7話:魔獣騒動
「早く、皆さんこっちに逃げてください!!」
穏やかな休日の昼過ぎ、学院中に鳴り響いている警報により部活などで活動している多くの生徒がパニックに陥っている中、エメリア=ヴァンドリックは必死に校舎の外に居る生徒達を校舎の中へと避難させていた。
「私の所為じゃない、私の所為じゃない、私の所為じゃない。」
そんな彼女の直ぐ近くでは、貴族の生まれである女子生徒の一人が膝から崩れ落ち、壊れたレコードのように同じ台詞を呟いている。
一体、彼女達は何をしでかしたのか?生徒達を避難させながらエメリアは今日一日の出来事を思い出す。
休日の学院では午前中は殆どの生徒が街に出かけるか、部活動に精を出すかで誰にも邪魔されずに勉強できると図書館で駆動鎧や魔獣について勉強をしていた。そんな時、自分に絡んでくる貴族の女子生徒の一人が近づいてきて「今すぐ、私についてきなさい」と声を掛けてきたのだ。
本当はついていきたくなかったが、もし断って騒がれでもしたら他の勉強している生徒の迷惑になってしまうので仕方なく付いていく事にした。
連れていかれた場所は様々な部の為の部室等の近くで、ここ最近は良くこの場所で虐めを受けており、今日も何かされるのだろうと身構えていたのだが、案内した貴族の女子生徒以外は現れる気配が全くせず、その女子生徒も集まらない仲間に段々と違和感を感じ始めていた所、警報が鳴り響いて今に至る。
(まさか、魔獣の脱走にこの人達が関係しているの?私に魔獣をけしかけようとしていたと?)
魔獣の脱走を知ると同時に崩れ落ちた女子生徒を見て、エメリアは思わずそう考える。もしそれが本当なら、怒りを通り越して呆れてしまう。いくら平民の生まれである自分が気に入らないからと言っても限度と言う物があるのだ。
魔獣を脱走させるなど馬鹿以外の何者でもない、現に学院内はパニックになっていて笑って許される事態では無くなっている。
「よし、これで生徒の皆さんは避難しました。さあ私達も早く避難しましょう!!」
周りにいる生徒の避難を確認したエメリアが崩れ落ちている女子生徒に手を差し伸べ、自分達も避難しようとする。しかし女子生徒は先程から同じ言葉ばかりを繰り返し、動く気配を見せない。
「ちょっと、死にたいんですか!!ああもう!!!」
全く反応を見せ居ない女子生徒に、流石に苛立ったのかエメリアは強引に手を引き、彼女と一緒に校舎へと避難しようとするが、そんな彼女達の前に学院に生えている木々を蹴散らしながら一匹の魔獣が現れる。
「オルトロス・・・」
二つの頭を持つ犬型の魔物、その鋭い爪と牙は駆動鎧の装甲を構成しているタングステュニュウム合金に傷をつけ、噛み砕くという。とてもではないが人間が素手で相手できる魔獣ではない。
涎を垂らし、「グルルッ」と唸りながらエメリアを睨むオルトロス。きっとこの魔獣は無理矢理首輪を付けられ、狭い檻に入れられたことで人間に対して食料以上の憎しみの感情を抱いているのだろう。
足が震える、今すぐにでも一人で泣きわめきながら逃げ出したいが、生憎自分の後ろには貴族の女子生徒がいる。いくら彼女達の事が好きではないとはいえ流石に見捨てて逃げるのは寝覚めが悪い。エメリアは女子生徒を庇うように一歩前に出る。
「グルルルルルッ!ガウッ!」
