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この作品「第七話 亀無町のエレナ」は「現代風」「ファンタジー」等のタグがつけられた作品です。
第七話 亀無町のエレナ/nariの小説

第七話 亀無町のエレナ

8,874 文字(読了目安: 18分)

ライアンたちが灼熱の千手菊を壊滅させた、3日後の出来事。何やら賞金稼ぎの双子を捕まえた亀無駐屯地にいる一五番隊隊長を怪しんでいるエレナ。
それでは、スタートです。

2021年10月2日 09:36
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公安軍
スーパージパングの平和を守る治安維持部隊であり、ネオトウキョウには46隊もの公安軍の駐屯地が存在する。
そんなネオトウキョウの中でも、日々アニプラの問題行為に頭を悩ませながらも、彼らに臆することのない不屈の精神を持つ駐屯地があった。


それがここ、八番隊に位置する家無駐屯地である。

隊長室

エレナ「………」
カチカチッ。
ライアンたちが灼熱の千手菊(バーニングマリーゴールド)を壊滅させた3日後、エレナはパソコンをいじる。これで仕事をしているのか?
エレナ「あーもう、ここじゃない!また作り直さなきゃ…」
パソコンの中を覗いてみると、仕事などしておらず、ソリティアをしていた。仕事しろ!
すると。
トントン。
襖を叩く音がした。エレナはこれに反応し、パソコンを閉じる。
メリア「メリアか。入っていいぞ。」
シャーッ、トンッ。
襖を開けるメリア。
メリア「隊長、こちらをご覧になりましたでしょうか?」
そう言うと、メリアは新聞記事の見出しを切り取ったものを見せる。
エレナ「なになに?獣力師傭兵ダブルクォーツ逮捕。お手柄、我らが大佐、両斧のヘンリー?」
メリア「これ、怪しくありませんか?あのヘンリーが逮捕したって。アイツ、税金使って自分の銅像あちこちに立てたりしてると聞いていますし…」
なにやら、ヘンリーという男は公安軍の間では悪い噂を持っているようだ。それに、その傭兵についても怪しんでいた。
エレナ「よし、明日少し見てこよう。亀無駐屯地の方へ出向くぞメリア。ルドに伝えておいてくれ、お前は新兵だからいい機会に見ておいたほうがいいと。」
メリア「御意。」





両参区

亀無駐屯地


???「俺は、偉い。そうだろう?」
タバコを吸いながら、筋骨隆々な色黒の男がそう窓の外を見ていった。
「は、はい!その通りであります!ヘンリー隊長!」
そう、この男が、両参区亀無町を巣食うと言われている大佐、一五番隊隊長、両斧(りょうふ)のヘンリーである。


第七話
特別編
亀無町のエレナ




次の日

両参区 亀無町

エレナ「にしてもメリア、その獣力師の傭兵の双子は凶悪なの?」
メリア「見てないんですか?結構有名な資産家や会社を襲って金を奪うがめつい奴らだと。それをたった100アルミで請け負ってるとか。」
100アルミとは、日本円で1000円の価値がある。
ルド「な、なんで私も連れてくるよう、言ったんですか?」
亀無町を歩く3匹。その道中エレナは抹茶オレを買い、それを片手に歩いていた。
エレナ「ほぉほぉ、どんな獣力師なのかとか分かるか?」
メリア「亀無のデータバンクは古いから、分からないんですよ。」
エレナ「へぇ〜、さすがは下町。」
下町をあまり舐めるんじゃねぇぞエレナ。
ルド「私、ダブルクォーツとかわからないけど、凶暴なら、逃げたい、です。いや、穴を作って隠れたい、です…」
ズコーッ!!
すると、住民たちがいきなり一斉にすっ転んだ。ん?何もボケは言ってないぞ?
エレナ「?」
メリア「どうやらダブルクォーツの名前は禁句のようですね。」
エレナ「何もすっ転ぶ必要は…」
ルド「そういえばここ、ヘンリーとかいう腕っ節の強い…」
『ひぇーーー!!!』
ズコーッ!!
再び新喜劇の如く、見事な転びを見せる住民たち。エレナとメリアは、たまらず笑いを堪えた。


