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Dr.イワケンの「感染症のリアル」

医療・健康・介護のコラム

コロナの急激な収束をもたらした要因とは ワクチン、行動自粛、そして……

実効再生産数が毎日減少

 なぜ、イギリスでこれほどまでに急な感染者数の減少を達成できたのか。それは、大量のワクチン接種とロックダウンのダブルパンチによる効果だったため、と多くの専門家は考えていますし、ぼくも同じ見解です。

 日本でもこれと似たようなことが起きたのではないでしょうか。

 第5波で興味深かったのは、実効再生産数(Rt)がコンスタントに下がっていったことです。東洋経済が出している簡易式でも、線形にRtが下がり続けているのが分かります。8月下旬くらいから、コンスタントに線形にRtが小さくなっていっています。
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
(閲覧日 2021年9月28日)

 Rtは、1人の感染者が平均何人に感染させるかを示す数字です。Rtが1を下回っていれば感染者数はどんどん減っていきます。よく誤解されていますが、Rtが下がってきても1以上であれば感染者は増え続けます。増えるペースが緩慢になるだけで。

 で、このRtが毎日毎日コンスタントに減り続ける、というのが興味深いのです。多くの感染対策は「対策をとった」その日、あるいはしばらくたってから効果を発揮します。それはRtを一定の値(1未満)にして感染者を減らしていきます。

 例えば、緊急事態宣言などで夜間の酒類の提供を止めたりすると、Rtは一定数下がった後に、コンスタントになります(実際には、時間とともに対策の効果が目減りして、むしろ上がることもあります)。

 ところが、Rtがコンスタントに下がっていくということは、感染対策の「力」が毎日加わり続けて、より強い感染対策がなされていたことを意味します。だから、急峻な感染者数の減少が起きるのですね。

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岩田健太郎(いわた・けんたろう)

神戸大学教授

1971年島根県生まれ。島根医科大学卒業。内科、感染症、漢方など国内外の専門医資格を持つ。ロンドン大学修士(感染症学)、博士(医学)。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院(千葉県)を経て、2008年から現職。一般向け著書に「医学部に行きたいあなた、医学生のあなた、そしてその親が読むべき勉強の方法」(中外医学社)「感染症医が教える性の話」(ちくまプリマー新書)「ワクチンは怖くない」(光文社)「99.9%が誤用の抗生物質」(光文社新書)「食べ物のことはからだに訊け!」(ちくま新書)など。日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパートでもある。

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