そんなエメリアの行動を敵対行動だと思ったのか、オルトロスが二つの口を大きく開けながら突撃してくる。貴族の女子生徒が大きな声で叫び、目の前に広がる死の恐怖にエメリアは目を瞑ってしまう。
だが、彼女達に死が訪れることは無かった、突如電磁音が響きオルトロスが体勢を崩しエメリア達の右側に滑り込むようにして倒れる。
『大丈夫か!』
拡声器から放たれた声のしてきた方向を見ると、藍色の塗装と
「貴方は、教師の方ですか?」
『いや、違う。そんな事よりも早く避難を!コイツは私が引き付ける。』
確かに自分達が居ては邪魔だと判断し、エメリアは避難を開始しようとするが逃げ遅れたもう一人、貴族の女子生徒の方は先程の恐怖で気を失ってしまったらしく、白目を剥いて泡を吹いてしまっている。
このままでは駆動鎧と魔獣の戦闘の巻き添えを喰らってしまうと、エメリアは気絶している女子生徒の腕を自分の肩に掛け、鎧から距離を取っていく。途中、何やら自分の股間の辺りに違和感を感じ、視線を向けると下着と制服のスカートが濡れている。どうやらオルトロスに襲われる直前、恐怖の余り漏らしてしまったようだ。
「不謹慎ですけど、気絶してくれて助かりました。」
―――――
『さあ、来い!他の者達に手出しはさせないぞ!』
拡声器で拡大された声でアイシャはオルトロスを挑発する。意味が通じるわけはないのだが、それでも彼女の駆動鎧を脅威に感じたオルトロスは得物をエメリア達からアイシャへと切り替える。
「ガウッ!!」
『フッ!!』
突撃してくるオルトロスに左腕に搭載されているプッシュガンから放たれた弾丸を当てて、速度を落とさせる。そして噛みつかれるというタイミングで鎧を左方向に半歩ずらし攻撃を避け、露になったオルトロスの腹部に槍を突きさす。
「ガルルガワウアア!!」
オルトロスが慌ててアイシャの鎧から距離を取り、体勢を立て直し始める。突き刺した槍によって確かにダメージを受けているが致命傷には程遠い。
(やはり、近距離の腕だけでの突きでは威力が出ないか、だがそれでも避難できる時間は稼げる!これを繰り返せば!)
アイシャのカーンバルクが装備している
慣れない戦い方をしながら、オルトロスを弱らせていくアイシャ、数分ほど経過し流石のオルトロスも無視できないダメージを負い、恐らく次の一撃で止めを刺せるだろう。
『これで終わりだ!!』
「ガオオオオオオッ!ウオオオォォォン!」
ボロボロになりながらも遠吠えをし、突進を仕掛けてくるオルトロス、受けたダメージにより最初の頃とは比べ物にならない程勢いがなくなっている。わざわざ避ける必要もないだろう。アイシャはそう考え、腕を引き、カウンターの突きで戦いを終わらせようとする。だが、
「後ろです!」
『っ!』
女子生徒に肩に掛け避難をしていたエメリアがアイシャのカーンバルクに大声で、後ろに魔獣が近づき攻撃しようとしている事を知らせた。しかし既にオルトロスに対して迎撃体勢を取っているアイシャのカーンバルクは避けることが出来ず、後ろから左肩と胴体の付け根に突進による攻撃を受けてしまう。
『キャアっ!』
アイシャの鎧に攻撃を仕掛けたのは、鋭い角を持った犀のような大型の魔獣で付け根の部分に攻撃を受けた所為で左腕が吹き飛ばされてしまう。更にそれだけじゃない前方から攻撃を仕掛けていたオルトロスも鎧の右手に噛み付き手首を破壊し、
(魔獣が二匹!いや、さっきの遠吠えで仲間を呼んだのか!)
