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クチコミサイトで「料理が来るのが遅い!」などと不満を書き込まれてしまうのはなぜなのか。ニューヨークの有名レストランが監視カメラの映像を10年前と比較した結果が話題になりました。
原文はこちらです。Craigslist という地域情報の掲示板への投稿です。
匿名のレストランマネジャーによる投稿とされており、内容の真偽は不明なものの、複数のネットメディアでニュースとして取り上げられました。
2014年の話題ですが、当時面白く読んだことを思い出したので訳してみました。
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・(2016.10.04追記)表題は訳者によります。原題の直訳は、「ニューヨークの人気レストラン、古い監視カメラのテープを見返して大きな謎を解く」といったところです。
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クチコミサイトの低評価に悩むNYの有名レストラン、監視カメラで原因を突き止める
Busy NYC Restaurant Solves Major Mystery by Reviewing Old Surveillance
〔2014年7月11日〕
うちは人気のレストランで、地元の方も観光客もたくさんきます。長年やってきて気付いたんですが、料理をお出しするのにものすごく時間がかかるようになってしまった。一日あたりのお客様の数は10年前とほとんど変わらないのにです。しかも、スタッフはずいぶん増やして、メニューの数は減らしているんです。
ネットの色々なレビューサイトに書き込まれる苦情で一番多いのは、うちの店もそうですし近所の他のレストランもそうですが、注文してから料理が来るまでの時間が長いことか、テーブルに案内されるまでの時間が長いこと、またはその両方です。
この謎を解くために、調査会社を雇うことを決めました。最初に彼らが疑ったのは、まあ当然のことかもしれませんが、従業員です。訓練が足らないんじゃないかとか、お客様の数に対して厨房スタッフの能力が低いんじゃないかとか。
うちには監視カメラがあります。NYのレストランはほとんどそうだと思いますがね。今はデジタル録画ですが、10年前はまだ、全ての活動を録画するために特別な高精細テープを使っていました。複数のカメラがあるソニーの特別な監視システムを、常に4台は動かしていたんです。なにかが起きたときのために90日間は保存していました。
この古いテープを発掘してはどうかと、調査会社が提案しました。10年前のスタッフの働きぶりと、今のスタッフの働きぶりを比較分析してみようというのです。しかし、倉庫室を探してみましたが、テープなんてぜんぜん残っていませんでした。
でも、録画機はありました。ラッキーなことに、録画機それぞれの中にはテープが一本残っていました。デジタル録画機に買い換えたときに、処分し忘れていたというわけです!
古いテープの日付は2004年7月1日です。とても忙しい日だったようです。これを大きなモニターで再生して、その隣の別のモニターで、ことし2014年7月3日の録画を再生してみました。お客様の数が10年前とほぼ同じくらいの日です。
それでわかったことの概要を書きます。45組以上のお客様を注意深く観察して導き出したデータです。
「2004年」
・お客様が店に足を踏み入れる。
・席に案内され、メニューを渡される。45組のうち3組のお客様は、別のテーブルにしてほしいと言う。
・ウェイターがきて、ほとんどの場合、その場で注文をとる。
・前菜は6分以内に到着する。手の込んだ料理は、当然ながらもっと時間がかかる。
・45組のうち2組のお客様は、料理を突き返す sent items back 。
・お客様がなにか必要としていないかどうか、ウェイターはつねに目配りを忘れない。
・食事が終わるとすぐに伝票が届けられ、お客様は5分以内に帰る。
・入店から退店までの平均時間:1時間5分。
「2014年」
・お客様が店に足を踏み入れる。
・席に案内され、メニューを渡される。45組のうち18組のお客様は、別のテーブルにしてほしいと言う。
・お客様はメニューも開かないうちに携帯電話を取り出して、おのおの写真を撮ったり、その他のことをし始める(残念ながら何をしているのかまではわかりかねました。お客様用のWIFIまでは監視しておりませんし)。
・45組のうち7組のお客様がすぐにウェイターを呼ぶ。そしてスマホで何かをウェイターに見せて、ウェイターの時間を平均5分間消費する。一体これは何をしているんだとウェイターに訊ねたところ、お客様がWIFIへ接続できないと仰るのでウェイターが手伝わなくてはならないのだとのこと。
