃げていた」と自らが変わっていく楽しみを覚えたばかりの文香が感じているというのはそこまで違和感なく受け止められると考えました。だって、そこから更に成長すればいい訳ですから。


そのような方向で思考を突き詰めた結果、動画で示したいイメージが固まりました。「空想の世界で培う抽象性と現実の世界で体感する具体性の往復が出来る」という事こそが、アイドル鷺沢文香の最大の強みであり、シンデレラガールズにおける唯一性なのではないかと僕は考えた訳です。





鷺沢文香の物語の本質は?






僕の創る動画は「ストーリー系PV」といわれる類のものです。そりゃ、これまでアイドルの成長の道筋をブロマガで何度も示してきてるんですから、当然ですよね。という訳で今回の動画に関してもその方向は保ったままで構想を練りました。


僕が描く鷺沢文香の物語に必要な条件として、Bright Blueへのアンサー(この曲で描かれる物語へのリスペクトと進歩)があるというのは先程記しましたが、もう一つ意識したのは「本に囚われすぎない」というものです。本はあくまで文香の接する一番身近なツールでしかなく、大事なのはそこで体感できる空想の世界や得られる知識だろうと考えていたし、あまりにもこだわりすぎてテンプレートな文学少女のお話にしたくは無かったというのもあります。僕が描きたいのは文学少女の物語ではなく「鷺沢文香」の物語なので。ですので、本に着目するよりも、「空想の世界に閉じこもっていたが勇気を持って踏み出した」・「踏み出した結果世界が色づいて見えた(「見慣れた空 今日はいつもよりBright Blue」という歌詞を「空は変わらないのに自分が変わった結果より鮮やかに感じられた」)「書に触れていた時間は『逃げ』ではなく鷺沢文香がアイドルとして成長するための武器である」点を重要視しようと方針を固めました。


そのような経緯があって、動画におけるメタファーとして鳥を採用する事にしました。アイドルという大きな空を、書と共に重ねてきた時間を翼として、自由に飛び回る。そういう文香を描こうと思った訳です。



という訳で、文香への知識がほとんど無いなりに彼女への想いと解釈を固め、動画の方針を決めました。残りは作品を観てもらえれば十分なのですが、最後に作中における描写とかに触れてその詳細を少し記して、この記事を締めたいと思います。






動画におけるあれこれ


・曲:changes/Base Ball Bear

多くは語らずとも、この曲があまりにも鷺沢文香の物語及びPとの関係性を示しているのは伝わるかと思います。今回は、作成にかけられる期間が短く労力を減らすために、文香のテキスト文脈に完璧な合致が見られる部分のみを抽出し、イントロ→一番Aメロ前半→2番Aメロ後半→1番Bメロ→2番サビ以降という形で曲を編集しました。これをすると偶然3:41になったんですよね。これはもう346に合わせたくなるじゃないですか。という事で〆のボイスは演出でも何でもなく尺合わせです。投稿一時間前くらいに無理やりつけました。




・彩度の変化








動画の序盤と終盤の同じMVのシーンを切り出しました。だいぶ彩度が違うのが分かるかと思います。これは、「見慣れた景色が自分の変化によって色づいて見える」というのを作品全体を通して表現しようと思って採用しました。changesの歌詞にもある「いつもより少しいい目覚めだった」にもかかっていますね。あと序盤が暗いのは、未来の自分がぼんやりとしか見えない(=まだそれを空想として捉えている)みたいな意味も込めていたりします。




・文香への手紙




このブロマガに書いてあることを端的に記しました。僕の文香への想いを作中のプロデューサーに代弁してもらった訳ですね。ちなみに、僕は鷺沢文香のプロデューサーではないので、クレジットをeditという形で記しています。




・振付を歌詞とシンクロさせる




「人差し指で指し示すのは未来」






「1分の1の自分でぶつかりたい」


特に意識したのはこの二つですが、残りも出来る限り違和感なくシンクロ出来るように頑張ったつもりです。動画を創り始めてまだ三ヶ月も経ってないのでここら辺を含めて技術面はまだまだ未熟ですね。



・Bright Blue




このカットが本動画の本質です。英語がガバガバなのはGoogle翻訳を責めてください。



・サムネイル




フォロワーの神絵師(@lets_go_dustbox)が2日で仕上げてくれました。僕が示したかった物語をそのままに出力した最強のイラストだと思います。動画は大したことなくてもサムネが神なのは僕の動画でありがちな現象です。もっと実力をつけてこういったイラストの魅力をもっともっと引き出せる演出を身に付けたいですね。



と、書きたいことはまだまだありますが、これ以上はニコマスPとしての話がメインになっちゃいそうなのでここで止めます。続きは新人合作に参加した話をするときに詳しくやります。




おわりに




こう、いつものブロマガみたいに文香の解釈をテキストを引用しながらやっても良かったのですが、正直動画を創った今でも彼女について全然知らないし、そんなのは正直文香Pの方々に申し訳ないという想いしかないので、今回はこんな形でやってみました。でも、自分なりの鷺沢文香への誠意は詰め込んだつもりなので、動画も含めて緩やかに見てもらえると幸いです。


僕は正直、橘ありす以外の動画を創るつもりはありませんでした。ですが、正直ありすに対する解釈が最近凝り固まってしまっていて悩んでいたりもしています。そんな中で文香の誕生日を動画を持ってお祝いするに辺り、技術的にも進歩したし、アイドルへの目線の向け方もまた学べたし、ありす誕以降久々に前に進んだかなという気がしています。


それに、こんな拙い技術と半端な想い入れでも誠意を持ってやったら、誰かが受け取ってくれて、受け手が「感動した」と言ってくれているのは本当に嬉しいことで、自己満足の好意なのにちょっと背伸び出来た気がしてとてもありがたいことです。時間が中々ないので、やれることは限られていますが、一旦は他のアイドルたちに向き合ってみるのもいいかもしれないなと思った次第です。最終的に、そこでも学びを自分のシンデレラガールに還元出来ればいいとも思うので。いい経験をさせて貰いました、このような機会をくれた鷺沢文香というアイドルに感謝を示して、本記事を終わりたいと思います。改めて、誕生日おめでとう。これが、僕なりのお祝いです。

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