先程のオルトロスが行った遠吠えの意味を理解し、急いで体勢を立てなおそうとするが既に片腕が無く、武器もないアイシャの鎧では魔獣に太刀打ちできないだろう。
味方を得たオルトロスが犀の魔獣の隣に立ち、アイシャの鎧を睨む。その瞳には散々痛めつけてくれたお礼をしてやろうという意思がありありと見えていた。
「バオオオオオ!!!」
「ガアアアアアアア!!」
雄たけびを上げながらアイシャの鎧へと突撃してくる二匹の魔獣、アイシャは避けようとするが、二方向から逃げ道を塞ぐようにして魔獣は突進を仕掛け、また先程の衝撃で足のフレームが歪んだのか鎧が思うように動かない。
『ああ!』
まともに攻撃を喰らい、倒れるアイシャの鎧に犀の魔獣が馬乗りになり、その角で胴体へと攻撃を繰り返す。
削れ、凹んでいく装甲、それは搭乗しているアイシャに死を連想させるには充分な衝撃だった。
「く、来るな、来るなあ!!」
右腕と両足で必死に魔獣をどかそうとするが、質量の違いか魔獣は多少痛がっても攻撃を止める素振りはない。
そして何十回目の突きか、遂に魔獣の角が装甲を貫通し、アイシャの目に直接外の景色と魔獣が映りこむ。
簡単に人を殺せそうな鋭い角、まるで虫けらを見るような目で自分を眺める魔獣、そしてその隣で涎を垂らし、自らを食い殺そうとするオルトロス。
(死ぬのか、私は?)
どうあがいても助からない状況に置かれたことを理解した瞬間、股間の周りが冷たく濡れていき、純白の
恐怖の余り体の力が抜け、排泄物を漏らしてしまったのだ。
(情けないな、騎士を目指しながらこんな恥ずかしい死に方をするとは。)
意気揚々と出撃しながら返り討ちに合い、しかも漏らすとは恥の上塗りもいい所だ。もしこのまま死んで身元を確認されたら、実家にも迷惑が掛かるだろう。公爵家を嫌う家から”魔獣の討伐に失敗し、糞尿を漏らしながら死んでいった娘を生んだ家”として未来永劫、馬鹿にされるに決まっている。
(だったらいっその事、身元が分からないぐらいグチャグチャに殺された方が良いか?)
アイシャがそんな風に自分の死に様を考えていると、犀の魔獣が頭を一度大きく引き、その角でアイシャを殺そうとする。
「っ!」
とうとうトドメを刺されると覚悟したアイシャが目を瞑り、その瞬間を待つ。だが、彼女に死が訪れることは無かった。
”ダンッ!!!!!!!!”
犀の魔獣が鎧の中に居るアイシャを刺し殺そうとしたその時、横から来た衝撃に犀の魔獣は大きく吹き飛ぶ。
「な、何だ?」
目を瞑りながらも聞こえてきた、鈍い音にアイシャが装甲の隙間から外の様子を伺うとそこには、吹き飛んだ犀の魔獣と魔獣に対峙するかのように直立している駆動鎧だった。
その駆動鎧は装甲のデザインはカーンバルクⅢ型と同じだが、所々に赤いラインがあり、頭部はまるで右側の顔の皮が剥がされたかのようなデザインだった。
「あれは、グライフ!じゃあまさか中で動かしているのは、アイツか!!」
―――――
「ぐうううう!」
魔獣がアイシャを角で殺そうとする光景が目に入った瞬間、彼女を探すためグライフで学院内を駆けずり回っていたカシムは足のペダルの操作し、グライフを力の限り跳躍させ、魔獣に飛び蹴りを喰らわせた。
蹴りにより無事、魔獣をアイシャから引き離せたのだが、コクピットに居るカシムに伝わる衝撃が尋常ではなかった。
身体が頑強なグルム人である自分は平気だが、それ以外の人が操縦した場合、肋骨の二、三本は折れていただろう、カシムがそう考えるほどの衝撃だ。