街の外れ

エレナ「ははは、ここの住民おもしろ。」
メリア「あそこまで見事な転びを見せられると笑えてきちゃいますね。」
そんな呑気なことを言う2匹だが、ルドは怪しんでいた。
ルド「でも、妙、ですよ。ダブルクォーツはまだしも、ヘンリーの名前を聞くだけであんな過剰に反応するなんて…」
そして、エレナたちは亀無駐屯地の門の前へと着く。門の前には、両斧のヘンリーと思わしき動物の銅像が立っていた。それとちっちゃく、ヘルメット頭の男の銅像もあった。
メリア「うわぁ、悪趣味…」
ルド「ところで、この、ヘルメット頭のほうは、ここの副隊長、ですかね?」
メリアはタブレットをいじり、副隊長かどうか検索してみる。しかし、彼はどうやら副隊長ではないようだ。
メリア「となると、誰だ?」
そんな疑問を感じながら、3匹は出入り口の方に向かい、手続きを済ませて中へと入る。




亀無駐屯地

中は至ってシンプルな基地という感じの駐屯地だった。特に変わったところはなく、先ほどの銅像が立っていたくらいである。
エレナ「和風の作りじゃない…」
すると、向こうから、何かが見えた。それは。
メリア「!」
ルド「うっ!この2匹って…」
柱に磔にされ、下に大量のまきびしを敷かれてそれに耐える身体中血だらけの双子の女の子がいた。
エレナ「だ、ダブルクォーツって女の子だったんだ!」
メリア「そういえば、性別のことは書いてませんでしたね。しかし、こんな女の子たちが悪いことをして捕まってしまい、こんな拷問を喰らうとは、容赦ない…」
すると、ダブルクォーツのいる広場に、公安軍の隊員と、先ほど銅像で見た、ヘルメット頭の男が現れる。
???「おやおや、まだくたばってねぇんだなぁニーナ、レーナ。」
2匹はヘルメット頭の男を睨みつける。
???「怖ぇなぁその顔。親父に言うぞ。」
だが睨みつけることをやめない。すると。
???「いい加減、そのツラで俺様を睨むんじゃねぇクソ女ども!」
ズガッ!!ズガッ!!
エレナ「!」
メリア「ひどい…!」
ヘルメット頭の男が、ニーナ、レーナと呼ばれた2匹のダブルクォーツの顔を蹴る。そして部下に、ブラックジャックという黒いゴムの棒で何発も殴らせた。顔にボコボコに殴られた痕が残った。
???「じゃあな!また明日様子見に来るからなぁ〜!」
そう言って、部下とともにそっぽを向いて基地の中へと入ろうとする。すると、双子の青い目のほうが口を開く。
ニーナ「おい、クソヘルメット。」
???「なんだニーナ?」
そして赤い目のほうも。
レーナ「3日後には必ずウチらを解放してくれるんだろうな?」
???「あぁ、生きてればの話だけどな!ひゃっひゃっひゃっひゃっ!」
そう言って、ヘルメット頭の男は部下を連れて基地に戻って行った。にしてもキモい笑い方だ。
エレナ「あの野郎、公安軍じゃなさそうだな。」
メリア「データバンクにも載ってないし、獣力師ではないようです。」
ルド「でも、何で、あんな、横暴ができるんでしょう…?」
すると、広場の中に、どこからともなくエプロン姿の女の子が現れた。その女の子はスタコラとダブルクォーツの前に現れる。そして、おにぎりの入った包みを二つ置いて去って行った。
エレナ「……」
エレナは何かを考えた。




