「ぶた……キ……ムチ……どん。ぶたキムチどん。
ママ、ぶたキムチどんてなあに?」
「ご飯の上にお肉とキムチがのってるんじゃない?」
「ぶたキムチどん。ふうん……。」
今朝も、給食の献立表が貼ってある冷蔵庫の前で、
考え込んでいる娘。
そこに立たれると邪魔なんだけどねえ。
どうするかな……?
どうするかな……?
10分ほど考えていたでしょうか。
よし、と小さく頷いたひかりちゃん。私のところへ
来て「わたし、ぶたキムチどん、たべてみる。」と、
てのひらを差し出しました。
私は心の中でガッツポーズ。
黙って油性マジックで、女神先生へ伝言を書いてやり
ます。
「た べ ま す」
にっこりマークも忘れずにね。
良い一日になりますように。
去年のブログを読み返すと、毎日のように幼稚園への
行き渋りがあって、うんざりしていたんですよね。
私、どうしてあんなに躍起になって登園させていたん
だろう。泣いて嫌がっていたのに、なんで無理やり
行かせていたんだろう。
あの頃は、白血病の治療がやっと終わって、失われた
年月をなんとかして取り戻そうと、必死だったのかも
しれません。かわいそうなことしちゃったな。
もっとのんびり待ってやれば良かった。
でも、いつだって、私たち母親は一生懸命やっている
んだよね。端から見れば必死すぎて滑稽だったかもし
れないけど、我が子を命より大切に思っているからこ
そ、なんとか普通の子に近付けたくて、泣きわめいて
も引きずって行ったんです……。
今日も、秋晴れの空の下、二時間目から足取り軽く
登校していったひかりちゃん。
「ワキタせんせーい!」と、昇降口へ走っていく。
ずっとずっと張りつめていた心が、ようやくゆるんで
きたような気がします。