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【月刊 人力ボカロ合宿】UTAU上でustを自作するコツ
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【月刊 人力ボカロ合宿】UTAU上でustを自作するコツ

2015-10-11 22:53
    こんにちは、初めまして。水無瀬鈴と申します。
    今月の月刊人力ボカロ合宿(@jinriki_skillup ハッシュタグ[#月刊人力ボカロ合宿])のテーマが人力についてのアレコレをブロマガに纏める…とのことなのでブロマガ始めてみました。

    UTAU式人力は4ヵ月前から投稿を始めたばかりですが、UTAU自体は5年半前から触っていますので何か参考になることがあればと思い、今回は「UTAU上でustを自作するときのコツ」について書かせていただきます。
    水無瀬の自己流のやり方です。初心者には優しくなかったり、もっといい方法があると思います。参考までにどうぞ。
    ※人力師向けに解説してはいますが、殆どはUTAUの基本的知識なので特に人力に特化した知識が書かれているわけではありません。

    ○用意するもの


    ・ustを作りたい曲の原曲・off vocalデータ
    RadioLine、Audacity、各種DAWソフトなど原曲・オケ・耳コピしたものを並べて配置できるもの (水無瀬はRadioLineを使用しています)
    wavetone 耳コピ支援ソフト

    ○耳コピ

    原曲を聴きこんでボーカルを覚えます→覚えた通りにUTAU上で配置します→完成!

    …はい、「それさえできれば苦労してねえわボケ!!」という声が各所から聞こえてきそうですね。
    ですが、コツさえ覚えていれば難しいことではありません。
    初心者の方にまずオススメするのは楽譜からustを起こすこと。UTAU画面は楽譜と対応するため、一度楽譜を見ながらustを作ってみると音符を配置する感覚がつかめると思います。
    VOCALOID楽曲は有志による楽譜がインターネット上で多数閲覧できます。まずはそれを見ながらustを作ってみましょう。


    1、基本の確認
    1-1、UTAU上での音符の配置と楽譜の関係について
    (図1)

    上がUTAUの画面です。
    左端にピアノロールが表示されています。C4と書かれているのが基本のドの音、ピアノの真ん中のドですね。歌詞や休符Rを挿入した時にはここに配置されます。
    ピンクの縦線が小節を表しています。小節とは楽譜が読みやすいように細かく区切ったもののこと。後で音符配置やリズムを考えるときに重要なので覚えてください。
    薄い青の縦線が4分音符の長さです。この画面では1小節の中に4分音符が4つ入っているので4分の4拍子となります。
    UTAUでは他に4分の3拍子の表示も選べます。こちらは1小節の中に4分音符が3つ入ることになります。
    ここらへんの説明はのちほど詳しく。図1を楽譜で表すと

    (図2)

    このようになります。これが基本的な画面の見方です。


    1-2、音符の見方とUTAU上での長さ
    各種音符記号の説明は下記サイト様をご覧ください。
    http://www.aa.alles.or.jp/~hans/dtm/material1.htm
    4分音符が基準の長さです。
    UTAUで音符・休符を挿入する場合、デフォルト設定では4分音符が挿入されます。
    この4分音符の長さを音のプロパティから確認してみましょう。480となっているはずです。
    これを基準にして、4分の4拍子の場合の音符の長さを考えていきましょう。
    全音符は4分音符の4倍の長さですので1920
    2分音符は2倍の長さなので960
    8分音符は1/2なので240 
    となります。
    他は以下の図を参照。
    (図3)

    基本的な長さは上の表のとおりです。(複付点やn連符などの例外はあります)
    4分の3拍子の場合は一小節が1440となります。あとは応用です。
    この長さの組み合わせによって曲が出来ていることが殆どですので、「どうしてもリズムが合わない!」という方はこの表を参考にしてみてください。
    人力の場合は音素が足りず複数の音素を組み合わせることがありますが、このときに元の長さを意識しないとずれる原因となります。