3匹は基地を出た後、ひとまず昼食を取ることにした。エレナはかき揚げうどん、メリアは肉うどん、ルドはかけうどんとおにぎりを頼み、それを食べる。
メリア「隊長、亀無駐屯地いかがでしたか?」
エレナ「……メリアはどう思う?」
メリア「えっ?私ですか?あのヘルメット頭のやつが、どうにも引っかかるんですよ。それとダブルクォーツが、噂通りのワルなのかって思うんですよね……」
メリアの話を聞きながら、エレナはある方向に目をやった。それは、先程ダブルクォーツの2匹におにぎりを渡した女の子だった。どうやら、ここで本来は働いているようだ。
メリア「どうかしました?」
エレナ「いや…少し食べてて。これ金だから払って。」
そう言うと、メリアとルドには黙って、女の子の後を追うことにした。
メリア「どうしたんだろ?」




先程の女の子は、外で休憩をとっていた。お茶を飲みながら、ため息をつく。するとそこへ、後を追ってきたエレナがやって来る。
エレナ「どうも〜、さっき駐屯地見学してたんだけどさぁ、見ちゃったんだよね…おにぎりあげてるところ。教えてくれない?あのダブルクォーツのこと。」
女の子は水筒の蓋を閉めると口を開いた。
「あの双子の獣力師さん、私の代わりにあんな磔にされてて…」
エレナ「?あのヘルメット被ったやつに何かしたの?」
「いや、何かしたってわけじゃないけど…みんなあのヘルメット頭のマツジのせいなんです…」


ちょっと前の回想


マツジ「どけどけ〜!!俺の可愛いパーイヌに道をあけやがれ〜!」
パーイヌとは、耳がパーの形になっている犬型のモンスター。動物には基本友好的で、犬のようにたくさん品種が存在する。だが、マツジのパーイヌは、土佐闘犬のような獰猛そうなパーイヌだった。亀無町の住民は皆恐れ慄き、道をあけた。


そして、さっきまでエレナたちが食べていたうどん屋の戸を突き破り、パーイヌが周りにワンと吠え、女の子に牙を向けた。
「ひっ!」
「へへへ、やれ!食事しろ!」
そう言うと、パーイヌは女の子に飛びかかり、噛みつこうとしたその時。
バァァァン!!
ドサッ。
額に銃弾を当てられ、パーイヌはパタリと的の如く倒れた。
???「うるっさいなぁ。」
???「お嬢ちゃん、撃たれてない?」
「は、はい。撃たれてないです…」
???「なら良かった。」
そう言うと、その声の主は、マツジを無視して再びうどんを食べる。
マツジ「な、なんなんだ貴様らは!はっ!お前らはダブルクォーツ!獣力師傭兵が何で俺たち公安に牙むくんだよ!」
ニーナ「うるさいから。」
レーナ「お前も、そこで横たわって死んでるパーイヌも。静かに飯くらい食わせろ、バーカ。」
マツジ「ば、バカだと!貴様ら、俺が誰だか知ってるんだよなぁ?両斧のヘンリーの息子だぞ!」
すると、ニーナが立ち上がり。
ジャキーンッ…
仕込み杖を出して、ヘンリーの喉仏に向ける。
マツジ「ひ、ひぃ〜!!そ、そうだ!取引しよう!お前らが、この女の代わりに磔になれ!期限はそうだなぁ、3週間!3週間でどうだ!そうすれば、この女とお前らの命は助けてやろう。」
マツジは交渉をする。すると、レーナは。
レーナ「どうする?姉さん。」
ニーナ「……分かった。はいはいすいませんでした。3週間で解放してくれるんだよなぁ?」


こうして、いやいや2匹は交渉に乗った。あれから2週間。


現在

エレナ「そうだったのかぁ…」
「あれから、あの獣力師さんたちを、あのヘルメットのやつは部下を使って殴ったり蹴ったりして…」
パリィィン!!
突然ガラスが割れる音がした。先ほどいたうどん屋の店内からだ。