出来れば一息つきたいのだが、生憎そうはいかない。オルトロスと犀の魔獣は、グライフを新たな敵として認識し、さらにもう一匹腕が四本あるゴリラのような魔獣まで加わってくる。
「動けるのは後一時間。」
老人から忠告された連続駆動時間を考えると、余りのんびりしている暇はない。背中のハードポイントに固定された大剣を右手で掴み、カシムは三匹の魔獣へと向かって行く。
口を大きく開け、鎧の装甲に牙を突き立てようとするオルトロスには空いている左手の拳で二つの内、一つの顔を潰しながら吹き飛ばす。
グライフがオルトロスを吹き飛ばした間に、犀の魔獣は体勢を立て直し、その強靭な角で装甲を貫こうとグライフへと突っ込んでくる。
「うおおおお!!!」
普通であれば避けるはずだが、カシムはグライフの桁外れの出力を活かし、力強く一歩踏み出しながら大剣を犀の魔獣へと叩きつける。
グライフによって繰り出された大剣の一撃を頭部にまともに喰らい、自らの突進の勢いも合わさった結果、犀の魔獣の頭部は破裂し、辺りに血と肉と脳漿を撒き散らす。
「後一匹、」
カシムは残ったゴリラの魔獣へと大剣の切っ尖を向けると、先の二匹を瞬殺したグライフに恐怖し慄いたのか、情けない悲鳴をあげながら背中を向け逃げて行く。
「逃すか!!」
もしここで逃せば、別の場所にいる生徒が襲われるかもしれない、カシムはグライフを横に回転させ、遠心力が高まってきたタイミングで指のトリガーを離し大剣を魔獣へと投げつける。
投げられた大剣は円を描きながら、まるで弾丸のような勢いで飛んでいき魔獣を背中から刺し貫く、だがその勢いは止まらず魔獣ごと大剣は飛び続け、木を数本なぎ倒す事で、漸く静止した。
―――――
「な、何だ、あの鎧の馬鹿げた性能は、」
瞬く間に三匹の魔獣を屠ったグライフに、コクピットの装甲の隙間から一連の流れを見ていたアイシャは驚きを隠せない。
オルトロスも犀の魔獣もゴリラの魔獣も一般的に強い部類に入る魔獣だ。それをあっさり倒す程の性能を持つ駆動鎧など、一部の限られたエリート騎士の為に開発された専用機など数えるほどしか存在しない。
「あんな大剣を軽々と、どれ程の重量と出力を持って居るのだ?」
グライフが片手で軽々と振り回していた大剣、普通であれば、グライフのような中量級の駆動鎧では仮に持てたとしても、碌に扱えない代物だ。
相手に叩きつける武器というのは重ければ重い程威力は増す、だが扱う側にもそれ相応の重量が求められる。扱う側が武器よりも軽い場合、重心がズレて武器に振り回されてしまうからだ。
その為、駆動鎧であのような大剣を振る場合、鎧本体を重くし、その重さに負けない駆動出力を誇る重量級且つ高出力の駆動鎧が必要となってくる。
しかしアイシャの知る中で最も高い出力を誇る駆動鎧でも、あのサイズの大剣は両手で持って使用していたし、振る速度もグライフのように
「グライフということは乗っているのはアイツの筈だが、」
しかも操縦しているのは駆動鎧をまともに動かせない筈のグルム人であるカシムだ、もはや訳が解らない。
ただ唯一わかっているのは、自分は助かったということだけだった。
―――――
「ひぎゃーーー!!何でこんな序盤にコイツらがいるんだよーー!!」
カシム達が魔獣と戦っていた同時刻、周りの人間からの賞賛とヒロイン攻略の為、駆動鎧に搭乗し生徒の救出に向かっていたセルギスは出くわした魔獣から必死に逃げ回っていた。
(おかしい!おかしい!おかしい!こいつら終盤辺りに出てくる魔獣だぞ、何でそんなのが逃げ出したんだよ!!!)
