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あいくるしい歌詞考察 ~永遠と運命~

2016/11/18 02:33 投稿

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プロデューサー、プロデュンヌの皆さん
こんにちは、こんばんは


デレステでのあいくるしいイベントお疲れ様でした。
私は4thLIVEで牧野由依さんと立花理香さんのオリジナルメンバーで歌われたあいくるしいのあまりの強さに身の危険を感じ、飛び退いたらデレステに距離を詰められてダウンした形になります。
デレステのイベントコミュではどらまの主題歌として5人のアイドルにそれぞれ役割が割り振られていましたが、今回は佐久間まゆと小早川紗枝が歌った「あいくるしい」について考察したいと思います。

※考察と銘打っておりますが実情は妄言の垂れ流しであり、また形式上言いきりの形を取りますが語尾に(解釈が間違ってたらごめんなさい許してくれ)が付随しますのでどうぞよろしくお願いします。
※デレラジスターで立花理香さんは歌詞は解釈を自由に感じてあいくるしいの深みにハマってほしいと仰られていたので、その言葉を希望に進みます。



歌詞タイム あいくるしい



「あいくるしい」は、「私」が恋慕を寄せている「あなた」との「いつも通り」を願う悲恋の歌であることが歌詞からすぐに見て取ることが出来ます。
なので、どういった感情や状況が如何にして描かれたり強調されているのか、ということを考察していきます。

※以下より歌詞中の登場人物は「」で表現します。「私」は歌詞の主人公の女性、私は筆者です。


歌詞の大意、単語が対象とするもの、時系列と状況、対比と強調、抽象性、音楽面について、くらいの方向性で説明していきます。





「あいくるしい」は「あなた」と「あなたの想い人」との結婚式に出席している「私」の心中を歌った曲です。

Twitterでこちらの説で考察されていた方が居られまして、私もこちらの視点で向き合ったところ非常に捗ったと共に説明できるようになった部分が増えたので、こうしてまとめさせてもらっています。本当にありがとうございます。


好きな人である「あなた」が結婚するにあたり「私」が恋慕の感情をどうやって昇華させるのかという部分がこの曲の土台となっています。


結婚式を舞台とすると意味が通りやすくなる箇所が増えます。
・『こんなに自分が優しくなれるとは思わなかった』…「あなた」の結婚を前にして、これまで恋い焦がれてきた自分が素直に祝福できるようになれるとは思わなかった。
・『あったかい夢の前で何も言えはしないけど』…あったかい夢とはつまり「あなた」の結婚式その場所であり、そこで自分の感情を表に出すことなど当然出来ません。
・『永遠を確かめるように背中を見つめてみた』…「あなた」と「あなたの想い人」との永遠であり、チャペル式で「私」は椅子に座っているため新郎新婦の背中を見つめる形になります。
・『いつも通りに』…おそらく「私」はさりげないアプローチなどはかけていたかもしれませんが、本格的に気持ちを伝えることはしていなかったのではないかと思います。なので「あなた」は向けられている感情を知りませんし、ここで「私」が秘めることを選べば『願い』である『いつも通り』は果たされます。割り切れないが為の諦観的祝福の境地でしょうか。

・『急になんか正解の風に流されたような私の願いなんて単純なものだよ』
この部分の歌詞は突然雰囲気が変わり、語彙力が失われたなんて揶揄されていますが、私はあながち的外れとは思っていません。なぜなら歌詞の全編にわたって泥臭いまでに実体験として感情が描かれてきた中で、ここだけに「私」のフィーリングが使われているからです。
「私」が持つ『願い』は『いつも通り』であることは歌詞に書かれていますが、「私」の「気持ち」は「あなた」のことが好きだというものであり、それは歌詞の上でも秘めてあります。
『正解の風に流される』までの「私」はきっと『いつも通りに』なんて苦しくてそんな風には居られないと思っていたのではないでしょうか。結婚式の場で新郎新婦を目の前にしてようやく「私」は「気持ち」を秘めること、諦観とこれからの『いつも通りに』あることを受け入れられたんだと思います。