店内

マツジ「ひゃっひゃっひゃっ!俺たちゃ腹減ったんだ!タダで飯食わせろ!」
マツジとその部下が横暴を行なっていた。机に足を乗せて、態度が悪いバカ息子だ。
マツジ「あっ、そうだ〜。ここんところ退屈だから、明日ダブルクォーツを射殺することにした、みんな首を手に入れたいだろ?楽しみにしとけよ、ひゃっひゃっひゃっ!」
パリィィン!!
バキィィィ!!!
マツジ「ぐぉぉぉぉっ!!?」
すると、このことを聞いていたエレナが、ガラスを割って現れ、マツジの顔をぶん殴った。
メリア「隊長!」
ルド「いままで、どこに、いってたん、ですか?」
エレナ「事情は全て聞かせてもらった。お前、相当なバカ息子らしいな。」
マツジ「ひ、ひぃ〜!お前一体、何者だ!」
エレナ「お前とお前のお父さんよりはマシな、おまわりとでも言っておこうか。」
マツジ「な、何ぃ!?親父と同じ公安軍だと!?公安軍がなぜそんなことをする!」
エレナ「話を聞いたが、よっぽどのクズだったから、頭にきて殴った。それだけ。」
マツジ「な、なんだと!公安軍なら、俺が両斧のヘンリーの息子だって分かってるんだよなぁ!?絶対テメェを親父に言いつけて、ダブルクォーツより先に死刑にしてやるからな!覚えてろ〜!!お前ら!」
『はっ!』
部下を使い、マツジは担がれて駐屯地に戻って行った。
メリア「隊長、何やってるんですか!完全に敵に回しちゃいましたよ!」
エレナ「少し、私の話を聞いてくれる?メリア、ルド。」
メリア「えっ?」
エレナはメリア、ルドと店を出て、2匹にダブルクォーツの事情を説明することにした。







その頃、亀無町駐屯地では。

亀無町駐屯地

隊長室

ヘンリー「俺は偉い。そして強い!そうだろ?」
「はっ!もちろん公安軍一強くて偉いのは、この両斧のヘンリー様であります!」
部下になんてこと言わせてるんだコイツは。ヘンリーは外を見ながら、タバコを吸ってこう言う。
ヘンリー「だが最近、庶民たちの税金が少なくねぇか?」
「な、なにぶん亀無町の動物たちのお金にも、限界がありまして…それに、設備も古くてアナログですし…」
すると。どこからともなく駆ける音が聞こえる。そして、戸が開き。
ガチャッ!!
マツジ「お、オヤジ!」
ヘンリー「?」
マツジ「ダブルクォーツの処刑は後回しにしてくれ!アイツらよりも今、一番ぶっ殺してほしい奴がいるんだよ…!!」
マツジは、本当にエレナのことを言いつけた。こんな30代近くのアホ面しといてよくもまぁ親にチクるものだ。



そして、すぐにエレナたちも駐屯地に向かった。
メリア「なるほど、それで奴らは磔にされてたってわけですね。」
エレナ「そう、だから悪いことをしたわけじゃない。本当は、女の子を助けようとしてあんな目にあったんだ。アイツはバカ息子だから、約束なんざとうに守る気はない、明日死刑にするんだとよ。」
メリア「最低ですね。でも、死刑を止めるにはどうやって?」
エレナ「私がヘンリーとバカ息子を誘き出すから、あなたたちはダブルクォーツの縄を解いて自由の身にしてあげて!」
ルド「え、えぇ!?」
エレナ「えぇじゃない!そろそろ着くから、そこで作戦決行!」
3匹は入り口を突き破って入る。すると、隊員たちが現れ、取り囲む。だが。
メリア「邪魔!」
ズパァァァァ!!!!
『ぎゃあぁぁぁぁ!!!』
ドサッ!
剣を使い、全員一瞬で倒す。どうやら、メリアは辻斬りを得意とするようだ。