・そろそろ注文が決まったかなと、ウェイターがテーブルへ伺う。お客様の多くはまだメニューすら開いていなくて、もうすこし待ってほしいとウェイターに言う。
・お客様がメニューを開く。そして電話を持った手をメニューの上に置いて、写真その他の活動を継続する。
・ウェイターが、もう注文を取ってもいいかなとテーブルへと再び伺う。お客様は、まだちょっと待ってくれと仰る。
・ようやくお客様が注文をする。
・お客様が着席してから注文するまでの平均時間が21分。
・6分以内に食事が届き始める。手の込んだ料理は、当然ながらもっと時間がかかる。
・45組のうち26組のお客様は、平均3分間をかけて料理の写真をとる。
・45組のうち14組のお客様は、料理と自分を一緒に収めた写真や、料理を食べているところの写真を、お互いに撮り合う。写真を確認したり、撮り直したりすることで、また平均4分間が費やされる。
・45組のうち9組のお客様が、料理を温めなおしてくれと言う。電話で何やらかにやらをしなければ料理が冷めなかったことは明らかです。
・45組のうち27組のお客様が、全員を収めた写真を撮ってくれとウェイターに頼む。その27組のうち14組のお客様は、この写真はいまいちだなということで、ウェイターに撮り直させる。お客様がお喋りしたり写真を確認したりするので、この集合写真だけでさらに5分間が費やされる。ウェイターはその間、自分が担当する他のテーブルに目配りをすることができない。
・多くの場合、電話をいじることでつねに忙しいので、食べ終わってから伝票を要求するまで平均20分間かかる。さらに、伝票が届いてから支払いをして退店するまでに、10年前よりも15分間が余計にかかる。
・45組のうち8組のお客様は、店に入るときや出るとき電話をいじりながら歩いて他のお客様とぶつかったり、これは一回だけだったが、ウェイターとぶつかったりする。
・入店から退店までの平均時間:1時間55分。
お店に来てくださるすべてのお客様には感謝しております。だって結局、他にもレストランはいくらでもあるわけですしね。でもお願いですから、ちょっとだけ察してはいただけないでしょうか?
〔おわり〕
原文はこちらです。Craigslist という地域情報の掲示板への投稿です。
匿名のレストランマネジャーによる投稿とされており、内容の真偽は不明なものの、複数のネットメディアでニュースとして取り上げられました。
2014年の話題ですが、当時面白く読んだことを思い出したので訳してみました。
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・(2016.10.04追記)表題は訳者によります。原題の直訳は、「ニューヨークの人気レストラン、古い監視カメラのテープを見返して大きな謎を解く」といったところです。
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クチコミサイトの低評価に悩むNYの有名レストラン、監視カメラで原因を突き止める
Busy NYC Restaurant Solves Major Mystery by Reviewing Old Surveillance
〔2014年7月11日〕
うちは人気のレストランで、地元の方も観光客もたくさんきます。長年やってきて気付いたんですが、料理をお出しするのにものすごく時間がかかるようになってしまった。一日あたりのお客様の数は10年前とほとんど変わらないのにです。しかも、スタッフはずいぶん増やして、メニューの数は減らしているんです。
ネットの色々なレビューサイトに書き込まれる苦情で一番多いのは、うちの店もそうですし近所の他のレストランもそうですが、注文してから料理が来るまでの時間が長いことか、テーブルに案内されるまでの時間が長いこと、またはその両方です。
この謎を解くために、調査会社を雇うことを決めました。最初に彼らが疑ったのは、まあ当然のことかもしれませんが、従業員です。訓練が足らないんじゃないかとか、お客様の数に対して厨房スタッフの能力が低いんじゃないかとか。
うちには監視カメラがあります。NYのレストランはほとんどそうだと思いますがね。今はデジタル録画ですが、10年前はまだ、全ての活動を録画するために特別な高精細テープを使っていました。複数のカメラがあるソニーの特別な監視システムを、常に4台は動かしていたんです。なにかが起きたときのために90日間は保存していました。
この古いテープを発掘してはどうかと、調査会社が提案しました。10年前のスタッフの働きぶりと、今のスタッフの働きぶりを比較分析してみようというのです。しかし、倉庫室を探してみましたが、テープなんてぜんぜん残っていませんでした。
でも、録画機はありました。ラッキーなことに、録画機それぞれの中にはテープが一本残っていました。デジタル録画機に買い換えたときに、処分し忘れていたというわけです!