―――時系列と状況について―――


あいくるしいは歌詞の上で回想として描かれる部分が多いので、いつの「私」がどの時間を思い描いているかがわりと複雑になっています。

・「あなた」と出会う前の「私」―『草かき分け歩き続けた…』
・「あなた」と出会って恋に落ちた「私」―『だけどあの日あなたと出会い…』

1番で歌われているこの部分はBメロの『あったかい夢の前で』とあるように結婚式で座っている「私」の出会う前、出会った時の過去の回想になります。


・「あなた」と過ごした日々―『去りとて月日』
・「あなた」がくれた居場所との行き来―『今日で何度同じ帰り道歩いたかな』

2番では1番で歌った出会いとは対照的に『平気と』、『夢の中で何度抱きしめただろう』、『運命は素敵なようで悲しく思えました』というように「あなた」には届かないということが強調して描かれています。
これは「あなた」から「あなたの想い人」との結婚を打ち明けられたからです。ですから時系列としては、打ち明けられてから結婚式までの間の「私」が、「あなた」に恋していた日々を回想している形になります。
どうして結婚式の前までの「私」なのかというと、2番の歌詞は『正解の風に流されて』いたなら出てこないものだからです。ここでは諦観と恋慕の感情が同居していて昇華されてはいません。なのでこの2つの念が燻ったまま「私」は結婚式へと参加することになるのです。


・「あなた」から結婚を打ち明けられ祝福の言葉を贈る「私」―『特別じゃないけれど当たり前の幸せ選んでみたんだ』
Dメロでは結婚を打ち明けられた場面が描かれています。なのでここの時系列は2番よりも前の出来事ということになります。
『当たり前の幸せ』とは『いつも通り』のことですが、この瞬間の「私」はその『願い』に心から納得できてはいません。愛しくて苦しくて泣いて喚いてしまうことも不可能ではありませんでしたが『あなたが笑うから』笑います。





―――対比と強調について―――


歌詞の中にキーワードとして対比できる単語や文脈がいくつか出てきますのでそちらの解説をさせてもらいます。

・『あったかい夢の前で 何も言えはしないけど』
・『眠り夢のなかで 何度抱きしめただろう』
1番と2番のBメロでの単純対比です。夢という単語は夢のような空間と眠り見る夢、何もと何度で0と1、そして行動することができたかできないかの対比になっています。
また、1番と2番で夢という単語の性質が違いますが1番では「私」と「あなた」の関係性についてが書かれてあり、2番では「私」の内面の感情についてが主要に書かれています。


・『草かき分け歩き続けたこの道が全てだったから』
・『今日で何度同じ帰り道歩いたかな』
道と歩くことでこれらのフレーズは対比されています。
あいくるしいでは多くの歌詞に二重に意味を取ることが出来るような構造になっているように感じます。
ここでは「道」と「歩くこと」から、「私」の人生、歩くという行動、恋の展望といったものの比喩であることが考えられます。
『草かき分け歩き続けたこの道が全てだったから』という歌詞からは、人に頼ることなく生きてきた「私」の人生と、「あなた」と出会い恋に落ち奥手な片想いをし続けた「私」というように2つの意味に解釈できます。
『今日で何度同じ帰り道歩いたかな』からは、人に頼れなかった「私」に居場所をくれてその場所を「あなた」と行き来したという意味と、歩くことを恋の展望とするなら「あなた」から結婚を打ち明けられた後で「私」は片想いが決して成就しないことを何度も何度も考えて思い知ったということになります。