    2、耳コピ

    いよいよ耳コピを始めていきましょう。
    今回は黒うさPの千本桜の1番サビを例に解説します。



    まずこのように歌詞をUTAU用にひらがなに直したもの(促音(っ)やスペース、ーを入れない、"を→お" "づ→ず"に変換等)を用意しておくと便利です。

    また人力音源は音素が足りなかったり、発音がずれる場合が多いです。原音設定に自信が無い方は耳コピの時だけでもUTAU音源の単独音を使うことをオススメします。
    UTAUにはデフォルト音源(デフォ子/唄音ウタ)がついていますので、人力音源しか使わない方でもわざわざDLする必要はありません。ちなみに私は普段重音テトか松田っぽいよを使っています。
    単独音を推奨するのは、まず打ち込んだ際にいちいち連続音に直す手間があること、なめらかにつながりすぎて細かい音の遷移が分かり辛い場合があることからです。


    2-1、メロディー配置
    歌詞を流し込み、音の高さを聞きて配置していきます。
    どの音か分からない場合は自分でその音を声に出しながらUTAUで再生してみるとわかりやすいです。
    …というか私はこの方法でしかやっていないので分かりません。

    少し耳コピを進めると、どの音に#や♭が付くか?という様子が分かって来ます(これを調といいます。覚えなくてもいいです)ので、それを参考にして更に進めていきましょう。
    注意したいのはキーのずれ。音の遷移は間違っていないはずなのに全体的な雰囲気が違う…?と思った時はキーがずれていることが大半です。
    ただし曲の途中で移調することもあります。ボカロ曲の場合は大サビで移調しキー+2程度になるパターンがかなり多いです。(千本桜も大サビで+2です)



    ここまででこのようになりました。
    千本桜はB(シ)の音に♭が付くようですね。パターンを割り出せば耳コピのスピードも上がります。


    2-2、リズムをとる
    基本で解説した音符と長さの関係を参考にしながらリズムを設定していきましょう。
    まず手拍子などで拍を打ち「1・2・3・4・1・2・3・4…」と繰り返しながら、曲を聴いてみてください。
    だんだんと収まりの良いところが見えてきませんか?
    (ここで4拍の間に収まらないようでしたら、拍子が違う可能性があります。「1・2・3・1・2・3…」と繰り返してみましょう。しっくり来るはずです。
    (実際は他にも変拍子とかいろいろありますが割愛。6/8拍子は3拍子で代用してください)

    「1・2・3・4」の間に収まった部分=1小節の中に収まる部分となります。
    大まかな区切りが分かったら1小節内での配置を考えていきます。
    また拍を取りながら聴いてみましょう。
    私にはこのように聞こえました。

    |(ターンターンターン)タタ|タンタンタターーンタ|タタタタターンタタ|タん
    |(にーーーーーR   )せん|ぼんざーくらーーーよ|るにまぎれーーきみ|のー

    この通りに音符を配置します。


    分かり辛いと思うので補足すると
    ターーン=付点4分音符 ターン=4分音符 タン=付点8分音符 タ=8分音符 です。
    「ぼんざくらーよ」で240+120+360+240+720+240=1920(=全音符=1小節)になりました。

    手拍子で一回手を打つ間に音が1回鳴ったら4分音符、同じ長さで2回鳴ったら8分音符…という風に考えると分かりやすいかと思います。



    日本語歌詞の場合は基本的に一つの音符に一つの音素が入りますが、「千本桜」の「ぼん」の部分のように後ろの音が短く付くこともあります。この場合は一音として考えたほうがわかりやすいです。

    ただし小節を跨いで発声することも多いので、計算を間違えないように注意。

    (例:クイーンオブハートAメロ)


    ※今回は最初の音符の前に休符が入っていますが、休符が入らない場合もあります。その時は1小節目に休符の小節を作っておくことをオススメします。音素によって先行発声の長さが異なるため、そのまま調声を始めると先頭の音素を弄り書き出しするたびに頭出しがずれます。


    2-3、テンポ割り出し
    テンポはデフォルトでBPM=120となっています。(4分音符が1分間に120回入る早さ、という意味)
    これより早ければテンポを上げ、遅ければ下げます。偶数であることが多い気がします。

