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Song for Laurel

2021年9月25日(土)10:00 からの配信を予定しております。
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  • Song for Laurel

    Song for Laurel

    ワールド・プレミア

    一方的な愛は、人を一本の木に変える…。ギリシャ神話を基にした、幻想的な愛の物語。

    監督:羽蚋拓未/2021年/日本/76分
    単品価格:300円
  • シノプシス

    父を亡くした恋人の学を心配して留学先から帰国したトウコは、共通の友人・佑の家で庭の月桂樹を描き続ける学の姿を目にする。学はトウコに、自分は佑を愛し、その愛が佑を一本の木にしてしまったと告げる。

    解説

    アポロンとダフネの物語をベースに、愛の方向となかなか交じり合えない愛の苦悩を、4人の男女を通して描いた寓話的な作品。第15期東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了作品だが、さすがの高い映像クオリティにまず目を奪われる。ギリシャ神話を基にしていながら、クラシカルな日本映画の佇まいを纏っているのは、佑の家の趣ある日本家屋と、その家の魅力を充分に引き出したカメラワークに因るところが大きく、入念なロケハンや時間をかけたリハーサルといったものを想像させ、やはりそれらが作品のクオリティには重要であると、改めて気づかせてくれる。脚本は小林令奈と二人の共著だが、しっかりとした脚本の書ける映画監督として、羽蚋拓未監督の今後に是非注目したい。

    監督・キャスト

    監督:羽蚋拓未
    出演:紫藤楽歩、菊地虹、村松和輝、菊地敦子

    2021年/日本/76分

    監督プロフィール

    羽蚋拓未

    静岡県袋井市出身。高校で映画制作のWSに参加。卒業後、武蔵野美術大学映像学科に入学。パフォーマンスや実験映像など幅広く映像に触れながら、『夜のテニスコート』、『ウサギとそば』など精力的に映画を制作。卒業後、東京藝大大学院映像研究科映画専攻監督領域にて、諏訪敦彦、黒沢清両氏に師事。現在、フリーランスとして映像―音楽を行き来しながら活動。

    監督メッセージ

    私が生まれた静岡の袋井では、年に一度、子どもが大きな傘に入って故人を弔う歌を歌う。家々を回る。子どもだった自分には分からなかったが、そこにはたくさんの愛があったと思う。若者にとって喪失はロマンだった。でも過ぎ去ればただの深い悲しみだ。見渡す限りの砂の中。そこには何もないのだろうか。でもこの映画が完成したのは、そこに大切な何かがあったからだと思う。映画の時間の中、あなたの愛に出会えることを祈って。

    監督Q&A

    Q.(映画に限らず)影響を受けた作品やクリエイターは?

    何よりもまずは、ゴジラです。今でも大好きです。
    塚本晋也の映画は作り手として強い影響を受けました。
    忘れられない映画はケン・ローチの『sweet sixteen』。
    本作でも参照した画家・ルドンは絵画との出会いです。
    音楽からの影響も強くて、いろいろと聴きますが、RadioheadとかKing kruleなど、UKの暗さがある音楽が好きですね。

    Q.関心のあるテーマは?

    現代の人間の病理、その中にある切実さ。少し大袈裟な気がしますが、なぜ私は根拠のない悲しみをよく感じるのか、きっかけはそういうパーソナルな部分にあります。一般化してよいものか迷いますが、物語るには不十分な、舌足らずな感情を持っている人は、今の時代、少なくないような気がしています。

    Q.映画づくりでこだわっていることは?

    場所とお芝居のバランス。それから音。

    私にとって、場所が希求してくるものを拾うことは、全体の工程の中でも特に重要なことです。映画の場所は単に舞台ではなく、芝居で抑圧した部分を託すための感情的なファクターになります。場所を感情化すること、感情を場所化させること。もっと突き詰めていきたいテーマです。

    音について、音楽にも勿論こだわりはあるのですが、台詞も音として考えています。発する、というよりは置いていく。意識的にも無意識にも、譜面のように考えている節はあります。「ここでこういう感情だからこういう台詞を言う」という考え方と、「この流れにこの音を置く」という考え方が混在している感じです。
    今回ご一緒した村松和輝さんに「羽蚋くんは台詞の正しい音階が頭の中で既に鳴ってるんだよ」と言われて、確かにそうだと、初めて気づきました。
    その点で俳優部との齟齬も生じますし、アフレコとかはすごく時間がかかってしまいますね。

    Q.注目している監督は?

    パッと思いついたのはグザヴィエ・ドラン。
    最近の作品がすごくいいんです。『マティアス&マキシム』とか。『Mommy』までの鮮烈な表現も好きですが、最近のドランは元々あった鈍重なテーマに対して、装飾品を取り払って真っ向から勝負していて、でもそれでいて爽やかさは忘れていない。キラキラよりヒリヒリが増していてかっこいいなと思います。

    あと『オンリーゴッド』以降のレフンも好きです。

    Q.映画の中のキャラクターとして生きるとしたら、どの映画の誰がいいですか?

    あまり考えたことがありません。ゴジラになって街を壊す妄想をしたり、スパイダーマンになってNYを舞う想像をしたり、バットポッドに一度でいいから乗ってみたいとかは思います。真ゲッターには乗りたくないけど。笑
    でも、彼らになって生きることが大変そうなのは、それぞれ映画で描かれている通りですね。

    命さえ狙われなければ『ジャンパー』という、今や忘れ去られてしまった映画の主人公になりたいかもしれません。瞬間移動でパッと。

    Q.居心地の良い場所はどこですか?

    電気屋のおもちゃ売り場ですかね。
    ビックロの6階とか、ヨドバシとか。
    生活必需品じゃないものは素敵なんです。

    あとコロナの影響もあって、最近しなくなってしまいましたが、観るつもりなかった映画がなんとなく気になって入った映画館の座席は、作品の面白さはどうあれ、居心地がいいですね。