・『去りとて月日が未来の道しるべと信じてからは』
・『思い出だけでも幸せになれる気がしたから平気と』
こちらは似ているフレーズを2回並列に並べて強調してあります。
去りとて月日=思い出、未来の道しるべ=幸せになれる、信じて=平気というように内容としては同じことを2回表現しています。
ここでは『未来の道しるべ”と”』と『平気”と”』の”と”が同じ接続の意味を持つので『思い出だけでも幸せになれ気がしたから平気』が未来の道しるべの部分に代入できる形になっています。


・『私の願いなんて単純なものだよ』
・『あなたの気持ちなんてわかってるつもりだよ』
両方共「私」が秘めている想いのことが書かれています。”なんて”という文脈を使っていることから「私」は諦観からか伝え合わずに秘めてある想いや感情についてを第1のものとして扱ってはいないことがわかります。


また、対比と言えるかは微妙なラインなのですが、『急になんか正解の風に流されたような私の願いなんて単純なものだよ』と道を歩いている「私」の関係性をゲーム内ジャケットが持つ情報から読み取れます。



あいくるしいがプレイ楽曲としてデレステに実装されたことでゲーム内ジャケットが公開されました。このジャケットに描かれているものは光が差し込み風が吹き抜ける窓、空の鳥籠、白のクロスが敷かれたテーブルの上と鳥籠の中に置かれた白バラ、そして白を基調とした中で羽ペンによって書かれた濃い紫色のタイトルです。
鳥籠は「私」の心であり白バラは祝福の念、風になびくカーテンは『正解の風』そのものでしょう。おそらく鳥籠の中にいた執着とも言える恋慕の感情が紫色の鳥であり、羽ペンはその鳥の羽根だと思われます。
白バラはウェディングカラーで花言葉に心からの尊敬、純潔、恋の吐息、約束を守るなどがあります。
「私」は道を歩いてきてこれからも信じた道しるべをたよりに歩いていくことと、執着のイメージとしての鳥が『正解の風に流されて』飛び去っていったことが並べられることで強調されています。





―――抽象性について―――


あいくるしいの歌詞に書かれていることは、そのほとんどが「私」の実体験に基いているので秘めてあるもの以外はかなり具体的な表現がされています。
そこで異質となってくるのが抽象性の高い単語の『永遠』と『運命』です。
この『永遠』と『運命』は誰のどんなものなのかを考えると何故ここに抽象性の高い単語が使われているのかが推察できます。
結婚式に参加し椅子に座りながら新郎新婦の背中を見つめる「私」が思い描く『永遠』とは、「あなた」と「想い人」との永遠のことであり、そこに「私」の介在はありません。
もしかしたら『いつも通りに』居続ける永遠の意味も含んでいるかもしれませんがメインとしては先述のものであると思います。
そして『運命』は「あなた」と「想い人」が結ばれる運命であり、それは「私」と「あなた」が結ばれない運命です。この運命については『悲しく思えました』と表現しているので割合としては半々くらいかなと思います。
サビで描かれているこれらの単語には、前置きとして『あいくるしい人に会えたから』という歌詞があります。
これは~~だからという理由付けの表現というよりは、枕詞として「あなた」に会えたこととそれによって生じた恋慕、執着、苦悩、諦観、祝福といった「私」の軌跡が辿った感情を呼び出すためのフレーズになっていると考えられます。
サビの入りから曲全体を表すようなスケールの大きいフレーズと抽象性の高い単語をつなぐことも演出効果として使われいる気がします。
異質だった抽象性の高い『永遠』と『運命』は「私」が主体的に関係を持てないからこその表現であり近くて遠いというテーマをよく表しています。