    私は普段感覚で大まかに合わせ書き出ししながら細かく合わせていきますが、wavetoneで解析した方が圧倒的に早いです。耳コピの時にwavetoneの存在を忘れてるだけ。
    使い方は簡単、wavetoneの画面にwaveデータをD&Dするだけで自動的に解析してくれます。
    解析タブから「テンポ解析」を選ぶとテンポが表示されます。
    千本桜の場合はこのようになりました。

    千本桜のテンポはBPM=154であることが分かりました。これをUTAUのTempoに入力しましょう。


    2ー4、確認
    ここまでで主旋律の耳コピが完成したはずです。一度書き出ししてオケや原曲と合わせて聴いてみましょう。
    完璧だと思っていても細かいところがずれていることが多いです。
    一音一音がずれていたら音程の見直し、音の遷移は合っているならキーの見直し、リズムが違うなら音の長さの見直しをしましょう。


    2ー5、ハモリ・コーラス
    主旋律の耳コピが終わったのでハモリパートやコーラスパートを作っていきます。(ここでは主旋律に追従するパート=ハモリ、追従しないパート=コーラスとします。)


    ・ハモリ
    ハモリは主旋律を+か-に3or5移動させ、曲の調に合わせて#や♭を調整すると殆どの曲は合います。
    これは和音は基本の音から3度と5度ずらした音を合わせたものが基本だから。(和音=なんかいい感じに聞こえる音の重なり)
    (例・ドミソの和音 ドが根音(基本の音)、ミ→ドから3度高い、ソ→ドから5度高い)
    今までの経験上、-3度のハモリが圧倒的に多いです。
    ただし例外はありますので原曲と聞き比べることは大事。
    千本桜のハモリはこの通りです。


    「千本桜」の「せ」の音がD4からA3になっているので-5度ですね。千本桜はBのみに♭が付くのでずらした時に直すことを忘れずに。

    ・コーラス
    これに関しては…もう頑張ってくださいとしか言えない…。毎回気合いで作ってます。耳との勝負です。コーラスが豪勢だと一週間とかかかることも稀によくあります。(紅蓮の弓矢や見えない黒に堕ちてゆけの耳コピはきつかった)
    いい方法があったらこっちが教えていただきたいくらいです。



    3、外部ツールを使う

    ここまで見てきて「やっぱり私には無理…orz」となった方は他のソフトを使ってみましょう。
    ・wavetone
    テンポ割り出しでも使った耳コピ支援ソフトです。
    音程やリズムが視覚的に分かるので初心者向きです。ただし細かい部分の解析を間違うこともあるので妄信しすぎないこと。
    ・歌声りっぷ
    歌声を抽出するソフトです。人力界隈では使われている方も多いかと。オケに隠れていたボーカルが分かりやすくなります。
    ・各種midi打ち込みソフト
    「打ち込みは音のみの方がやりやすい」「ハモリも一緒に再生した方がわかりやすい」という方はmidiで打ち込みした方を推奨。
    というかおそらく普通はこっちでやった方が分かりやすいです。私は歌詞が入っていた方が分かりやすいのと他のソフトが殆ど弄れないことから全てUTAU上でやっていますが。
    midiデータはファイル→インポートから読み込むことができます。歌詞は「あ」のみなので歌詞置換をしてください。



    4、終わりに


    いかがでしたしょうか?
    今回はtwitterで事前に意見を募集したところ、「リズムが合わない」という意見が多かったのでリズムについての話題が多めです。(私が解説しやすいからということもありますが…)

    カバーしたい曲があるのにustが配布されていない、人力だと作成依頼も出し辛い…ということもあると思います。
    ustを自作できれば一気にカバーできる曲の幅が広がりますので、ぜひみなさんも頑張ってくださいね。
    この文章が皆さまの助けになれば幸いです。

    また文章内で間違っているところなどがあればご指摘ください。


    参考サイト
    http://xn--i6q789c.com/gakuten/waon.html


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