本来の計画であれば、逃げ惑う生徒達の眼前に颯爽と登場し、魔獣を瞬く間に討伐して賞賛される筈だった。
その筈だったのに計画が狂ってしまった。セルギスの駆動鎧、ユニケロスを追いかける魔獣は四匹のオルトロスだが、この魔獣たちこそが狂った原因だった。
セルギスの知っている"蒼天のギア"の魔獣脱走のイベントでは、脱走する魔獣は全長三メートルくらいで、人間では倒せないが駆動鎧であれば楽々倒せる魔獣であった。だからこそセルギスは柄にもない台詞を言い、魔獣討伐に参戦することを決意したのだ。
だが実際に参加し、魔獣と遭遇すると、そこに居たのはゲームの終盤に出てくる強力な魔獣であるオルトロス、一方の此方は威力の低い初期装備のみ、これでは勝ち目がないとセルギスは一瞬で判断し、必死に逃げ回っている。
「来るな!来るな!来るな!」
ゲームでは、もし魔獣に負けてもゲームオーバーとなり、リトライできたが、この世界でそのようなものがあるとは思えない。
セルギスは右手に持った剣をデタラメに振り、盾と一緒に左手に装備したプッシュガンを狙いもつけずにオルトロスに向かって放つ。
勿論そんな攻撃が通用するはずもなく、オルトロス達は特に痛がることもなく、ユニケロスを追いかける。
「ぎゃーー!ぎゃーー!ぎゃーーー!!!」
どんどん近づいて来るオルトロスにとうとう語彙力も失い、涙目になるセルギス。
そして早く此処から逃げたいという焦りから、駆動鎧の操作も雑になり、足がつまづき倒れてしまう。
倒れた獲物にトドメを刺すべく、牙をむき出しにしながら飛びかかる四匹のオルトロス、走馬灯のごとく"蒼天のギア"のヒロイン達との思い出がセルギスの頭の中をくぐり抜けて行く。
"もうだめだ"、セルギスが諦めかけたその時、彼の眼前に数体のカーンバルクが現れ、ユニケロスを守るように取り囲む。
『ご無事ですか!殿下!』
聞こえて来るのは教師陣の声、彼らも漸く駆動鎧に搭乗し、生徒の避難と救出に動き出すことができたのだ。
教師陣はセルギスの安否を確認しようとするが、救援が来たことに安堵し、気絶したセルギスは答えることが出来なかった。
―――――
『アイシャさん、大丈夫?』
『ああ、だが魔獣にコクピットのハッチを破壊されて開かないんだ。すまないが強制解除レバーでハッチの固定を外すから、外からハッチを外してくれないか?』
魔獣を全て討伐したカシムは臓物が露になった魔獣の死体を見て催した吐き気を押さえながらアイシャの無事を確認する。声色からして駆動鎧は悲惨な状態だが、本人は無事らしい。
グライフから降りたカシムはアイシャの指示に従って、彼女のカーンバルクのコクピットのハッチに近づく。
「こっちは準備できたよ」
『わかった、それでは行くぞ』
アイシャがコクピットにあるレバーの内一つを引くと"プシュッ"と音がし、ハッチのロックが外れる。
駆動鎧のコクピットには何かしらの要因でハッチが開かなくなった場合、内部からロックを外すレバーがあり、それを引けば外部から簡単に装甲を外すことができるのだ。
カシムが装甲を掴んで外そうとしているのか内部から見てガタガタと動く装甲を見て、アイシャは冷たい駆動鎧から出られることに安堵した。
しかし、自分の股間や尻の辺りから伝わる不快な感触に気づいた瞬間、顔が一気に青くなる。
魔獣三匹を瞬く間に屠ったグライフに驚き、アイシャは忘れていたのだ
「ま、待て!!やはりまだ開けるな!!お願い、待っ、、、」
「よいしょ。」
アイシャの必死の懇願も虚しく、カシムはマナによって身体強化したその体でカーンバルクのハッチの装甲を外し、コクピットの中が露わになる。
顔を真っ赤にし、涙目のアイシャ。コクピットのシートや足元には水溜りが出来ており、魔獣に倒された時の衝撃でスカートが捲れたのか、黄色や茶色の染みだらけの膨らんだ
「だから、待ってって、言ったのに、う、う、う、うわ〜〜ん!」
「・・・」
とうとう泣き出したアイシャにカシムは無言でハッチの装甲を元の位置に戻し、見なかったことにする。
「閉めるなーーーー!!!」
面白い!!と感じたらブックマークよろしくおねがいします!!
若しくは面白くないと感じたら今後の糧にしますので厳しい意見も感想でよろしくお願いします!!