―――音楽面について―――


私は音楽理論や耳コピといった知識や技能を持っていないので音楽面の話については完全にフィーリングになりますのでご了承ください。

あいくるしいの作詞作曲はシンガーソングライターの田村歩美さん(たむらぱん)です。
ここで把握しておきたいのが作詞作曲を同じ方が担当されたということは歌詞と音楽にリンクさせた意味を持たせやすいということです。
私が初めてこの曲を聞いたのが4thLIVEの時であり、歌を聞いている時は牧野由依の歌唱力すごい・・・ユニゾン綺麗・・・といった感想でした。歌詞を知らなかったこともあり意味が通るまで聞き取れてはいなかったのですがアウトロのエレキギターのリフとtultutu...で鳥肌が立ちました。
アウトロのエレキギターは強烈に印象に残り、コード進行はカノンコードみたいに聞こえると思ったのが始まりです。
※カノンコードとはクラシック曲のパッヘルベルのカノンに出てくるコード進行のことで、耳に心地いいため多くの曲に使われている王道的なものです。よかったら調べてみてください。






最初に思ったのは結婚式に参加しているという発想と結婚式ではパッヘルベルのカノンがよく流れることのつながりでした。そう思ってからアウトロのエレキギターを聞いてみると上記の動画での1:51秒前後のメロディーと似ていることに気が付きました。
引用した田村歩美さんのツイートに「各あの音もいい感じ」という文章がありますが、こちらの1つはまず小早川紗枝をイメージして入れられたであろう琴の音だと思われます。また、琴は祝いの席の表現としても結婚式に合いますのでまず間違いないでしょう。
カノンを聞いてからBメロでの琴の音色を聞くとこれもカノンの中の似たようなメロディーに聞こえてきました。
これらの感想からあいくるしいの伴奏は、「私」が結婚式に参加して聞こえているパッヘルベルのカノンを、佐久間まゆと小早川紗枝という語り部を通して表現した音楽なのではないかと思い至りました。
そう考えるとイントロの8分音符を2分音符に引き延ばすとカノンみたいに聞こえる等々いろいろと発見がありました。このようなバラードではバイオリン等のストリングスが入っていてもおかしくないのではないかと思いましたが、パッヘルベルのカノンはバイオリン3本とチェロ、コントラバス、チェンバロの編成が元となっているので、語り部を通して表現する際にカノンの色が強く出過ぎてしまう事を避けるために入っていないのかなと考えました。
また、小早川紗枝と琴が対応しているとしたら佐久間まゆと対応する楽器もあるはずなのですが、エレキギターがそうではないかとは思っていますが確信が持てていません。メロディー面を担当する弦楽器というつながりだけでは少し弱い気がしています。
音楽面で時系列の話をしますと、過去であるDメロの『特別じゃないけれど…』に入る手前にエレキギターのバッキングで下がっていくフレーズとDメロの終わりに『あなたが笑うから笑う』のところでピアノが鍵盤を撫でで上がるフレーズがあって、これは回想への導入と終わりを表現しています。
エレキギターは感情表現の面も持っていて、2番に入ると歌詞で「私」が眠る夢と感情を歌いますがここでエレキギターは音を伸ばしぎみのアルペジオを演奏します。そしてDメロの『選んでみたんだ』、『あなたが笑うから笑う』の場面では、心がかき乱される表現であるかのような演奏をしています。
是非どの楽器がいつどんな音を出しているかも注意深く聞いてみてください。

あいくるしいの転調はけっこう思い切ったことをやっているみたいなのですが、音楽理論の知識がないので私には語ることができません。イントロからAメロの転調に違和感がある方が少なからずいるみたいですが、好意的な解釈をすると燻った恋心の表現や回想への導入という意図があるのかなと。こちらは有識者の方のご意見をお待ちしています。






長々と書き連ねましたが読んでくださってありがとうございました。
この文章は私個人の感想をまとめたものであり、冒頭に書いた立花理香さんの言葉のように歌詞の解釈は自由ですので押し付けるものではありません。
ここでは悲恋と書きましたがあいくるしいでハッピーな百合大いに結構(百合畑並感)


あいくるしいという曲を更に好きになる一助となれたなら幸いです。




ありがとうアイドルマスターシンデレラガールズ




P.S. 卯月×周子のうづしゅーをよろしくお願いします(#今日のうづしゅー)
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