その頃、駐屯地の屋上には。


『わっせ!わっせ!わっせ!』
巨大なヘンリーの石像を上げていた。こんなもの建てて何になるというのだ。
ヘンリー「ここから一気にあげるんだー!!!!この街に、俺の偉大さを示すために!!!!!」
なんて奴だ…自分がまるで世界の王様にでもなったつもりなのだろうか。なんて悪趣味な石像だ。すると、横から、マツジが現れて。
マツジ「おいオヤジ!俺を殴った奴らを殺してくれよ!そんな石像後回しにもできるだろ!」
ヘンリー「………」
黙るヘンリー。そして。
ズパァァァァ!!!
手を斧に変えてマツジをぶった斬った。これが自分の子にすることか。
マツジ「ぎゃーーーー!!!血だ!血だぁぁぁぁ!!!」
「マツジ様!」
「マツジ様!」
斬られて叫ぶマツジに、部下がすぐさま応急手当てしようとした。だが、ヘンリーは部下を払い、マツジの胸ぐらを掴みこう言う。
ヘンリー「今なぜ貴様を斬ったか分かるか?」
マツジ「ひ、ひぃぃ!ひぃぃぃぃ!!」
ヘンリー「お前は偉くないからだ!いいか!俺が偉いのであって、テメェは俺の息子でも何でもないクズだ!」
めちゃくちゃだ…何を言っているんだこいつは。
ヘンリー「そういやぁ、またあの小娘があの双子の女ネズミに侵入して飯を食わせていた…殺してこい!」
ヘンリーはそういうと、髭の隊員に指を刺した。
「な、何を言っているんですか!殺せなんて、しかも相手は女だし若いですよ!」
ヘンリー「たとえ女でも、俺に逆らう奴らは皆殺しだ!」
「しかし、私はそんなことできません!」
ズパァァァァ!!!
腕を斧に変えて、髭の隊員を斬りつけた。血が滝のように流れていた。
ヘンリー「いいかゴミども!俺はこの権力と称号だけで大差になり、そしてこの亀無駐屯地の隊長になった!!だから俺のような偉い奴がやることは全て正しいことだ!!つまり、そこで死んでるアリを殺したことも正しいんだ、違うか!!」
『ひ、ひぃぃぃ!!』
怯える隊員たち。すると。
???『あ〜、聴いちゃった〜見ちゃった〜。アークのない一般動物を守るはずの公安軍がそんなことしていいのかなぁ〜?』
ヘンリー「何だ!どこにいるんだ!誰が俺の姿を見ているんだ!」





監視室


監視室の中に、エレナがいた。そしてエレナの後ろには、ボコボコにした隊員たちが横たわっていた。そして、エレナは室内のマイクで防犯カメラで慌てふためく隊員とヘンリーの姿を見て喋り出す。
エレナ「ちょっと監視室の奴らの目がウスノロなので変わりのものがこの様子を見てま〜す。お前ら馬鹿なの?」
ヘンリー『だ、誰が馬鹿だって!貴様に決まってるだろ!一体何処の馬の骨だ!』
エレナ「さっきから黙って資料や映像を見てりゃ、部下殺しに息子への暴力。そしていろんな汚職。大層お偉いんだろうなぁ〜。お前は、偉さだけで強いんでしょ?殺してみろよ、どうせ大したことじゃないんだろうけど。」
ヘンリー『お前たち!この声の主を捕まえてこい!この俺が首を刎ねてやる!!!』
エレナの声を聞いて激昂するヘンリー。
エレナ「あはははは、やってみろ!もう時期ダブルクォーツもお前たちをボコしにくるはずだよ。じゃ、頑張って見つけて殺して見てね〜。」
そう言うと、エレナはマイクの電源を切り、監視室を後にした。