古いテープの日付は2004年7月1日です。とても忙しい日だったようです。これを大きなモニターで再生して、その隣の別のモニターで、ことし2014年7月3日の録画を再生してみました。お客様の数が10年前とほぼ同じくらいの日です。
それでわかったことの概要を書きます。45組以上のお客様を注意深く観察して導き出したデータです。
「2004年」
・お客様が店に足を踏み入れる。
・席に案内され、メニューを渡される。45組のうち3組のお客様は、別のテーブルにしてほしいと言う。
・ウェイターがきて、ほとんどの場合、その場で注文をとる。
・前菜は6分以内に到着する。手の込んだ料理は、当然ながらもっと時間がかかる。
・45組のうち2組のお客様は、料理を突き返す sent items back 。
・お客様がなにか必要としていないかどうか、ウェイターはつねに目配りを忘れない。
・食事が終わるとすぐに伝票が届けられ、お客様は5分以内に帰る。
・入店から退店までの平均時間:1時間5分。
「2014年」
・お客様が店に足を踏み入れる。
・席に案内され、メニューを渡される。45組のうち18組のお客様は、別のテーブルにしてほしいと言う。
・お客様はメニューも開かないうちに携帯電話を取り出して、おのおの写真を撮ったり、その他のことをし始める(残念ながら何をしているのかまではわかりかねました。お客様用のWIFIまでは監視しておりませんし)。
・45組のうち7組のお客様がすぐにウェイターを呼ぶ。そしてスマホで何かをウェイターに見せて、ウェイターの時間を平均5分間消費する。一体これは何をしているんだとウェイターに訊ねたところ、お客様がWIFIへ接続できないと仰るのでウェイターが手伝わなくてはならないのだとのこと。
・そろそろ注文が決まったかなと、ウェイターがテーブルへ伺う。お客様の多くはまだメニューすら開いていなくて、もうすこし待ってほしいとウェイターに言う。
・お客様がメニューを開く。そして電話を持った手をメニューの上に置いて、写真その他の活動を継続する。
・ウェイターが、もう注文を取ってもいいかなとテーブルへと再び伺う。お客様は、まだちょっと待ってくれと仰る。
・ようやくお客様が注文をする。
・お客様が着席してから注文するまでの平均時間が21分。
・6分以内に食事が届き始める。手の込んだ料理は、当然ながらもっと時間がかかる。
・45組のうち26組のお客様は、平均3分間をかけて料理の写真をとる。
・45組のうち14組のお客様は、料理と自分を一緒に収めた写真や、料理を食べているところの写真を、お互いに撮り合う。写真を確認したり、撮り直したりすることで、また平均4分間が費やされる。
・45組のうち9組のお客様が、料理を温めなおしてくれと言う。電話で何やらかにやらをしなければ料理が冷めなかったことは明らかです。
・45組のうち27組のお客様が、全員を収めた写真を撮ってくれとウェイターに頼む。その27組のうち14組のお客様は、この写真はいまいちだなということで、ウェイターに撮り直させる。お客様がお喋りしたり写真を確認したりするので、この集合写真だけでさらに5分間が費やされる。ウェイターはその間、自分が担当する他のテーブルに目配りをすることができない。
・多くの場合、電話をいじることでつねに忙しいので、食べ終わってから伝票を要求するまで平均20分間かかる。さらに、伝票が届いてから支払いをして退店するまでに、10年前よりも15分間が余計にかかる。
・45組のうち8組のお客様は、店に入るときや出るとき電話をいじりながら歩いて他のお客様とぶつかったり、これは一回だけだったが、ウェイターとぶつかったりする。
・入店から退店までの平均時間:1時間55分。
お店に来てくださるすべてのお客様には感謝しております。だって結局、他にもレストランはいくらでもあるわけですしね。でもお願いですから、ちょっとだけ察してはいただけないでしょうか?
〔おわり〕
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