その頃、下では。

メリア「隊長何やってるんだよ!完全に怒らせちゃってるよ!怒鳴り声こっちまで聞こえてきた!」
ルド「ひ、ひぃぃぃ!」
ルドが怯え、メリアは文句を言う。そして、磔場にやってきた。しかし、双子は彼女たちを睨んでいた。
ニーナ「おいテメェら、余計なことすんなよ。」
レーナ「磔場に来たってことは、この声の女の仲間だな?」
メリア「よく聞けお前たち、お前らは明日処刑される。」
ダブルクォーツ『!?』
メリア「ルド、そいつらの縄解け。」
ルド「わかり、ました。」
処刑という言葉を聞き、驚愕するダブルクォーツ。
ニーナ「嘘だ!あのヘルメット3週間すれば助けてやるって…」
メリア「真に受けすぎだ、アイツはハナっから約束守る義理なんてなかった。お前たちを殺した後、見せ物にするんだとか。」
レーナ「そ、そんな…」
ドォォォォン!!ブチッ!!
ドサッ…
突然銃声が聞こえた。そして、誰かが倒れる音が近くから聞こえた。
メリア「〜っ!ルド!」
ルド「くっ…うぅ…!」
ルドが銃弾に撃たれて苦しそうな顔をしていた。幸い胸ではなく肩を打たれてしまったようで、命に別状はなさそうだ。
メリア「ルド、大丈夫…」
ヘンリー「チッ、テメェ外してんじゃねぇよ!撃つときは胸か頭目掛けて打て!」
「な、何も殺すことなんて!」
ズパァァァァ!!!
メリア「!!」
ドサッ
口答えをしたとみなされ部下を斬り殺すヘンリー。
メリア「…!イカれてる…!!」
ヘンリー「面白ぇことしてくれるじゃねぇかお前たち。今ここにいる女どもは、俺がこの手で処刑する!」
メリア「お前なんかに殺されてたまるか!税金使って悪趣味な銅像立てまくったり、バカ息子を野放しにしたり、部下を殺すような駐屯地隊長がどこにいる!」
メリアは先程のヘンリーの行為に激怒する。しかしヘンリーは。
ヘンリー「俺は偉いんだ!だから何してもいいんだ!!それとお前ら、あのムカつく声の女と一緒に俺に叛逆するつもりか!」
ニーナ「勘違いすんな斧野郎!」
レーナ「ウチらはコイツらの味方じゃねぇ!それに、部下やヘルメットを盾にいばり腐るような奴に、殺される筋合いはない!」
ヘンリー「ダブルクォーツ、この俺を甘く見るなよ?俺はこの駐屯地で最強に最高の権力を持つ男なんだ!!貴様らが2匹で連携しても、権力の前ではゴミ同然だ!!殺せぇぇ!!」
そう言うと、隊員たちが銃を一斉に構えて射殺しようとする。
ニーナ「く…!」
レーナ「まだ死にたくないのに…!!」
ヒュンッ!
ダブルクォーツ『えっ!?』
ズパズパァァァァッ!!!
『ぎゃあぁぁぁぁぁ!!』
メリアが目にも止まらぬスピードで辻斬りをした。そして、彼女はこう言う。
メリア「お前たち、こんな奴の言いなりになることはない。今から黙ってここで、この大バカ野郎が倒されるところを見てな。」
「えっ?」
「な、さっき確かに斬られたはずじゃ!?」
「あっ、銃が!」
メリアが斬ったのは、隊員ではなく銃だった。しかも。
パサッ。
ニーナ「あれ?縄が!」
レーナ「解けてる!」
縄も斬られて、2匹は自由になった。メリアはすぐにヘンリーめがけて駆ける。
メリア「はっ!」
キィィン!
ヘンリー「貴様なかなかやるな、だが!」
ゴォン!!
メリア「!!」
ヘンリー「俺の前では無力だ!!」
ドサッ。
メリアは一度、ヘンリーに近づいた。しかし、ヘンリーは手を斧に変え弾き返され、斧の平らな部分で彼女の頭を殴りつけた。かなり痛かったのか、頭から血が流れる。
ヘンリー「これで残りはお前ら2匹だ!!銃が斬られたのなら斬り殺せぇ!!」
「う、うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』
まだ言いなりになっている隊員たちは、剣を振り回してダブルクォーツを斬ろうとした。
ニーナ「!流石にこんな数は…!」
30匹くらいいる。2匹がかりでは倒せそうにない。その時。
???「国綱。」
ブィィィィン…
キィィィィン!!!
『!?』
ヘンリー「なっ!?」
一本の刀を召喚し、ついにあの女がこの磔場に現れた。
エレナ「待ちくたびれて来てみたら、部下殺しだけに飽き足らず、メリアとルドを…!ヘンリー、覚悟はおありかしら?」
エレナが隊員たちの剣を押さえながらヘンリーを睨みつけてそう言った。

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